50㌢超級が身近に!! 大型グレ、ヒット率向上の戦略を解説 | 関西のつりweb | 釣りの総合情報メディアMeME

50㌢超級が身近に!! 大型グレ、ヒット率向上の戦略を解説

低水温期大型グレ1

厳しいシーズンですが、大型グレのヒット率という点では最も期待できるときだといえます。数少ないチャンスをものにする集中力を保って50㌢超級のグレを手にして下さい

(文:小杉義文)

釣り師ならば誰でも大きな魚を釣りたいと考えていることでしょう。しかし、大型を選んで釣り上げるのは不可能です。とはいえ、大型グレに的を絞ることは可能です。それを実行するにあたって考えなければいけないのが低水温期における大型グレの行動や捕食のパターンです。

それを紹介するにあたり、まずは潜り漁をしている先輩について海へ潜ったときに目にしたグレの行動パターンから紹介しましょう。

海中で見た寒グレの行動パターン

低水温期は、水温が高いときのようにグレの絶対数は多くありません。それでもシモリが多い磯の周囲に居つくグレの多さには驚かされます。ひとことでいえば「グレだらけ」です。

おもしろいのは1つの群れが同じサイズで構成されていることです。20㌢のグレと50㌢のグレが共存することはなく、50㌢であれば50㌢同士が群れをなしていました。

数に関しては、私がよく目撃した30㌢クラスはひと群れで50〜100匹でした。ところが、40㌢クラスでは20〜30匹と少なくなり、50㌢オーバーでともなるとその半分程度でした。数と警戒心は比例するのか、30〜40㌢のグレは近づいてもあわてて逃げることはありませんでしたが、50㌢を越える大型は一定の距離を保ちながら逃げる行動を見せました。

低水温期大型グレ9

また、中・小型はシモリ、岩陰、穴の中、狭い割れ目などの回りをゆっくりと張りつくように回遊しながらも、シモリから離れて宙層で何かを捕食する行動も見せました。これを間近で見てからは、大型の生息域や行動、捕食パターンはまったく別ものだと認識しました。

大型グレに的を絞ることは可能。でもリスクあり

この日は釣りもしましたが、友人を含めて30〜35㌢がポツポツと釣れる状況でした。その中で私はわざとポイントとタナをかえて底を狙うことにしました。もちろんアタリは遠いですが、釣友が小さいながらもアタリをとらえているのを横目に根掛かりしながらも打ち返しを続けました。

やがて穂先を通してコツコツとした小さな魚信が手もとに伝わりました。ここぞとばかりに合わせると強烈な引きに襲われました。強引なやり取りでシモリから引き離し、何度ものされながらキャッチしたのは54㌢の口太グレでした。

低水温期大型グレ4
リスクはあるものの、大型にこだわった釣り方をすれば50㌢超級が釣れる確率は高まります。

この魚を取れたのは、中型のグレを捨てて大型に的を絞った釣り方をしたからでしょう。私以外の釣友も同様のパターンで結果を出しているだけに偶然ではないことは明らかです。

ただし、前述したように大型の群れは極端に小さいため、まったくアタリがないことも珍しくありません。また、バラしたあとはその日の釣りが終わるといっても過言ではありません。それほどアタリがなくなります。まさにワンチャンスの釣りというわけです。

このように活性が低い大型を相手にする場合はリスクがあることを頭に置く必要があります。


低水温期の大型グレ狙いの戦略

釣り場の考え方

低水温期に大型グレを攻略するにあたっての第一条件は波の穏やかな場所に釣り座を構えることです。産卵を控えた身重のグレは大波を避ける傾向があるからです。荒れ模様であれば湾内の穏やかな磯を選択するのが賢明です。

低水温期大型グレ6
水深は豊富に越したことはありません。

水深は深い方が望ましいです。特に、磯際からドン深で、海底が複雑な形状をしている場所が有望です。そうした形状の磯は根掛かりが多いですが、大型を釣るためなら仕方がないと割り切りましょう。

餌と仕掛け考察

餌は刺し餌、撒き餌ともにボイル沖アミを使用します。生の沖アミと比較すると浮きやすい傾向があり、撒き餌と同調しにくいイメージもある餌です。もちろん同調させられるに越したことはありませんが、人間が思っているほど海中での刺し餌の動きは単純ではありません。

低水温期大型グレ2
撒き餌、刺し餌ともにボイル沖アミを使います。

その原因としてあげられるのが刺し餌に必ずついてくるハリ、ハリス、道糸の存在です。これらが潮の抵抗を受けることで自然に落ちる撒き餌と合いづらくなります。軽い仕掛けだとことさらポイントへ入れるのは困難です。仕掛けの安定と撒き餌との同調を考えるなら、ポイントをダイレクトに攻められる重めの仕掛けを使用する方が効率的だといえます。

仕掛けの工夫について

私の場合、重い仕掛けに加えてウキ止めに工夫を凝らし、頻繁に行なう道糸の修正時にタナがボケるのを防いでいます。図のようにハリスで作ったウキ止めの下に少し短めのウキ止めを装着するパターンです。これによってライン修正をしても下のウキ止めが抵抗となって仕掛けが浮き上がりにくくなり、タナのズレを防ぐことができます。

そして、ハリスウキ止めの上に5〜10㍉に切ったアユ釣り用の目印マーカーを1ヒロ刻みで2つセットするのもミソです。これをつけるとウキがシモッたときでも刺し餌が入ったタナを確認できるため、正確性が増します(距離が遠いと確認できません。せいぜい磯際から竿2本ぐらいまでが限界です)。

低水温期大10型グレ

仕掛けのセッティングについて

道糸は潮の影響を考えればできるだけ細い号柄が有利です。しかし、海底のシモリに這わせたり、磯際ギリギリを狙うことを考えるとある程度の強度が必要です。最低でも2〜2.5号を使用したいところです。

竿は宙層で掛けたなら1.25号クラスで十分ですが、根際では強烈なパワーで走り回るためバットがしっかりとした1.5〜1.75号がおすすめです。

撒き餌は半日の釣りであれば6~9㌔のボイル沖アミが必要となります。投入時は潮かみの磯際に打ち込むのが基本ですが、沈むスピードと方向を見えなくなるまで目で追うことが大切です。

大型グレ狙いの実釣時の要点

ウキの浮力に関しては、潜り潮でジワリと沈むようにシズで調整します。ウキを水中に入れていくのは上潮に引かれないようにすることと、水中での抵抗を減らして食い込みをよくするためです。

ウキが潮に引かれて沈んだら竿先にでるアタリに集中します。アタリがなければ根に掛かる手前でウキゴムまで引き戻し、再び潮に入れていきます。これを繰り返して広く探ることでヒット率が上がります。

低水温期大型グレ8

引き戻すときは、刺し餌が取られていないかを意識しつつ抵抗を感じながらゆっくりと上げること。シャクるように引くと刺し餌がずれたりはずれたりするうえ、近くにいるグレが警戒して食いが落ちることがあるため注意して下さい。


以上が低水温期の私のパターンですが、大事なのは海底の状況をいち早く把握し、潮を読み、グレが捕食するタナを見つけることです。見えない海中を3Dでとらえ、想像力を働かせてファイナルシーズンに超大型グレをゲットして下さい。