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【磯釣り】グレにまつわる〝張り〟を考察〈若狭のパターン〉

グレ釣り 張り・若狭4

場合によっては張りが不要なケースもある。状況をよく把握して釣ることが大切だ。

〈若狭のパターン〉

いつも必要ではない。作るのは意外と限定的

刺し餌先行で流すための操作という認識の〝張り〟であるが、実はまったく意識しなくていいケースも多い。必要という声に惑わされて誤った操作をしないように、求められる状況をしっかりと頭に入れておきたい

(文:林 淳一)

フカセ釣りにおける〝張り〟とは…

〝張り〟は刺し餌を先行させるための操作であるという認識である。潮の流れが比較的緩いホームグランドの若狭の海においても自然に張りを入れることがある。そう考えると必要な操作であると思う。ただ、私の場合、ビンビンに張ることはあまりなく、道糸が少したるむようなイメージで流すことが多い。

ひと口に張りといっても、サソイのための操作や、止め釣りのように張りに似た操作もあるから説明は難しい。それに道糸を張る操作をまったく考えなくてもいい状況の方が実は多いだけに、張りという言葉に惑わされないことが大事である。そこで、ここでは張った方がいいと思われる海の状況について解説したい。

張りが必要な状況

グレ釣り 張り・若狭1

①潮目を作りながら左右に流れる潮を狙うケース…注意したいのは左右に流れている潮の見きわめである。当て気味に入ってきた潮が潮目を作って左右に流れているなら仕掛けを張る操作が必要になる。このような流れでは潮目や引かれ潮に道糸を取られて仕掛けがまっすぐに入らないことがあるからだ。また、地形変化の影響を受けて潜り潮などの複雑な流れが生まれることが多く、仕掛けをピンと張ることを意識しないとアタリがとりにくくなる。

また、潮目につくグレの活性は高いため仕掛けが入り過ぎないように張り気味に流す必要もある。さらに潮目へ投入すると仕掛けが立つ前にウキが沈むことがある。このため着水と同時に仕掛けを張る操作が必要になる。そのうえでウキを潜らせるようにすればアタリをとらえられる。

ウキが潜る状態で張りを作る操作を行なうのが難しければ、5Bのウキに2Bや3Bといった軽めのガン玉を打つなどウキが沈まないセッティングにするとよい。そうすれば仕掛けはピンと張った状態となるため一定のタナを流すことができる(潜り潮の強さによってはそれでも沈むこともある)。

ただ、1月中旬以降の寒の時期はグレのタナが深くなりがちである。したがって、張りよりも撒き餌と仕掛けの同調を意識して潜り潮をとらえることに注力する方がよいことも多い。そのあたりは微妙な駆け引きが必要になるので状況ごとに対応したい。

そして、潮目がなくて単に左右に流れている潮の場合は撒き餌と刺し餌の同調を意識し、ラインメンディングをきちんと行なって張らず緩めずの状態をキープして流すのがよい。それでアタリがでなかったり、食いがわるいと感じればラインを少し止めたり、引いたりするサソイを駆使して食いをうながす。このように張りとサソイの区別は難しいが、まったく別物の操作だと私は考えている。

グレ釣り 張り・若狭2

②潮が動いている中でサラシの切れ目を釣るケース(止め釣りに近いパターン)…これは2通りある。1つはサラシの中を張りながら流し、潮とぶつかるところでやや張りながら潜り潮に入れていくパターンである。もう1つは左右に流れる潮がサラシとぶつかる状況で、サラシの中に仕掛けが入る際に張りながら入れていくパターンである。いずれの場合もウキ下を浅くした固定仕掛けとし、サラシと潮がぶつかることによってできる潜り潮にゆっくりと入れ込むように釣る。

このときは撒き餌ワークも重要である。仕掛けを投入する前に1度、仕掛けを投入した後に潮かみに1度という具合にサンドイッチのように打って流すのが効果的だ。ただ、撒き過ぎないように注意すること。撒き過ぎるとグレのタナが深くなるうえ、潮目にまで餌取りが入ってくるからだ。やっかいな餌取りを制御するために、サラシの両脇と足もとにも撒き餌を入れ続けることも忘れてはいけない。

③潮と潮がぶつかって潜り潮が発生しているケース…左右に流れている潮と、岬や磯の先端部などで生まれる引かれ潮がぶつかるところには潜り潮が発生することが多い。これは①と②のパターンと似ているため釣り方も同様でよい。

②と③のケースで張りを作ると、突如としてでたグレのアタリに対応できずにラインブレイクしたり、掛かりが浅くてハリはずれすることが多くなる。そのためできるだけ張らず緩めずで流すことを意識したい(ウキが見えており、早合わせをする場合は別)。

グレ釣り 張り・若狭3

張りを意識しない、必要でない状況

潮が動いていないとき、当て潮のとき、変化もなく左右に流れているとき、強風時、二枚潮時、グレのタナが底付近であるときなどは張りを必要としない。

潮が動かず、餌取りが多いときに深いタナでデカいグレを狙って釣るパターンが若狭湾にあるが、これは張りを求めるというよりも止め釣りに当てはまる。釣り方は、撒き餌を集中的に打ったポイントの沖に3B~5Bといった少し重めのオモリをつけた深ダナ狙いの仕掛けを投入し、撒き餌の下まで寄せたら張らず緩めずで待つというもの。これが結構効果的であり、撒き餌をかぶせる方法よりもよく釣れたりするから試してほしい。

また、沖アミを打った磯際から仕掛けを離さないように釣る方法もあるが、これも止め釣りであって張りの釣りとはまた少し違う。

以上のように最初からグレ釣りには張りが必要という固定観念を持たず、海の状況に応じて必要かどうかを判断することで釣果アップが期待できる。

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