難しさ抜きの実践解説|アタリ頻発のダンゴ釣りがおもしろい!!【前編・紀州釣り】

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餌取りが多い時期に抜群の威力を発揮する紀州釣りやヌカ切りといったダンゴ釣りですが、深過ぎる釣趣が影響して難しさばかりが先行しているきらいがあります。特別な釣果を求めるならそれなりのノウハウ&テクニックは必要ですが、チヌやグレの引きをとりあえず味わいたいというレベルであればチャレンジに対する気兼ねは不要です。前編ではチヌに特に有効な紀州釣りの気軽なスタイルをピックアップします。参考にしていただき、秋ならではの頻繁にでるアタリをお楽しみ下さい!!

(編集部)

餌取りとともにチヌ・グレの活性が高まる秋は紀州釣りやヌカ切りなどのダンゴ釣りを楽しむには最適のシーズンです。

ダンゴの配合や握り具合、刺し餌の使いわけ、タナの考え方など、追求するほど新たな展開が見えてくる奥深い釣りだけに経験豊富なベテランを魅了するわけですが、基本的な考え方は決して難しくありません。紀州釣り、ヌカ切りともに「狙いの魚がいるタナへ刺し餌を包んだダンゴを割ることなく届ける」ということを意識して釣りを組み立てれば釣果が十分に期待できます。

以降では「秋こそダンゴ釣りの好期。手軽なスタイルでもバンバンとアタリがでるからおもしろいですよ!!」という吉田裕彦さんにチヌを主に狙う底狙いの紀州釣りについて、難しさをできるだけ排除した手軽なスタイルをレクチャーしていただきました。ぜひこの秋にチャレンジしてみて下さい!!

紀州釣りってどんな釣り?

米ヌカ、砂、集魚材、アミエビなどを混ぜ合わせたもので沖アミなどの刺し餌を覆い、海底で割れるように握ったダンゴを用いてチヌを主に狙うウキ釣りのことです。

刺し餌を覆ったダンゴを用いることで得られるメリットは…

①宙層に多いアジなどの餌取りをかわし、底にいるチヌに刺し餌を届けられる。
②底層に撒き餌を溜めることができ、効率よくチヌをおびき寄せられる。

…というものです。

このように釣りのシステムはとても合理的であり、餌取りの活性が高い高水温期にはとりわけ有効なスタイルとして人気があります(底に撒き餌を溜めることができるため、チヌが底を特に意識する乗っ込み期にも絶大な効果を発揮します)。

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高水温期のチヌの釣り方としてとても有効です。

そして、この釣りのファンが口を揃える魅力として「奥深さ」というものがあります。潮流、風、チヌの食い気といった刻々とかわる状況に対し、ダンゴベースの配合や握り具合、仕掛け、ウキ下、刺し餌などの変更を駆使するという数えればキリがないほどのバリエーションの中から正解を導き出す点がこの釣りのベテランにとっては魅力になっているわけです。

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良型のグレがアタることも珍しくありません。
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おいしいカワハギのヒットも期待できます。いろいろと釣れるのも紀州釣りの魅力です。

だたし、この奥深さは突き詰めるほどに専門的になり、それがメディアで紹介されると「紀州釣りは難しい」というイメージが先行する傾向にあるのは懸念される点です。実際には、チヌの活性が高い夏〜秋には基本に忠実なスタイルでも好釣果が期待でき、初心者でも複数匹のチヌが上がることも珍しくありません。数が上がらなくともアタリはバンバンとでるだけに夢中になることは請け合いです。「紀州釣りは難しい」というイメージをひとまず置いて、手軽なスタイルで紀州釣りの楽しさを味わってみましょう。


紀州釣りのキモ、ダンゴと刺し餌についての解説

ダンゴベースの作り方

こだわるとキリがないダンゴベース作りで迷うことがないように、マルキユーの紀州マッハ攻め深場1袋に対してアミエビを2〜3つかみ入れてよく混ぜ合わせ、海水でかたさを調整する、というのが吉田さんの基本パターンです。シンプルなレシピですが、チヌはもちろん、グレやカワハギもキャッチできることから集魚力が十分であることがうかがえます。

なお、アミエビや水を入れ過ぎると後戻りができなくなるため、ともに控えめを心がけながら調整することが大切です。

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このワンセットで半日遊べます。うまく握れないなど、粘り気をさらに出したいときのためにチヌパワーを用意すると安心とのことです。
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紀州マッハ攻め深場1袋にアミエビを混ぜるシンプルな方法でも釣果が期待できます。
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アミエビを入れた後は、ダマができないようにしっかりと混ぜましょう。

