桑原英高のグレ釣り一直線・尾長グレ追求編 vol.8【タックル考察】 | 関西のつりweb | 釣りの総合情報メディアMeME - Part 2

桑原英高のグレ釣り一直線・尾長グレ追求編 vol.8【タックル考察】

細いハリスを生かせるセッティングを考慮

グレ釣り一直線8-6

紀伊半島や四国西南部の警戒心の強い尾長グレを釣る場合、離島で使うような太いハリスは適しません。そのため細いハリスの性能を引き出せるタックルの選択が求められます。

さて、本題のタックルについてです。前述したように離島でさえも昔のように強力なタックルでは食わなくなっています。しかし、4~5号くらいのハリスなら十分に食ってくれます。せっかく高い費用を出して行く離島ですから、最初から2.5号や3号といったハリスを使わずに確実に取り込めるタックルでスタートしたいところです。

竿に関しては先調子のしっかりとしたタイプがいいでしょう。ゴツい仕掛けを用いてのパワー対決では胴調子の竿よりも勝負が早いですし、餌取りかと思うほどよく掛かることがある40~50㌢の口太グレを次々にブリ上げることを想定しても先調子が有利です。また、本流のはるか沖で食った場合も一気に竿を起こせるので取り込みに時間をかけずにすむという利点もあります。

そのような離島に対し、近郊の尾長グレは相当にスレているため4号や5号といった太いハリスでは刺し餌に見向きもしてくれません。とりわけ手ごわいのが四国西南部の尾長グレです。和歌山県下では波気が多少ある日の方が活性が高いことが多いですが、四国西南部ではなぜかベタナギのときの方が活性が高いことが多いからです。ベタナギの場合、尾長グレはよく見えるものの魚からも私たち釣り人の姿が丸見えとなるため、警戒心の強さがさらに増します。その結果、余計に釣りづらくなるのでしょう。

そのような警戒心の強い魚を相手にするとなると使うハリスも細くせざるを得ません。とはいえ、60㌢クラスをターゲットにするのであれば2号以下に落とすのは賢明ではありません。運がよければ取り込めることもありますが、むやみに細くして取り込めなければ意味がありません。

そのような細いハリスを使う際は、その性能を極限にまで引き出せるタックル選びが不可欠です。

居着きの尾長グレは磯際狙いがメインとなります。ときには磯際数㌢というようなところでないと食わないこともあるため竿は短い方が扱いやすいですが、魚が掛かってからは長いほど有利です。選択肢としては5㍍か5.3㍍かの2つになりますが、どちらを選ぶかは本人の好みになります。

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たった30㌢の差でも操作性が大きくかわります。

私の場合、潮岬の長竿釣法が釣りの基本となっているため、少しでも長い5.3㍍を選ぶことがほとんどです。細いハリスの強度を最大限に生かそうと思えば、タメがきく長めの胴調子の竿が有利なのです。潮岬でよく見かける長竿は8㍍級です。これほど長い竿のしなりは尋常ではありません。穂先が海中に突き刺さった状態でも、竿の反発力にはまだまだ余裕があり、魚ががんばって突っ込んでも竿が追従するのです。また、軟調竿ということもあって魚はたいして暴れません。スレッカラシの尾長グレに対しては理にかなった竿ですが、とにかく重くて実用的ではありませんし、長くてやわらかいため浮かせた魚を玉網ですくいにくいという難点があります。

5㍍と5.3㍍はたった30㌢の差ですが、竿を曲げるとその差は歴然です。しかし、磯際を攻めるときには30㌢の長さが邪魔になります。このためどちらがよいとはいいにくく、最終的には個人の好みになってしまいます。

私の場合、四国西南部や見老津へ行くときはシマノのファイアブラッド オナガ ゲイルバード1.7-53と極翔2-500を使いわけています。その他の中型(40㌢前後)の尾長グレがメインの釣り場ではシマノ・マスターチューンイソ LIGHT TUNE 1.2-530とBB-X スペシャル SZII 1.2-485/520を使いわけています。

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四国西南部へ行くときはシマノのファイアブラッド オナガ ゲイルバード1.7-53と極翔2-500を使いわけます。

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中型の尾長グレが主体の釣り場ではシマノ・マスターチューンイソ LIGHT TUNE 1.2-530とBB-X スペシャル SZII 1.2-485/520を使いわけます。

リールに関してはレバーブレーキつきスピニングリールが有利です。中でもおすすめなのがシマノのSUTブレーキ搭載モデルです。

磯際狙いでは、急な突っ込みで竿がのされると、細いハリスに負荷が一気にかかって張り切れる恐れがあります。その点で、尾長グレのスピードにローターの回転がすぐに追従するSUTブレーキなら、弾力がきく位置まで竿の角度をすみやかに立て直すことができるため張り切れを回避する可能性が高まるのです。

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SUTブレーキつきのリールを用いることで取り込める確率の向上が期待できます。

それはバランスが取れたハンドルを装着することでも対応できるでは? と思われる方もいるかもしれません。それも有効な手段ですが、SUTブレーキの有効性は自転車を漕ぐことを考えてもらうとよくわかります。ギヤが噛んだ状態と噛んでいない状態(逆にペダルを回す感じ)で漕いだときにペダルの回転が高速に達する時間が早いのはどちらかを想像して下さい。答えは明白ですね。いくらハンドルのバランスが取れていてブレなくても、ハンドル逆転にかかる負荷があるぶん立ち上がりの早さは鈍くなってしまうのです。なお、SUTブレーキはハンドルが回らないのでブレることもありません。

このように道具の進化は目を見張るものがあります。細いハリスを生かせるタックルの性能を駆使し、これからの尾長グレシーズンを楽しむとともに、目標である四国西南部の大型尾長グレのゲットしたいと思います。

タックルデータ

竿 ●シマノ・ファイアブラッド オナガ ゲイルバード1.7-53
●シマノ・極翔2-500
●シマノ・マスターチューンイソ LIGHT TUNE 1.2-530
●シマノ・BB-X スペシャル SZII 1.2-485/520
リール ●シマノ・BB-X テクニウムシリーズ
●シマノ・NEW BB-X ハイパーフォースシリーズ

【桑原英高プロフィール】

グレ釣りを始めたのは小学生低学年。それから紀伊半島をホームグランドとし、固定仕掛けを基軸とした独自のスタイルでグレを追いかける。トーナメントよりもスレッカラシのグレを攻略するのが得意。シマノフィールドテスター、ゴーセンフィールドテスター、ONIGAKEフィールドテスター、マルキユーフィールドスタッフ。紀州グレ研所属。1969年生。

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