桑原英高のグレ釣り一直線・尾長グレ追求編 vol.9【南紀・見老津釣行記】 | 関西のつりweb | 釣りの総合情報メディアMeME

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桑原英高のグレ釣り一直線・尾長グレ追求編 vol.9【南紀・見老津釣行記】

グレ釣り一直線9-8

60㌢級の可能性も秘める
沖の黒島にアタック!!

南紀・見老津〈和歌山県〉

いよいよ尾長グレのシーズンが到来しました。和歌山県下のグレ釣りの不調は依然として続いていますが、南紀きっての実績場である見老津の尾長グレに対する期待感は高まるばかりです。そろそろ浅いタナでの乱舞が見られるタイミングとあり、高い実績場を誇る沖の黒島のナベにアタックしたところ…

(カメラ/文:桑原英高)

尾長グレの季節がやってきましたが、和歌山県下の釣り場は依然として不振が続いています。つい先日、口和深の三ツ石で56.5㌢という尾長グレが釣れて話題になりましたが、いい話はそれぐらいです。

4月下旬現在、日によって潮ムラがあるうえ、この時期特有の緑色に濁ったドブ潮の影響もあって不調が続き、各渡船店からは「今年はホンマにあかんな~」と嘆く声が聞かれます。きれいな潮が入り、下り潮が走った日はそれなりの釣果が出ていますが、昨日はよくても今日はどうなるかわからないという状況が続いています。

そんな中、毎年この時期になると足繁く通う見老津に行ってきました。大型の尾長グレなどめったに見られない和歌山において、ちょっとした離島のような雰囲気がある沖の黒島は、調子がよい日には大型の乱舞が見られます。とはいえ、相手はスレッカラシであり、ちょっとやそっとではハリを口にしてくれません。

また、乱舞とはいっても四国のような圧倒的な数は見られません。イズスミの中に混じって浮いてくることが多く、発見しづらいこともあります。それでも矢引きよりも浅いタナへ浮いてくるほど高い活性のときには45~60㌢クラスがチラチラと見えたり、撒き餌に対して乱舞する姿が見られます。そんな状況を見ながら行なう釣りはドキドキものであり、釣れても釣れなくてもワクワクします。

和歌山県下の釣り場で60㌢の尾長グレに一番近いと思うのがこの見老津です。その中でも、この連載のメインの釣り場になるであろう釣り場が沖の黒島なのです。

そんな可能性を秘めた見老津の磯に、4月29日に息子と2人でアタックしてきました。

強烈なドブ潮に苦戦。
青っぽい潮が入ったとたん…

いつもお世話になる林渡船に到着して船頭と話していると「一昨日はきれいな潮が入ってよく釣れてたけど、昨日はドブ潮が入って食わんかったな~」とのこと。それを聞いて嫌な予感が頭をよぎります。

5時過ぎに船に乗り込んで海に出てみると、とてつもない緑色の潮が目に入りました。「こりゃダメだ!!」とテンションが下がるほどの状況です。

緑色の潮を見ていると「桑原君!! 次、用意やっとけよ~」と船頭から声がかかりました。まもなく船がついたのはナベ(林渡船では船頭が磯を決るシステムになっているので、釣り人が多くても場所の取り合いはありません)。ナベは見老津で最も沖にある大きな島で、大型の尾長グレも姿をよく見せるところです。

渡礁後、息子の芳依(かい)が①の釣り座に入り、私は②の釣り座に入りました。

グレ釣り一直線9-6

今日の撒き餌は沖アミ9㌔にマルキユーのグレパワーV9徳用、グレパワーV11、グレベストを配合したものを用意。それに加えてセパレートバッカンにボイル沖アミを1.5㌔を入れています。

タックルは、沖の黒島では1号や1.2号の竿といったライトなものは使いません。口太グレは釣る気がないので、竿にシマノ・ファイアブラッドOnagaゲイルバード1.7-530、リールにシマノ・ハイパーフォース3000DXG S、道糸にゴーセン・リミテーション磯プログレッサ2.5号、ハリスにゴーセン・フロロファイタールーツⅩ2.5号、ハリにONIGAKE・尾長ネムリ7号という仕様としました。

グレ釣り一直線9-7
グレ釣り一直線9-1

今回はこのような配合パターンで挑みました。

ドブ潮の濁りがきつく、打った撒き餌が1㍍ほど沈むと見えなくなる状況の中、小粒のG3のウキを2ヒロの位置にセットしてスタートしてみます。しかし、状況が状況だけにまったく反応がありません。

