【波止釣り】夏チヌ狙いの特効釣法 紀州釣り入門講座 | 関西のつりweb | 釣りの総合情報メディアMeME

【波止釣り】夏チヌ狙いの特効釣法 紀州釣り入門講座

チヌ紀州釣り講座2

チヌの乗っ込みも終盤を迎え、紀北の防波堤ではファンがダンゴを投げている光景が目に浮かびます。この乗っ込みがひと段落するころには餌取りが活発に動きだしますが、紀州釣りであればチヌを釣るのも難しくありません。まずは気軽にチャレンジしてその魅力を味わって下さい!!

(文:木谷幸一)

紀州釣りとは、刺し餌を覆ったダンゴを投入してチヌを狙う釣り方です。着底した時点でダンゴが割れるように素材や握り具合を調整することで、宙層に多い餌取りをかわして底にいるチヌに刺し餌を届けて釣る、という理にかなったスタイルです。ダンゴの自重によって沈むことから仕掛けには基本的にオモリを打たなくてもよいため、食い込みのよさという点でも優れています。餌取りが多くなる初夏以降は特に有効な釣り方であり、好釣果が期待できます。

難しいイメージがありますが、基本的にはウキ下を合わせてからダンゴを投げてアタリを待つという釣りであるため初心者でも十分に楽しめます。以下にあげた要点を押さえて気軽にチャレンジしてみて下さい。

紀州釣り入門講座

タックル考察

まずは紀州釣りのタックルについて解説しましょう。

ロッドについては、これから始めるなら穂先への糸絡みがない中通しタイプがおすすめです。かたさは1〜1.5号、長さはとり回しのよい4.5㍍がベストです(5㍍クラスでも問題ありません)。

リールは2000〜2500番のスピニングタイプ。軽量かつハイギヤを備えたタイプが理想的です。遠くへ投げた仕掛けを1日に何度も回収する紀州釣りにおいて、ハンドルひと巻きに対して多くの糸を巻けるハイギヤタイプはタイムロスの軽減、すなわち釣果アップにつながる手返し回数の向上をはかれるからです。

ラインはできるだけ細いものを使います(初心者なら2号がベスト)。太くなると自重や風の抵抗が増すぶんダンゴの飛距離低下につながりますし、ダンゴが着底したあとに受ける潮流の負荷が大きくなって刺し餌が不自然な動きになりやすいというデメリットがあります。

チヌ紀州釣り講座5
チヌ紀州釣り講座6

ウキはこのような寝ウキが使いやすいです。

ハリスは釣り場の状況や釣れるチヌのサイズに応じて1.5号前後を用います。太いほど潮流の影響を受けるため潮なじみがわるく、ダンゴの集魚効果がある筋から刺し餌がはずれやすくなります。そうなると食いがわるくなるので極力細めで勝負しましょう(ちなみに、私は紀北の防波堤で遠投するときは道糸、ハリスとも1.2号で臨んでいます)。

ハリはチヌバリ2号前後を主体に、状況によってグレバリの3〜7号を使います。

餌考察

基本的には沖アミだけでもいいですが、特効餌といえるボケを用意することでよりよい釣果が期待できます。とはいえ、時期的にうるさくなる餌取りをかわすことを考えると、他にも刺し餌を用意するのが無難です。生とボイルの沖アミ、ボケ、コーン、練り餌、サナギ、マムシを用意しておけばたいていの餌取りに対応できます。コストをかけたくないというのであれば生の沖アミ、コーン、練り餌は最低でも用意していきましょう。

チヌ紀州釣り講座10

生の沖アミとコーン、練り餌は最低でも持参したいところです。反応が薄いときや餌がすぐに取られるといった状況のときは、それぞれをローテションして当たり餌を見つけましょう。

ちなみに、ボケが余った場合、持ち帰った海水を1㌢ほど注いだ広めのタッパーに入れ、野菜室などの冷え過ぎない冷暗場所に置いておけば1週間ぐらいは生きたまま保存できます。また、水とともに冷凍すれば長期保存も可能です。

ダンゴについて

規定量の海水を入れるだけで使えるものから小さな釣り餌店のオリジナル商品までさまざまなダンゴベースが市販されていますが、単品では集魚効果が薄いと感じることもあります。だからといって、数種類をブレンドして集魚効果を高めると、それに比例してコストが高くなるのが難点です。紀州釣りの魅力にまだ触れていない初心者からすると「あまりお金をかけたくない」というのが本音ではないでしょうか。それならば自身で作ることをおすすめします。

ベースとなるのは米ヌカと砂です。米ヌカは街の米屋で安価で手に入りますし(餌店にも素ヌカとして販売されていますが割高です)、砂は水辺なら無料です(採取できない区域もあるので要注意)。また、紀北あたりの餌店には砂が常備されていることが多いので、刺し餌を購入したときにひと声かけて必要分をいただきましょう。

ヌカと砂を配合する際、私は釣り場へ常に持参しているLサイズの刺し餌入れで計量しています。2~3時間の釣りの場合ならヌカを2杯、砂を1杯の2対1を基本としています。

このベースにアミエビ、沖アミ、市販の集魚材、押しムギ、チューブに入ったすりおろしニンニクなどを予算に応じて配合します。チープパターンでいく場合は1.5㌔か3㌔の沖アミのみとします。そこから刺し餌を取り、残ったものをダンゴベースに合わせて練ったもので釣ります(海水は入れません)。片手で強く握ると餃子のような形になり、それでいて手をはたくとヌカがまとわりつかずにきれいに落ちるぐらいが水分量の目安です。そうなるように、少しずつ沖アミを入れて混ぜ合わせましょう。

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ダンゴベースに入れた沖アミはハンドミキサーなどで細かく砕きながらムラがなくなるまで混ぜ合わせます。なお、水分量の多いダンゴになったときでも修正できるように、ヌカや砂の予備を取っておきましょう。

以上のパターンであれば、およそ8時間釣りをしたとして、ヌカも含めて餌代1,500円以内で楽しめます。さらなる好釣果を求めるなら刺し餌にボケを持参することや、ダンゴに市販の集魚材を配合することを考慮しましょう。

握り具合は、とりあえず割れずに底へ届くように調整して下さい。宙層で割れるなら握る回数を多く、なかなか割れないなら握る回数を少なくするのが基本です。そうして回数によって割れ具合を調整するため、握るときの力加減は一定にしましょう。

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チヌの活性が高ければ、握りやすいピンポン球大サイズでも釣りが成立します。

サイズについては、夏であればピンポン球大を基本としています。大きなダンゴは集魚効果が期待できますが、しっかりと力を込めて握る必要があります。慣れないうちは割れ具合の安定した大きなダンゴを毎回握るのは難しいため、握りやすいサイズにするのがおすすめです。集魚効果が薄いというマイナス面については、チヌの活性が高い夏以降であればあまり気にならないでしょう。