桑原英高のグレ釣り一直線・尾長グレ追求編 vol.4【尾長グレとの出合いとスタイルの確立】 | 関西のつりweb | 釣りの総合情報メディアMeME - Part 2

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桑原英高のグレ釣り一直線・尾長グレ追求編 vol.4

本田さんの釣りを勉強して
自身のスタイルを確立

朝からアシカに乗って釣りをしているときでした。45㌢クラスの尾長グレが足もとに見えていますが、刺し餌には見向きもしてくれません。「クソ~ッ、何で撒き餌は食うのに刺し餌は食わんのじゃ!!」といつものように頭を抱えていると、本田さんがやってきました。「どやっ、釣ったか?」との問いに「見えているけどまったく食いませんね」と答えると、本田さんは撒き餌を打ち始めました。そして、朝から私が狙っていた45㌢クラスの尾長グレをすぐに発見して「あいつ、食うやろ!!」といって釣り始めました。自身が朝からずっと狙ってもまったく食わなかっただけに「釣れるわけないやろ」と思っていましたが、本田さんは10分もしないうちに簡単に釣り上げてしまいました。これはさすがにショックでした。

それから本田さんと並んで竿を出す機会が何度もありましたが、私が狙っても食わなかった尾長グレをあとからきてポコポコと釣ったり、磯に上がって撒き餌を10分ほど入れたかと思うと「今日はあかんわ!! 桑原君、さっさと帰った方がええで~」と竿も出さずに帰ることもある(実際、そのような日は夕方まで粘っても何も釣れませんでした)など、その釣りを見るたびに理解できずに悩まされました。

「自分の釣りとの違いは?」「潮の見きわめ方は?」と、本田さんの釣りを見ながら必死で勉強していると、だんだんと違いがわかり始めました。そして「お前の釣りは口太グレや撒き餌に狂った魚を狙うものやったけど、やっとかわってきたな~」と本田さんにいわれるころにはスレた尾長グレも徐々に食わせられるようになっていました。ただし、状況がわるい日はどうしても本田さんのようにはいきません。

その原因は竿の長さだと気づいていました。しかし、お気に入りだった初代BB-Xスペシャル1.5号54‐60を使っていると、本田さんたちが使っている8.1㍍の長い竿は重くて使う気になりませんでした。本田さんにも長竿を何度もすすめられましたが、自分が使っている竿でどうにか釣りたいという思いが強く、またまた試行錯誤が始まりました。

その結果、長竿の釣りの基本が理解できるようになりました。「こうすれば同じようになるかも?」と試すことがたくさんありましたが、徐々に不可能が可能になって自分の尾長グレスタイルができ上がりました。

竿の長さの違いと聞けば、ほとんどの人は取り込みや手返しのことを考えるでしょう。しかし、実際にはスレた尾長グレに刺し餌を食わせるために長い竿が必要なのです。説明はまたの機会にしますが、私がウキをヨウジで固定するのもスレたグレを釣るための仕様であり、潮岬での経験からきたものなのです。

さて、ようやく自分の釣りを確立させたころには潮岬の大型尾長グレは姿を見せなくなりました。何度か海面に浮かせたことがある60㌢オーバーも仕留めることができずじまいです。

やがて本田さんと行きつけの渡船店の船頭さんが亡くなったことから潮岬へほとんど釣行しなくなりました。それでも大型の尾長グレを釣りたいという気持ちはおさまらず、伊豆諸島の三宅島、男女群島や奄美大島といった九州の離島へ何度も行きました。あちこちの離島で60㌢前後の尾長グレはかなり釣りましたし、20回ほど釣行した男女群島ではサメ瀬にて自己記録となる63㌢の尾長グレを仕留めることができました。

一直線 尾長グレ4−7

自己記録の63㌢は男女群島でキャッチしたものです。

ただし離島の場合、釣れる磯に上がって魚が見える状況になれば比較的簡単に釣れますし、本流釣りが可能ならば速い潮に仕掛けをなじませることさえできれば釣果を上げるのはさほど難しくありません。やはり見えているもののなかなか食わない居着きのスレッカラシの個体との知恵比べこそ尾長グレ釣りの醍醐味であり、おもしろさだと思うだけに、近ごろは紀伊半島の他、四国西南部の釣り場へ釣行することが多くなっています。

口太グレと尾長グレの違いについて

口太グレと尾長グレの見わけは、ベテラン釣り師なら簡単だと思います。しかし、ビギナーはそうはいかないでしょう。そこで口太グレと尾長グレを少し比較してみたいと思います。

まずは姿から。口太グレは見た目がザラザラしている印象があります。それは尾長グレと比べてウロコが大きいうえ、1枚1枚に黒い縁取りがあるように見えるからでしょう。それに対して尾長グレはウロコが細かく、縁取りがないため見た目にツルツルとしていてきれいです。

  • 一直線 尾長グレ4−3
    尾長グレです。エラに黒い縁取りがあります。また、ウロコが細やかで、縁取りがないため見た目にツルツルとしています。

次に尾長グレと呼ばれる所以の特徴的な尻尾について。個体差はありますが、尾長グレの尻尾は三日月形に大きくくびれています。一方の口太グレは、くびれが多少入った個体もいますが、基本的には尻尾の上下を広げるとまっすぐになっています。

3つめはエラブタ。尾長グレには口太グレにはないまっ黒な縁取りがエラブタにあります。口太グレと並べて比較すれば、その違いは一目瞭然です。

  • 一直線 尾長グレ4−5
    尾長グレの歯は細やかながらもギザギザとしていて鋭いのが特徴です。

最後は尾長グレ最強の武器と言える歯です。口太グレとは比べものにならない圧倒的なパワーも尾長グレの武器といえますが、それ以上にやっかいなのが歯でしょう。口太グレの歯は、見た目はギザギザしていて尾長グレよりも鋭そうですが、実際には歯ブラシのようにやわらかくてハリスが当たっても切れることはありません。そのため、わざとハリを飲ませる方が取り込める確率が上がります。

一方、尾長グレの歯は小さいので目立ちませんが、サンドペーパーのようにかたいギザギザ状になっていて太いハリスも簡単に切ってしまいます。尾長グレをバラす原因のほとんどが、この歯によるチモト切れです。それを回避するにはクチビルにハリを掛ける必要があります。ハリを飲まれても、ハリスがカンヌキに入って運よく歯に当たらないこともありますが、確実に取り込むにはハリを飲まれないようにすることが欠かせません。

尾長グレと口太グレの違いは以上です。トップの写真を見るとわかる通り、尾長グレはやっぱりきれいですね。

【桑原英高プロフィール】

グレ釣りを始めたのは小学生低学年。それから紀伊半島をホームグランドとし、固定仕掛けを基軸とした独自のスタイルでグレを追いかける。トーナメントよりもスレッカラシのグレを攻略するのが得意。シマノフィールドテスター、ゴーセンフィールドテスター、ONIGAKEフィールドテスター、マルキユーフィールドスタッフ。紀州グレ研所属。1969年生。

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