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桑原英高のグレ釣り一直線・尾長グレ追求編 vol.7【春の食い渋り対策】

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小さなアタリがとれるようになれば釣果が大きく向上します。

ごく小さなアタリをとるために
ウキの浮力が不可欠です

ウキを沈めて探る釣りが1つの主流になっていますが、グレが食い渋る春の低水温期はウキを浮かせるスタイルの方が有利な場面も多いものです。ウキに現われる小さなアタリをとることができれば、さらなる釣果が…!!

(文:桑原英高)

私たちグレ釣り師の頭の中には「低水温=深ダナ」という図式がありますよね? 確かに昔はそうだったように思いますが、近ごろの和歌山県下の釣り場に関してはそれが当てはまらないことが多々あります。十数年前からは、真冬の低水温期にも2~3ヒロ、ときには1.5ヒロほどのウキ下で食ってくることがあると感じます(かといって深いタナでは食わないのかというと、そうでもないから不思議です)。実際、私は同行する友人たちよりもかなり浅いウキ下で狙ってよい釣果を上げています。

ただ、低水温期に浅いタナでグレを釣るにはちょっとしたコツが必要です。そこで今回は、春にありがちな厳しい状況下でも釣果を得られるように、浅ダナを主に狙う私の手のうちや考え方を紹介したいと思います。

低浮力のウキを用いた
釣りもやり込みました

私が車の免許を取得して南紀方面に通いだした25年ほど前は、浮きグレといえば秋磯独特の現象でした。それがなぜか近ごろは1年を通して見られるようになり、それに合わせて釣り方もかわっています。

現在のグレ釣りの主流の1つとして0号や00号といった低浮力のウキを用いるスタイルがあります。仕掛けがなじんだとき、あるいは潮ヨレなどのポイントをとらえたときにウキがジワジワと沈むセッティングにして刺し餌を深場へと送り込んだり、ウキの抵抗による違和感を低減するために道糸を張って穂先やラインでアタリをとる方法です。最近、私はこのような釣り方をあまりしなくなりました。

グレ釣り一直線7-6

尾長グレを釣ることを想定すると、餌を吸い込むだけの小さなアタリをとれるようになることが特に大きなアドバンテージとなります。

10年ほど前にある大会に出たとき、0号のウキをセットして釣り始めた相手選手から「桑原さんはこんな釣りはしないでしょう」といわれたことがあります。決してしないわけではありません。というか、そういった釣りは自分なりに満足できるレベルまでやり込みました。『関西のつり』誌にて20年近く続けた私の連載をご覧いただいていた方はご存知だと思います。バックナンバーをお持ちであれば連載当初の私の記事をご覧下さい。現在の主流である釣り方とまったく同じことをしていると思います。ちなみに、今では当たり前となった「潜り潮」という言葉は当時に私が使い始めた記憶があります。

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現在、私は7割ぐらいウキを浮かせて釣っています。なぜ釣り方がかわったのか? 前述の通り、グレの行動パターンがかわってきたからです。低水温時に浅いタナで食ってくるグレを釣るにはウキを浮かせておかなければならない理由があるからです。

居食いの行動を取る
グレのアタリをとるには…

では、具体的な話をしていきましょう。

冬場のグレ釣りでは、刺し餌がまったく取られないということをよく聞きます。しかし、実際にはすべて取られるまではいかないものの、何らかの変化が刺し餌にでるものです。その取られ方からグレの存在を知ることができるだけに見過ごすわけにはいきません。

完全になくなっているときや、ハサミでスパッと切ったかのように頭が取られているのはグレの仕業であることが多いです。このような取られ方をしたときはグレだと思ってハリに掛ける努力をしなければなりません。

ただ、そうした取られ方をするときはごく小さなアタリとなることがほとんどです。理由は、カワハギのようにその場にいながらスッと刺し餌を吸い込んではすぐに吐き出すという、いわゆる居食いの行動を取るからです。その際に刺し餌を口に含む時間はわずか1秒未満。その瞬間的な反応を穂先やラインを通して体感的にとらえるのは難しいものがあります。

