寒グレ、50㌢超級必釣マニュアル【前編】 | 関西のつりweb | 釣りの総合情報メディアMeME

寒グレ、50㌢超級必釣マニュアル【前編】

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紀伊半島でも50㌢クラスのグレにアプローチできるようになりましたが、相手は数々の修羅場をくぐり抜けてきているだけにそう簡単には釣れません。夢の50㌢オーバーに出合うには何を考えて、どのように攻めればいいのか? 中~南紀での私自身の実績をもとに解説してみましょう

(文:森 康人)

人それぞれ楽しみ方に違いがありますが、ここまでグレのフカセ釣りが浸透して数多くの釣り人に人気のある理由はなぜでしょうか。それは、フカセ釣りという遊びならではの食わせるまでのゲーム性はもちろんのこと、繊細なタックルで挑む良型グレとのスリリングなやり取りが何ともいえないほどおもしろいからではないでしょうか?

繊細な仕掛けで40㌢以上ある良型グレを相手に取るか切られるかの駆け引き。釣り人であればおもしろくないわけがありません。それがもしも50㌢を越すような大型のグレだとすれば…。考えただけでわくわくしてきます。

私自身、若いころはより多くのグレを釣ることを楽しみにしていましたが、歳月を重ねるにつれて少しでも大きなグレに魅力を感じるようになりました。それとともに自らの釣りスタイルも数釣りから良型狙いへとかわりました。

「釣行するのなら魅力のある釣り場へ!!」「狙うなら良型を!!」 そして何よりも「デカいグレを釣りたい!!」 そんな考えで必然的に釣行先も型のいいグレが狙える釣り場へとかわっていきます。

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運の要素も強い大型狙いですが、対峙できるチャンスをつかんだときに釣る確率を上げる方法はあります。考え方と技術を覚えてチャンスをモノにしましょう。

ところで、私たちがホームグランドとしている紀伊半島の釣り場で、大型と呼べるサイズのグレは何㌢からでしょうか?

高水温化の影響か? 私がいつも釣行している中紀周辺で50㌢オーバーの口太グレが頻繁に取り込まれるようになっています。それほど50㌢オーバーのグレが身近なものとなってはいるのですが、やはり私個人の意見としては紀伊半島であれば50㌢を境に大型グレと呼ぶべきだと思います。ただ、紀伊半島の釣り場では大型の尾長グレは希少です。したがって、メインターゲットとなるのは大型の口太グレです。

さて、その大型の口太グレですが、比較的高確率で釣れるようになったとしても、まだまだビギナーの釣り人からすれば夢の世界です。そこで、夢の50㌢に巡り合うためにはどのような釣り場を選択し、どのようなポイントを、いかなる攻め方で狙えばいいのか? また、その場合の注意点は?

これらいくつかの点について、中~南紀での私自身の実績をもとに「狙える釣り場と条件」「ポイントの考え方」「ウキ下の設定」「タックルバランス」「撒き餌の打ち方と投入点について」 そして最後に、多くの釣り人が今なお誤解している「グレのアタリ」について話を進めていきたいと思います。

50㌢超の口太グレが狙える釣り場と条件

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紀伊半島の磯で大型のグレが狙える条件として、どうしても外せないのが釣り場の選択です。

比較的コンスタントに大型のグレが上がる紀東方面を除けば、やはり中~南紀の釣り場では串本大島が最も高確率です。私自身の実績からしても、過去に中~南紀で釣った50㌢オーバーの口太グレのほとんどが串本大島の樫野地区で手にしています。

大島の樫野には昭和52年ごろから頻繁に通うようになり、すべての磯で竿を出しています。ただ、どういうわけか大型の口太グレを取り込んでいる磯は限られています。

47~48㌢のグレであればどの磯でも釣れたものですが、実寸で50㌢オーバーとなれば、ウス島で2匹、ウノクソで1匹、そしてカツオ島回りのヒラトコと小ガツオで各1匹と限られたエリアでの結果となっています。特にウス島では2匹の大型口太グレに加え、紀伊半島では大型?と呼べる52㌢の尾長グレも取り込んでいます。そんなことから大型グレに的を絞って狙うとなると、磯の選択が重要なキーワードとなるのは間違いないと思われます。

