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きちんと理解できていますか? 紀州釣りのダンゴベース作りの要点を解説

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チヌの紀州釣りにおいてダンゴは釣果を左右する要素としてかなりのウエートを占めます。そのできしだいでは大釣りとボウズという差になることもあるほどです。ここではそれほど重要といえるダンゴ素材それぞれの役割から解説。紀州釣りの魅力の1つであるダンゴ作りについて今一度チェックしてみてはいかがでしょうか?

(文:藤原直樹)

【紀州釣りのダンゴ作りの要点①】基本素材の役割を理解しましょう

ダンゴのベース餌については、基本となるものと、追加するものをあらかじめ区別しておきます。

必ず入れなければダンゴとして成立しないものとしてヌカ類(ダンゴの主成分)、押しムギ(チヌの大好物)、砂(比重を持たせる)、サナギ(これもチヌの大好物)があげられます。これに集魚力を上げるために配合餌やアミエビなどを加えます。

それぞれを配合するにあたっては基本形(目安)がなければ、どの素材を増減させればよいのか、さらに何を加えればよいかなどがわからないと思います。そこで、まず考えたいのは基本となる素材がどのような目的で必要なのかを知ることです。

ヌカについて

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ダンゴの主成分として当たり前のように入れているヌカ(ダンゴの50〜60㌫を占めています)についてみなさんはどのような考えをお持ちでしょうか? 「ヌカに対して何をどれぐらい入れたらいいか?」という具合にヌカをベースにして各種素材の分量を決めておられる方も多いことでしょう。しかし、この考え方は何のためにヌカを入れるかを少し勘違いしている感があります。

私はダンゴのまとめ役としてヌカを使っています。ですから、一番最後にヌカを入れてダンゴを完成させます。もちろん、ヌカにはまとめ役以外に海中で濁りを発生させ、集魚効果を狙う意味もあります。しかし、実際には魚が寄ってヌカをつついたりしない限り、釣り人が期待するほどの集魚効果があったり、濁りは発生しないと考えています。

押しムギについて

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押しムギはチヌの大好物です。それと同時に視覚的な集魚力があるうえ、ダンゴの「割れ」を促進する役割を担っています。

砂について

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砂についてはダンゴに重さを持たせるために必要不可欠です。ポイントまでの距離や水深などに適した重さでなければ紀州釣りは成立しません。

サナギについて

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サナギもチヌの大好物です。ただし、紀州釣りの場合には細びきサナギを使用することから、チヌに食べさせるというよりは匂いと視覚(サナギは浮く性質があります)効果による集魚力に期待しています。また、ダンゴのバラケの促進(他の成分と結びつきにくいため)の役割を担っています。

分量をかえるだけでさまざまなダンゴ作りが可能

ここまでが基本となる主な素材ですが、この4つの配合パターンをかえるだけでもいろいろなタイプのダンゴができてしまいます。集魚力が高くてバラけやすいダンゴ(押しムギとサナギを多くする)、またその逆で割れにくいダンゴ(ヌカを多くする)、比重の重いダンゴ(砂を多くする)、軽いダンゴ(砂を少なくする)といった具合です。

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4種の分量をかえることで性質の異なるダンゴに仕上げることができます。

この4種類の配合パターンをマスターすれば、各種状況にマッチするダンゴができるようになるでしょう。そのためにはそれぞれがどのような役割を持っているかをよく理解する必要があるわけです。

【紀州釣りのダンゴ作りの要点②】アミエビの使い方を理解しましょう

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以上の4種類に追加する配合物として配合餌やアミエビがあります。ここではアミエビの加え方と、加えるケースを説明します。

まず、アミエビは何の目的で入れるのでしょう? 1つは集魚力を上げるため、もう1つは重要な役割といえるダンゴに粘りを持たせるという目的です。

前述のダンゴの基本となる4つの素材の中で最も粘りを持っているのはヌカです。ただし、ヌカを入れ過ぎると粘りは出る(まとまる)ものの、比例してダンゴが軽くなってしまいます。

そもそも何の目的で粘りのあるダンゴにしたいかというと、ほとんどの場合は海中でのダンゴの割れを防ぐためでしょう。確実に着底してから割れるダンゴを作れなければ紀州釣りが成立しないからです。

その点でヌカを多く入れ過ぎて軽くなったダンゴは着底するまでに時間がかかります。また、潮などにも流されやすくなります。ポイントをしっかり作る必要のある紀州釣りでは手返しが遅くなって逆効果となります。

そのヌカを加えることによるデメリットをなくすために用いるのがアミエビです。アミエビを加えることでヌカよりも粘り気を出しやすいうえ、軽くなるというマイナス点を抑えることができます。さらに集魚力も期待できるとあって波止での紀州釣りでは加えられることが多いのです。

ただし、アミエビを加える際には注意点があります。特に、ダンゴベースが仕上がってから加えるときには長時間かけて混ぜ合わせ、ダンゴに「ダマ」ができないようにしましょう。

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このようなダマができないようにしっかりと混ぜましょう。

ちなみに、基本となる4つの成分でダンゴを作る際にもムラにならないよう均一にすることを心がけましょう。ムラがあるとダンゴが割れるスピードの他、かたさや重さなどがかわるからです。その結果、自爆したり、底まで届かなかったりするなど、釣りのリズムをわるくする要因となります。そのように悪影響を及ぼすムラが出やすくなるアミエビを入れる際には特に慎重かつていねいに混ぜる必要があります。

最初からアミエビを加えるつもりであれば、まずは砂と混ぜ合わせて1匹1匹がバラバラになるようにします。それからサナギを入れてさらによく混ぜ合わせ、アミエビに砂とサナギをつけるぐらいにまで混ぜ合わせます。より集魚力を上げたければこの状態でひと晩寝かせます。そして、仕上げにヌカを入れて混ぜ合わせ、まとまりのあるダンゴにしていきます。最後に押しムギを加えて完成です。

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砂とアミエビをしっかりと混ぜ合わせることから始めましょう。

押しムギを最後に入れるのは、水分を持つアミエビとひっついてムラなく混ぜ合わせるのが大変になるうえ、水分を吸って膨張するぶん視覚による集魚効果(海中でバラけた押しムギがひらひらと落下する様子がチヌに対する大きなアピールとなる)の半減につながるからです。このためアミエビを入れる際は押しムギを最後に加えることを忘れないで下さい。

なお、釣りの途中でダンゴに不具合が生じたり、市販の配合ヌカを使っているときなどにはマルキユーのチヌパワーが便利です。これだとアミエビほど気をつかわずに混ぜることができます。特に粘りだけがほしいとき(餌取りやボラなどにダンゴをつつかれるとき)には重宝します。水分が少ないダンゴであれば簡単に混ぜ合わせることができます。

紀州釣りにおいてダンゴは最も大切な要素です。基本をしっかり覚え、自分にとって一番扱いやすいダンゴを作ることを心がけて下さい。握りやすく、投入しやすく、割れるタイミングを調整できるダンゴが完成したとき、紀州釣りをマスターしたといえるぐらいの釣果が上がっていることでしょう。

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