ダンゴの握り方

ベースをひとつかみ取り、刺し餌を中央に入れて握り込みます。水分量の少ないベースを握力を生かして握り込む方法が一般的ですが、餌取りや本命の食いが活発でダンゴが割れやすい秋はその限りではありません。自身の体力でダンゴにできる(まとまる)までアミエビを入れて調整すればOKです(ベタベタになるほど入れると割れにくくなり、手返しがわるくなるので要注意)。

ダンゴが底まで届かなければ紀州釣りは成立しません。難しいことを抜きにして、まずはその点を意識してダンゴを作り上げましょう。

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このように刺し餌を中央に置いてから握ります。
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大きさはテニスボール小ほどが握り込みやすくて投げやすいです。集魚力が上がりそうだからといってむやみに大きなダンゴにしないように注意しましょう。

刺し餌の考え方

刺し餌は種類があるほど餌取りをかわしやすくなりますが、沖アミ(生、ボイル)とコーンがあれば十分に釣りこなせます。他に、アタリが明確にでるボケがあれば理想的です。

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かたさのバリエーションが多いほどさまざまな状況に対応しやすくなります。
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少しでもハリに残る餌を使うのが基本。生の沖アミから持ちが幾分よいボイルの沖アミにかえたとたんアタリがでることも珍しくありません。コーンももちのよい餌の1つです。

紀州釣りを楽しむための3個条

①ダンゴ回りに刺し餌をキープ

最も大事なのは底へ届くダンゴを使うことです。そのうえで意識したいのが、いかにしてダンゴの回りに刺し餌を長くキープするかということです。

それを妨げる要因となるのが潮流と風です。ダンゴが割れていなくても仕掛けは潮流や風によって引っ張られ、意図しない張りができます。すると、やがて刺し餌がダンゴから飛び出して餌取りの餌食になってしまいます。

その対策としてウキ下の調整を行ないます。ダンゴの着底から崩壊後しばらくの間、刺し餌がその周囲に留まるように潮と風で流されるぶんをおよそでよいので考慮し、水深+プラスαのウキ下を設定しましょう。

また、根掛かりが増えるものの、ハリ上10㌢にB〜3Bといったオモリを打つのも有効です。

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②アタリがでるウキ下設定

①では潮や風によってウキ下に+αを持たせると紹介しましたが、流れがあまりない状況でむやみに深いウキ下とするとウキにアタリがでないまま刺し餌が取られるという不具合がでるから要注意です。

流れや風があれば+α分を取る必要がありますが、あくまでもチヌアタリがでるウキ下が基本です。ウキにアタリがでる設定とすることでダンゴの割れ具合や餌の有無などさまざまな情報が得られて釣りの精度が上がります。したがって、風がおさまったり、潮が緩くなったりしたときは、その都度ウキ下を短くしてよりよいアタリを求めましょう。

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このような小さな波紋は餌取りのダンゴアタリです。これが落ち着いた(ダンゴが割れる)後にでるウキをズンッと押さえ込む本アタリを合わせましょう。

③決して無理をしない

吉田さんが最も意識しているのがこの点です。

まずは投点について。釣り座に立つと遠くほどよく見えるものですが、ポイントを作り上げる釣りだけに遠投は必要ありません。徐々に落ちる投力を考慮し、50㌫の力で投げられる距離の1個所にポイントを作るのが賢明です。

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遠投は不要です。1点集中を心がけてダンゴを投入しましょう。

続いてダンゴの握り具合について。こちらもいきなり100㌫の力を入れて握ってはいけません。その後、割れが早い(餌取りがよくつつく)からもっと締めて割れにくくしたいというときに対応できなくなるからです。もっとも、100㌫の力での握りを1日続けて行なうのは無理があります。以後の継続と調整を考慮して80㌫の力で握るようにしましょう。その力でバラケが早いと感じるならアミエビを足してまとまりを持たせるとよいでしょう。

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目一杯の力で握らないのがコツです。

この他、一般的に用いられる水箱と呼ばれる紀州釣り専用のボックスやクーラーボックスではなく、アウトドアチェアーを利用して座ることで体力的なツラさを大幅に軽減できるとのことです。とにかく力を抜いたスタイルで楽しむのが継続するコツというわけです。

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投入ごとの立ち座りがないため1日釣っても疲れにくいというメリットがあります。

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