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【実釣マニュアル】キスの釣り方

キスの釣り方

キスは、夏場には砂浜や砂地にある波止からのチョイ投げなどで簡単に釣れる好ターゲット。何度となく伝わる鋭いアタリはヤミツキになること間違いなし。抜群によい食味を存分に楽しむためにも好釣果を目指しましょう!!

キスの概要

キス(シロギス)は内湾、外海を問わずに関西では各地の砂地にいる大きくても30㌢前後の小型魚ですが、夏場は砂浜や砂地にある波止からのチョイ投げなどで簡単に釣れます。しかも20㌢ほどの中型でも非常にシャープなアタリをだすのが印象的です。そのうえ食べてもクセのない白身は魚嫌いの人にも好評とあって、一度の経験でこの釣りがヤミツキになる人も少なくありません。

本格的な投げ釣りでは50匹、100匹という数釣りができるのもキスのおもしろさです。テクニックとノウハウの差がはっきりと釣果にあらわれるゲーム性の高さに夢中になるファンも多く、各地の腕自慢を集めてのキス釣り大会が頻繁に開催されています。

さらに数より型を求めるパターンの楽しさは格別です。26~30㌢クラスのヒジタタキ級、つまりハリスを持ってぶらさげると尻尾がヒジをたたくような大ギスのアタリは強烈です。不意を突かれると竿を引っ張り込まれそうになる想像以上の手応えは大きな魅力となっています。

【キスの釣り方①】伝わる反応が楽しいチョイ投げ

チョイ投げのキス釣りは本当に手軽で簡単です。3~5号を中心に重くても10号のオモリを30㍍ほど投げられるならエギングロッドでも磯竿でも構いません。それで市販のキス仕掛けを投入し、砂地のポイントをズルズルと引けばブルブルッと頭を振ったり、キューンと竿先を締め込む小気味よいアタリが頻繁に訪れます。

キスの釣り方
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餌は最も細いタイプの虫餌であるイシゴカイがベスト。また、アオイソメでも十分に釣れます。その他、底を引くサソイを続けるスタイル(引き釣り)ではバイオワームやパワーイソメといった人工餌でもそれなりに釣れます。こちらは虫餌が苦手な同行者を遊ばせるときにもおすすめです。

手軽に釣れる時期は、キスの群れが岸近くに寄っている梅雨のころから秋口にかけて。秋~初冬にはチョイ投げのエリアに溜まっている中型以上がよく釣れる秋ギスや落ちギスといわれるチャンスがありますが、このパターンは場所のムラが激しいというネックがあります。

釣り場としては海水浴場のような底に障害物のない砂浜や、そこに隣接する波止がベスト。底が砂地なら港内にもキスが入っています。いずれにしてもアタリがまったくないとき、根掛かりが多いとき、フグやハオコゼ(トゲに毒があるので手を触れないこと)しか釣れないときは場所を大きくかえるのが賢明です。

キスの釣り方

「隣では釣れているのに自分は釣れない」というときはサソイのスピードが速過ぎることが多いです。逆にフグやガッチョ(テンコチという人も多いメゴチの類。これもおいしい)主体に釣れる場合は速めに引くと本命中心に釣れだすこともあります。また、ブルブルと結構アタるのに掛かりがわるいときは、ハリが大き過ぎることや、ハリ先が鈍っていること(餌が刺しにくくなっているようではダメ)が考えられるので仕掛けをチェックしましょう。

【キスの釣り方②】手軽なウキ釣りも楽しい!!

遊泳禁止になっているような波当たりが強い外洋向きの浜でもナギの日は十分釣れますが、このような場所では仕掛けを引きにくいゴロゴロした石の間の砂地に魚がいることも多いので、オモリを底につけないウキ釣り仕掛けが有効です。

フカセ釣り(グレ釣りの項で紹介)で使われるドングリ形状の円すいウキ(特に遠投用とされるものはよく飛びます)を用いることで広範囲を探ることができます。

それを用いて仕掛けが底を漂う程度のウキ下にすれば底石が多い場所でもスムースに狙えます。また、キスの群れがごく近くにしかいないとき(引き釣りで仕掛けを上げる寸前にしか釣れないとき)も仕掛けをからませずに波打ち際でゆっくりアピールできるウキ釣りが効果的です。

