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キスの好餌〝チロリ〟にまつわるエトセトラでっせ!!|やめられまへん!! 投げ釣りはっ【オッサンの気ままな釣り日記編】No.19
毎度です。今回はキス狙いの好餌として知られるチロリについてのお話です。経験豊富なキャスターや餌店の方からすると「?」が頭に浮かぶかもしれまへんが、これまでの経験を元にしていろいろと独自の見解をお伝えさせてもらいまひょかな♪
(カメラ/文 中本嗣通)
キス、それも大ギスと呼ばれる長い狐顔の大型シロギスに対して抜群の効果を発揮する虫餌といえば鮮やかな赤い体色と複雑な伸縮運動を見せる動きが印象的な『チロリ』。今回はそんなチロリにスポットライトを当ててみたいと思います。
とにかくこのチロリ、他の虫餌と比べるとキスの食いにあきらかな差が出る有効性がある反面、保管や使用方法にあれこれと難点を持つなかなかのクセ者な虫餌なんでっせ。
カレイ狙いの好餌、マムシの代用としてチロリが登場
僕がチロリを初めて使ったのは関西に登場し始めた1980年代。当時、カレイの好餌である「マムシ」が主産国の韓国で枯渇し始めて流通量が激減し、晩秋~初冬という好シーズンに入手できない状況に陥りました。80年代末期に安定して流通し始めた中国産に切りかわることで不足状況は解消していくのですが、それまでは価格がうなぎ上りとなって薄い財布しか持たない庶民のオッサンとしては大打撃を受けたのをよォ~く憶えてまっせ。
そんなマムシ不足の過渡期にカレイ狙いの〝代用〟として餌店の店頭に登場したのがチロリです。だだし、カレイ狙い用とあって現代のチロリとは比べものにならないほど太い7~8㍉ほどの直径を持つものがマムシの代用として販売されていました。そォ~う、チロリとのファーストコンタクトはキス用の餌としてではなくて対カレイの代用餌としてだったんです。事実、泉南の淡輪や箱作の人工海水浴場から「チロリ餌で泉南サイズの木ッ葉ガレイが数釣れる」といった情報が聞かれ、釣行記事が釣り雑誌で盛んに紹介されていましたもんネ。
それが数年後にはキスやマダイ、チヌにニベといった夏魚の夜釣りで好釣果を上げる特効餌として関西圏の餌屋さんに定着していきます。ただし、現在では昭和の昔のような極太サイズのチロリを見かけることはホンマに皆無となりましたが…。
さて、そんなチロリ(標準和名:ギボシイソメ)といえば関東エリアで「東京スナメ」の名称でキスの特効餌として昔から知られています。モノの本によると、昭和初期には当時の技術では採取が難しかった東京スナメは希少な虫餌であり、水ゴカイの十倍以上という高値で売られていたそうでっせ。
キスがチロリを好むワケとは?
キスがチロリを好む理由としてあげられるのが、その真っ赤な体液です。この体液には魚が好むアミノ酸類が豊富に含まれています。また、体表から分泌されている〝ネライストキシン〟なる物質の匂いがキスの摂食を促して好釣果を呼び込むと考えられています。ちなみに、このネライストキシンなる物質は即効性の高い殺虫成分でもあるそうです。これをなぜにキスが好むかは謎なんでっけども…。
そして、昨今盛んに行なわれている「サーフからの数釣り」によるトーナメントでもチロリの需要は右肩上がり。釣果の重量を稼ぐためにキスの活性が高い早朝にチロリで型物を狙う作戦を立てるキャスターが多いのがその理由です。このスタイルで使用する場合は、トーナメント用の極小バリに刺しやすい細いチロリが好まれるようです。
管理がとても大事。チロリの保管方法は?
温度管理が重要
ところで、チロリはデリケートな虫餌なので保管方法には気をつかいます。そのキモはクーラー内の温度管理であり、12~13度ぐらいに保つのが理想といえまっかな。
そこで、クーラー内では氷の上に薄い断熱材や新聞紙などを敷き、その上に木製の餌箱へ入れて保管するなど、チロリを弱らせる要因となる必要以上の冷えを防止する工夫が必要です。
ちなみに、木製の餌箱は通気性がよいうえにチロリから出る体液なども吸ってくれるので、餌店のパック詰めで保管するよりも活きのよさを遥かにキープしてくれまっせ。
…かといって、クーラー内の冷気が足りずに温度が高くなるケースもチロリが弱りやすい環境に相違おまへん。もちろん、氷が解けた真水にチロリが水没して全滅するような事故などは論外です。
海水を入れた容器での保管がおすすめ
そのチロリの活きのよさをキープする最善策といえるのは海水に入れおく方法です。それをする容器はパッキングがしっかりとしたタッパーでもOKですが、僕は100円ショップで購入できる写真のような「密封ビン」に入れて釣り場まで運んでいます。
この場合、水温と海水の入れかえが管理のキモとなります。もともと入れていた海水と釣り場の海水では温度が異なるため一気に入れかえるとチロリが弱ります。それを防ぐには少しずつ継ぎ足すようにこまめにかえてやるのが正解です。
遠征釣行などで長期の保管が必要なときには水汲みバッカンに入れてエアレーションをすることで長時間の保存が可能になりまっせ。
パーライトでの保存も有効
スタンダートな保管材のヒル石にかえて園芸店で入手可能な軽石状の「パーライト」を海水で湿らせて使用する方法もチロリの活きを持たせる保管方法としておすすめです。この場合、大量の海水でビショビショにした状態のヒル石でチロリを包み込むのが正解みたいでんな。
なお、購入時に活きのよしあしを計るバロメーターとなるのがチロリの状態です。本当に活きのよいチロリは水槽の中でひと塊になり、ゼラチン状の膜に包まれてジッと静止しています。逆にバラバラになって派手に動き回るチロリは弱っている証拠です。また、活きのよいチロリは鮮やかな暗紅色をしており、酸欠などで弱っていれば色が抜けて薄い橙色になりまっせ。
チロリ使用時の注意点
最期に、チロリは原則的に1匹ずつ小出しにして使い切ること。切り残ったチロリを餌箱へ戻すと流れ出る体液によって残りのチロリが自己中毒を起こし、ブツブツの細切れになってしまいよります。また、尾方向からハリ先を入れるとこれまた細切れになるので要注意ということをお忘れなく♪
てなことで、今回の内容はあくまでも中本流の独断と偏見からの解析です。餌の知識が豊富なキャスターや餌店さんからすれば間違いだらけかもしれまへんが、そこはソレ、何せエエ加減なオッサンのことなのでご容赦のほどを♡
【中本嗣通プロフィール】
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