潮はゆっくりとした下り気味の流れです。これはわるくないですが、どうにもドブ潮が強烈過ぎます。いろいろと試行錯誤するもののまったく生命反応がありません。

2時間、3時間と沈黙が続いて「今日はダメだな…」と諦めかけていたとき、真緑色だった潮の色が少しだけ青っぽくかわり始めました。そして、それまで濁りで見えなかった前方のハエ根が見えるようになったとき、ハエ根際でグレらしい姿がチラッと見えたような気がしました。

そちらを狙ってみると、しばらくしてアタリがでました。…が、直後に伝わってきたのは尾長タックルにはふさわしくない引き。やり取りする間もなく一気に浮いてきたのは37㌢の口太グレです。狙いの魚ではありませんが、魚の活性を上げる潮が入ってきた状況を知らせてくれる1匹だと思うと気分はわるくありません。

グレ釣り一直線9-3

ようやくヒットしたのは37㌢の口太グレ。コイツが状況が好転するきっかけになれば…。

グレ釣り一直線9-2

次はゲイルバードをひん曲げるほどのサイズに期待して…。

振り返ると①の釣り座で息子が竿を曲げて、かなりの引きに耐えています。「尾長か?」とカメラを持って走りましたが、間に合わずに竿先が跳ね上がりました。「クッソ~、ハリはずれやわ!!」と悔しがっています。

連続してアタリがでた状況とあって「よしっ、これからや!!」と思ったのも束の間、潮が上りにかわってしまいました。こうなると、またまた生命反応がゼロに…。

沈黙の時間が続く中、睡魔が襲ってきたので昼寝をしてリフレッシュ。1時間ほどで起きて釣りを始めますが、状況はあいかわらずです。芳依は爆睡して起きてきません。

グレ釣り一直線9-5

林渡船のサバのカラ揚げ弁当。おいしくておすすめです。

残り時間が短くなってきたころ、見た目の潮は特にかわってないものの底潮がよくなったのか、深いところで大型のイズスミか尾長グレがチラッと見えました。撒き餌をもう1度入れてみると、一気にスイッチが入ったかのように50~55㌢クラスの尾長グレが矢引きくらいのタナまで浮いてきました。ナベのこのポイントではちょくちょく見られる状況で、その様子は迫力があります。

あわてて寝ている芳依を起こして2人で狙いますが、浮いてくるタナや場所が1投毎にバラバラで狙いが絞れません。矢引きまで浮いたかと思うと次は2ヒロくらいと一定しない中、1度だけ奇跡的にタイミングが合って力強い引きをとらえることができました。しかし、ウキ下が深過ぎたようで50㌢弱の尾長グレの姿が見えた瞬間にハリのチモト付近でハリスが切れてしまいました。

その後、50~60㌢のイズスミが増え始めたと思っていると、真緑色の潮がまた戻ってきました。結局、わずか1時間ほどで尾長グレもイズスミも姿を消し、さらなる追加がないまま納竿時間となってしまいました。

グレ釣り一直線9-10

磯の取り合いもなく、安心して楽しめる磯釣りを提供してくれる林渡船。半夜釣りが始まるこれからは足繁く通うことになりそうです。

今回は思うように釣れませんでしたが、5月からは尾長グレの期待感が高まる半夜釣りが始まるので近々リベンジに行ってきます!!

タックルデータ

竿 シマノ・ファイアブラッド オナガ ゲイルバード1.7-530
リール シマノ・BB-X ハイパーフォースC3000DXG S
道糸 ゴーセン・リミテーション磯プログレッサ2.5号
ハリス ゴーセン・フロロファイタールーツX2.5号
ハリ ハヤブサ・鬼掛尾長ネムリ6〜7号

撒き餌 マルキユー・グレパワーV9徳用
マルキユー・グレパワーV11
マルキユー・グレベスト

釣行メモ

渡船 林渡船
HP http://hayashitosen.com
住所 和歌山県西牟婁郡すさみ町見老津286
電話番号 0739-58-0037
料金 4,000円
弁当は700円
備考 渡船店にて受付(乗船名簿記入)をしたあとに渡船乗り場へ移動して乗船。渡礁する磯は船長の判断によって割り当てられる。釣り終了後、港にて料金を支払う。
餌店 フィッシングベース海クン0739-45-8450

【桑原英高プロフィール】

グレ釣りを始めたのは小学生低学年。それから紀伊半島をホームグランドとし、固定仕掛けを基軸とした独自のスタイルでグレを追いかける。トーナメントよりもスレッカラシのグレを攻略するのが得意。シマノフィールドテスター、ゴーセンフィールドテスター、ONIGAKEフィールドテスター、マルキユーフィールドスタッフ。紀州グレ研所属。1969年生。

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