ただし、投げ釣りのキスが向こう合わせ(餌をくわえて走る際にオモリや竿先の抵抗でハリが掛かること)で釣れるのに対し、表層に浮くウキがアタリのショックを吸収することがあるウキ釣りではハリ掛かりがわるいことがあります。そのためアタリがあったら竿先を送ったり、逆に意識して合わせを入れるなど、そのときどきで掛かりのよいパターンを探りましょう。

【キスの釣り方③】オールマイティーな本格的引き釣り

近くにキスの大群が寄っている状況ならチョイ投げの射程内でも束釣り(一束釣り。一束=100匹)も可能ですが、さまざまな状況で確実に数を釣ろうと考えるなら遠投で広範囲を探れる方が有利です。また、魚が多いエリアを早く見つけたり、そこで効率よく掛けるサソイや仕掛けの工夫も釣果をのばすキーポイントになります。むやみに数釣れば楽しいというものでもありませんが、さまざまな条件下で狙い通りにキスを釣るための手を尽くすのも楽しい遊び方でしょう。

タックルは基本的にカレイ釣りのものと同様ですが、キスの数は手返しのよい引き釣りで狙うからリールは投げ釣り専用のものでも軽量性重視でドラグ機構のないタイプが使われることが多いです。また、道糸は遠投のエリアでもアタリがわかりやすいPEライン(ナイロンはのびが大きく感度で劣ります)が主体になります。とりあえず多少練習すれば120㍍ほどの遠投も容易であり、ある程度は根掛かりにも対応できるPE1.5号の道糸にPEのテーパーラインという組み合わせが扱いやすいでしょう。

オモリはアタリがとりやすく向こう合わせがききやすい固定式の天秤がベスト。仕掛けは各種キスバリ5~10号を用いた3~8本バリのものを使いわけます。遠投が必要なときほど抵抗が小さくて飛びやすいうえにカラミなどのトラブルも起きにくいハリ数が少ないもので確実に釣り、ポイントが近いほどハリ数の多い仕掛けで一投多獲を狙うというのが1つの考え方です。また、ハリが小さいといたずらに小型のキスを掛けてしまいますし、20㌢以上の良型をバラすことが増えるから大会でもなければ8号以下のハリは使わないといったスタイルで楽しむ人も多くいます。

キスの釣り方

餌は基本的にイシゴカイだけでいいですが、濁りが少し入った状況ではアオイソメの方がよく食うとか、サイズアップを狙うならチロリ(後述の置き竿による大ギス狙いでは主力になる虫餌)がよいともいわれます。三種の餌を用意し、最初は併用で様子をうかがうことでどの餌の食いがよいかをうかがうというのも一策です。

効率よく釣るための基本

同じ引き釣りなのでポイントはチョイ投げとかわりません。港内でも規模が大きい釣り場なら遠投できるスタイルの方がキスの群れを探り当てられる確率が上がります。ただし、効率がいいのはできるだけ近いエリアを手返しよく釣ることだけに、最初はむやみに遠投しないこと。まずは70~80㍍ラインより手前を探り、アタリが遠いならフルキャストでもっと沖の様子をうかがいましょう。それで反応がないならすぐに釣り座をかえてその浜や波止のキスのつき場を捜し歩きます(釣れていた場所で反応がなくなったときも同様)。

キスの釣り方

キスが釣れるときはどれぐらいの距離に群れがいるかを絞り込んで仕掛けを引くエリアを限定します。投げ釣り用のPEラインは25㍍ごとに色わけされているため、それを目安にします。ただし、釣れる場所をダイレクトに狙い続けると投入の刺激で群れが散りやすくなります。飛距離に余裕があるなら1色(25㍍)程度は沖に投げ、そこからヒットゾーンまでは素早く巻き寄せるようにして1個所で釣果をのばすのが得策です。

