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【特集・投げ釣り】松尾幸浩さんのカレイ釣り戦略(前編)
カレイ釣りの実戦ノウハウ
シーズンの考え方
12月いっぱいは産卵のために体力をつけようと餌が豊富な浅場で荒食いをする、というのがカレイ狙いにおける初冬のセオリーであるのはご存じの通り。そのいわゆる乗っ込みの釣り場として毎年10月中ごろから注目されるのが兵庫県の東二見人工島である。
今年(2017年秋から)の好況ぶりは前述した通りだが、良型が上がっているのは南面の沖向きだけではない。取材当日には北面にある水道筋の足もと狙いで44㌢という大型が上がっている。この大型を釣った、関西のつり誌でおなじみだった東 照夫さん自身も「ホンマに足もとやったからビックリした」と驚いていたように、ごく浅いところへ進出してくるのは乗っ込み期ならではだ。「チョイ投げでも大型を手にするチャンスが十分にある」と松尾さんがいうように、ルアーロッドなどを用いた気軽なスタイルでも十分に通用するのがこの時期だ。興味がある方は乗っ込み期に実績が高い近くの釣り場でチャレンジするといいだろう。
さて、カレイは冬の深まりとともに深場へと落ちていく。東二見人工島界隈では1年を通してキスが釣れるほど水温が安定している播磨新島回りの深場へと釣り場がシフトする。「釣れなくなったら向こうに行けばいいだけやで」とベテランが笑うように、深場と浅場が隣接する条件であれば落ちへと移行するタイミングがつかみやすくてロスがない。キスの釣れ具合を1つの目安として水深のある釣り場を探れば釣行するタイミングを大きくはずすことはないだろう。
釣り座選択の考え方
定点でじっとして流れてくる餌を捕食するカレイを狙う場合、ポイントのセレクトはとても重要である。その選択にあたって松尾さんがまず目をつけるのがタコツボや魚の網が入っている目印となるブイの位置だ。それがあるところは魚が集まる条件(シモリや窪みといった地形の変化や潮流の変化)が整っていると考えられ、釣りのポイントとしても有望であることが多い。初めて釣行する釣り場では状況を把握するのに時間がかかるが、ひとまずブイを目安に釣り座とポイントを定めれば何らかの反応が得られて次なる展開への道筋もつけやすくなるとのことである。
あとは竿から伝わる感触やラインを通して伝わる仕掛けの動きなどからポイントを精査し、そこへ流すにはどうすればよいかを考えていく。こちらについては実釣アドバイスにて詳しく解説したい。
条件考察
前述した通り、カレイはキスのように餌を求めて活発に動き回る魚ではないため、流れがない状況では餌との接点が減ってアタリが遠くなる。逆にいえば流れがあるほど仕掛けが動き、広範囲を探れるためヒットチャンスが増えるということである。カレイの実績場の多くが急流域付近にあることを考えても流れの存在が不可欠であることがわかる。
もっとも、急流域においては流れの対策も必要となる。ポイントをじっくりと攻められるようにオモリを重くすることはもちろん、潮流が緩むタイミングに餌をたくさんつけて勝負をかけるなど力の入れ具合を考えなければならない。取材当日もそうであったが、急流域において適度な流れとなりやすい上げ下げの7分と3分から潮止まりまでのタイミングは時合到来の1つの目安になるから集中して攻めるべきとのことである。
そして、餌取りは少ない方が絶対によい。ただし、朝夕のまづめどきはチャリコやフグなどの活性も高まりやすいため、流れが出始めてカレイの食いが高まるまでは1本バリにするなどの工夫が必要だ。ここで辟易して手返しが鈍れば餌が残るタイミングを見逃すことになるので要注意。きちんと打ち返しを続けて餌の残り具合を常に把握し、チャンスと見るや2本バリにかえて勝負をかける。
当日もまづめどきは餌が残らなかったが、投げ返しているうちに残るようになった。「そろそろくるで」といいつつ餌のボリュームをアップした矢先に本命がヒットしたことからも、餌取りはカレイの時合を占う1つのバロメーターといえる。そう考えてうまく付き合うことがカレイを手にする近道にもなる。
(後編に続く)
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