その点、海面に浮かせたウキにはわずかながらにでもアタリがでます。そので方は、ウキがわずかに横ブレしたり、ヘッドが押さえられるなど、とにかく小さいことから集中してウキを見ていないとまったくわかりません。

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そうしたわずかな変化をとらえるために、小粒でG2以上の浮力があるウキを使います。そして、基本的にウキから下は完全フカセとします。浮力調整のためのシズを打つ場合もありますが、ウキの浮力を完全に残したいがためにシズは極力使用しません。

ただし、ウキが波に乗って上下するときは話が別です。ウキに引っ張られるように上下する刺し餌の動きをグレが嫌うことがあるため上下動を抑える目的でオモリを使用します。使用するオモリの重さは、波のやや下をウキが通るように調整できるものとします。

また、風が強い場合もオモリの手助けが必要です。ポッカリと海面に浮いたウキは風の影響をモロに受けるからです。この場合、私は図のような打ち方をします。B~3Bぐらいの高浮力のウキをセットし、風の影響を受けて滑っている表面の流れと、本来の流れの境めの下にオモリを打ちます。完全フカセ部分が安定するように重めのオモリをセットし、道糸を張り気味にして海面を滑るウキの動きをセーブしながら刺し餌に変化がでるタナやポイントを探ります。

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オモリの有無にかかわらず、刺し餌に変化が見られるたびに少しずつウキ下を浅くしていきます。ウキ下の調整と聞くと、矢引き~1ヒロごとの調整を考える方が多いですが、居食いをしている魚を釣るときは長くても10㌢刻みです。ときには5㌢刻みの調整が必要になるほどシビアなこともあります。それがバッチリと決まればウキに何らかの反応がでるはずです。

注意していただきたいのは、ウキ下がバッチリと決まったからといってウキがスッと消し込むアタリがでるわけではない、ということです。それを期待していると、アタリがでていることに気づかないまま終わります。そもそも、鋭いウキ入れを期待するならこの釣り方は不向きです。

また、刺し餌の回りに撒き餌が常にあることを意識することも大切です。仕掛けと刺し餌が撒き餌に追従する釣り方ではなく、グレが居食いする一定のタナで撒き餌と思わせて刺し餌を食わせる釣り方であるからです。仮に刺し餌を取るタナが2ヒロであるなら、撒き餌が2ヒロ以上入ったところで追い打ちの撒き餌を打ちます。そうして刺し餌が撒き餌で常にカモフラージュされている状態を作ることが欠かせません。

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刺し餌の回りの撒き餌を絶やさないことも重要です。

今回紹介した釣り方は3ヒロまでの浅いタナで、アタリがないまま刺し餌を取られるときに行なう私の1つのパターンです。特に、良型の尾長グレを釣ろうと思えば欠かせない方法です。実際には、さらに細かいノウハウがあるのですが、それをすべて紹介するには文章量が膨大になります。またの機会にさらなるコツを紹介したいと思います。

見逃しているアタリをきっちりとものにすれば、自分1人だけが入れ食いなんてこともあります。〝釣れた〟よりも〝釣った〟という感覚を得やすいスタイルだけに、チャレンジして高い満足感を味わって下さい。

タックルデータ

竿 シマノ・マスターチューン イソLIGHT TUNE1.2-530
リール シマノ・BB-X ハイパーフォースC3000DXG S
道糸 ゴーセン・リミテーション磯プログレッサ1.75号
ハリス ゴーセン・フロロファイタールーツX1.75〜2号
ハリ ハヤブサ・速掛グレ浅層攻略5〜6号

【桑原英高プロフィール】

グレ釣りを始めたのは小学生低学年。それから紀伊半島をホームグランドとし、固定仕掛けを基軸とした独自のスタイルでグレを追いかける。トーナメントよりもスレッカラシのグレを攻略するのが得意。シマノフィールドテスター、ゴーセンフィールドテスター、ONIGAKEフィールドテスター、マルキユーフィールドスタッフ。紀州グレ研所属。1969年生。

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