大型グレが釣れる磯の特徴

では、なぜ大型のグレがコンスタントに上がる磯は限られるのでしょうか? 数ある樫野地区の磯で先に私が名前をあげた磯の他、一般的に大型グレの可能性の高い磯として黒バナ、大ガツオ、西の長島などが有名です。そして確かに、それらの磯ではコンスタントに50㌢オーバーの口太グレが取り込まれています。

なぜ、それらの磯に集中して大型のグレが上がるのかについては正直なところ定かではありませんが、コンスタントに取り込まれていることは事実です。あえて共通した点をあげるとすれば水深にあるように思えます。

紀東は中~南紀に比べると水深の深い磯が多く、その釣り場のキャパが魚の大きさに比例して大型のグレを育んでいるのでは? と思ったことがあります。

南紀の磯釣りのメッカとして今なお人気のある枯木灘。私も以前は毎週のように足を向け、今までに数え切れないほどおもしろい釣りをしています。ですが、どういうわけか、この方面では45~48㌢のサイズなら結構釣ってはいるのですが、50㌢を越すようなサイズは取り込むことができていません。

そのことから考えても、大型の口太グレを狙うとなると潮流の影響は当然として、水深が何らかの形で影響しているのではないかと思われます。

枯木灘側の釣り場は紀東方面に比べて比較的水深の浅い磯が多く、また、大島に比べると潮流が速いことから産卵を迎える大型の口太グレにすれば条件がよくないのかもしれません。足もとからたっぷりと水深があり、どちらかといえば黒潮の影響をまともに受けない釣り場というのが大型が高確率で出る条件であることは間違いなさそうです。

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足もとからたっぷりと水深のある紀東方面ではデップリとした大型が出るという印象があります。

その大島で大型の口太グレを狙えるのはズバリ!! 寒グレシーズンです。というより、寒グレシーズンでなければ大型のグレに出合える確率はグンッと下がってしまいます。普段からコンスタントに中型のグレが釣れる枯木灘側の釣り場とは対照的に、串本大島は典型的な寒グレ釣り場といっても過言ではないのです。

ただ、その時期以外は釣れないのかといえば決してそうではありません。実際に知人が11月の初旬に樫野の湾内磯で、それも2週間立て続けに52~53㌢を取り込んでいるケースもあります。

大型グレのヒット率が高まる条件

では、寒グレシーズンに先にあげた磯に上がれさえできれば大型グレがヒットするのか? についてです。これに関して私の記憶によれば、過去に取り込んだ大型グレのほとんどは、その磯に上がれるか否かの極限状態の日に取り込んでいるのです。これは大島だけではありません。ホームグランドの大引でも過去に2匹の50㌢オーバーを取り込んでいますが、いずれも大荒れの日だったことを覚えています。

確かにグレのフカセ釣りは海が少々荒れたときに大釣りをよくします。大型グレの場合、その傾向がより顕著です。海が荒れることによって警戒心が薄れるせいでしょうか、とにかく波気のある日が大型グレ狙いの好条件であることは間違いありません。

寒の時期に水温が安定し、下り潮が沖をかすめるように流れ、なおかつ適度な波気がある日がベストです。一般的に寒グレ釣りにはサラシは不向きといわれますが、私はそのようなことはないと思います。一発大型のグレは確実に荒れ気味の日にヒットしているのです。

それともう一つ、大型のグレは同じ時期に集中して上がります。その年の水温は黒潮の流れ方によって決まります。だから一概にベストな時期を限定できませんが、過去の実績からすると2週間から3週間ぐらいの決められた時期にまとまって取り込まれている傾向が強いです。

そのことから考えても情報収集及び過去のデータの把握が非常に大切です。水温、黒潮の流れ方を観察しながら釣果情報にアンテナを張り巡らすことです。また、過去にたくさん大型グレが釣れた条件と重なるような潮回りは要注意です。そのような週に水温、潮の流れが過去のデータと一致すればかなりの確率で期待できると思われます。