また、釣れるエリア内でも底の様子がわかってきたら仕掛けの引き方には緩急をつけるのが有効です。仕掛けを重く感じるカケアガリや起伏の部分などでアタリが特に多いとか、型のよいキスが多いと思ったら、そこでは引くスピードを落すのが有効です。ただし、ハリの数以上のキスは掛からないだけにアタリの回数で掛かった数を判断し、ムダに誘わず巻き上げるのも大切です。

キスの釣り方

大ギス狙いのパターン

数を狙うキス釣りは中・小型の活性が高い朝方や夕方を中心とした日中主体の釣りですが、大ギスだけを狙うなら魚の警戒心が緩む夜の釣りがメインになります(場所と条件によっては日中も釣れないことはありません)。そのうえ魚の回遊を待つパターンになるので置き竿スタイルが有効です。

ポイントはカレイやマダイの釣りに近い感覚で選びます。大型ほど身を隠しやすいシモリや藻場などの近くにいることが多いですし、餌を捜して回遊するルートもカケアガリ限定という感じになるからです。ただし、カレイ釣りには潮通しの面でもの足りないような湾奥、それもごく浅いエリアにも大ギスは回ってくるなど釣り場の幅が広い傾向にあります。実績を聞かなくても気になる場所は狙ってみると意外な穴場が見つかる可能性があります。

釣りのスタイルは基本的に置き竿。夕方から朝までに何度かあるチャンスを期待して打ち返しを続けます。時合の傾向は場所によって大きく異なりますが、とりあえず朝夕のまづめどき、潮止まりの前後(内湾なら潮がよく動く時間帯)は必ず釣ること。休憩を入れるなら他の時間にするのが無難です。

キスの釣り方

仕掛けは他魚との兼ね合いでかわります。同じ場所を回遊するチヌやマダイなども取り込むことを考えると10~13号のカレイバリにハリス4~5号という組み合わせになりますが、大ギスだけに的を絞るなら各種キスバリの9~10号にハリス2号程度という組み合わせにした方が掛かりがよくなります。

餌は、夜の大ギス狙いにはチロリがベストとされます。ただし、他の虫餌に比べると扱う餌店が少ないですし、夏場しか出回らないこともあり、アオイソメや細めのマムシ、イチヨセなどの実績も多くあります。また、キスは意外に甲殻類もよく食います。小さめのボケを多用して釣果を上げる人も珍しくありません。その他、投げ釣りには不向きですが、沖アミで大ギスが釣れることもあります。

大アタリが醍醐味

大ギス釣りのシーズンは乗っ込みの盛期である梅雨の前後から晩秋あたりまで(水深があって環境的に安定している湾内では真冬でも大小のキスが結構釣れています)。夏~秋の夜釣りではフグやゴンズイ(茶色くてひげのあるナマズのような魚。毒トゲがあるから要注意)といった餌取りに苦労する場面がありますが、カレイ釣りと同じく餌のついた仕掛けをポイントへ常に入れておくことが大切です。

また、潮流が気にならない場所でアタリを待つときは遊動天秤の仕掛けを用い、引かれれば糸が出るようにドラグを緩めて食い込みをうながす作戦も有効です。ドラグのないリールならトラブルが起きない程度に道糸を垂らしておくとよいでしょう。逆に固定式の天秤を使い、糸フケも出さずに向こう合わせを狙うパターンもあります。

キスの釣り方

アタリは、ドラグをフリーにしている場合は竿先に小さな動きがでたあとでジーッとラインを引き出すものが主体です。糸フケを出しているときは、ラインが走りだすのがわかったらベールを返して糸を送ります。いずれの場合もすごい勢いで糸が出ていきますが、あわてずに動きが止まるのを待ってから合わせる方が素バリを引きにくくなります。また、向こう合わせの場合は竿尻が跳ね上がるような強烈なアタリがでることも多いです(他魚の大物なら竿が飛ぶ恐れもあるからドラグを緩めないときは尻手ロープが必要)。

なお、根掛かりが気にならない場所では夜の引き釣りで大ギスを狙う手もあります。イスにでも座り、ごくスローにポイント候補を探るパターンです。大型がアタるとビックリするような手応えがありますが、反射的に合わせてしまうと素バリを引くことが多くなります。アタリと同時に竿先を送り、次の反応で竿を立てるぐらいがベターです。