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春に実践したい尾長グレを見すえた磯際戦略

尾長グレ&口太グレ9

産卵期に入って食い渋る口太グレ、それにかわって活性を上げ始める尾長グレともに、春の狙い目として最もよいのが磯際です。しかし、何かと変化の多いポイントとあって攻略はひと筋縄にはいきません。難しい釣りが強いられる端境期にもグッドサイズを手にできる戦略に迫ってみましょう

(文:森 康人)

グレを狙った春の磯際戦略

水温が安定しない春先、条件のわるい日に当たればグレのアタリさえ得られないことも珍しくありません。そんなとき、大半の釣り人が目をつけるのが磯際や深ダナです。

グレのフカセ釣りはターゲットの習性を利用し、撒き餌で魚を浅いタナ、釣りやすいポイントまで浮かせて狙う釣り方です。条件がいい日にはその撒き餌を追って広範囲にグレが動きます。そうしたグレが特に集まりやすいのがサラシの切れ目や合い潮、潮目といった撒き餌が溜まる場所です。ただ、水温が安定しないときなど、何らかの理由で魚の活性がわるくなった場合はつき場から大きく移動して餌を拾わないことが多々あります。これが一般的によくいわれる食い渋りです。

そのような場合、潮がかわるのを期待して時合を待つことなど時間のムダです。しかも、ただじっとアタリを待つだけの釣りはおもしろくありません。グレのフカセ釣りのおもしろさはゲーム性の高さにあるからです。釣れない悪条件の中で食わせることがフカセ釣りのおもしろさなのです。

そこで目をつけたいのが、もともと魚が居ついている住み家、つまり磯際や海底のシモリ回りです。そこを徹底的に攻めるのが磯際戦略です。

磯際狙いは有効な攻め方ですが、シチュエーション及びターゲットによって攻め方のコンセプトが異なります。わかりやすく1つの例をあげれば、尾長グレ狙いと口太グレ狙いです。その攻め方が根本的に異なることをみなさんはご存知でしょうか?

口太グレと尾長グレの狙い方の違い

水温が安定しない3月、産卵期が重なることもあって口太グレは極端に食い渋ります。ところが、串本方面の釣り場は少し様子が異なり、一発大型のチャンスを迎えます。年末から年明けにかけての最盛期のように撒き餌がなじむようなヨレばかりを狙っていても刺し餌すら取られない状況の中、磯際の宙層より深いタナを広範囲に探ることによって思わぬ大型の口太がヒットするのです。

磯際攻略に限らず、口太グレを釣ることは決して難しいものではありません。なぜ? それは口太グレの場合、餌を拾うタナのレンジが広いため、攻め方が少々誤っていようが、ウキ下がズレていようが、どこかで刺し餌を食ってくれるからです。このため口太グレに的を絞って磯際を狙う場合、仕掛けがなじむと徐々に深いタナを探れるような攻め方でグレのアタリをとることができます。

尾長グレ&口太グレ4
尾長グレ&口太グレ5

一方、尾長グレはそう簡単に食わせられません。

口太グレが食い渋る低水温期、関西圏でいえば串本周辺から枯木灘の一部の釣り場で尾長グレのアタリが見られるようになり、良型も期待できます。ただ、紀伊半島の場合、個体数が少ないうえ、連日のように入る釣り人が撒き餌をたくさん投入するため魚がスレており、思うように刺し餌を食わせることができません。

そのような尾長グレを食わせるために狙いたいのがズバリ、磯際なのです。同じ磯際狙いであっても口太グレ狙いと根本的に攻め方が異なります。その最も代表的な違いが餌を拾うレンジです。

たとえば口太グレの場合、3~4ヒロの幅広い範囲で餌を拾うとしましょう。しかし、尾長グレが浮上して餌を拾うタナは口太のようにアバウトではなく、必ず決まっています。ということは、その餌を口にするタナで撒き餌と刺し餌をタイミングよく合わせる作業を的確に行なわなければ釣れないわけです。極端ないい方をすれば、浮上して餌を口にするタナよりも深い層に入った刺し餌を尾長グレが食うことはありません。このことから同じ磯際狙いであってもタナを探りながら狙う口太グレとは違い、尾長グレ狙いでは完璧なウキ下の設定と撒き餌と刺し餌を同調させるタイミングの合致が要求されるのです。

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