尾長グレの季節到来!! 実釣を通して紀北・矢櫃の釣りを紹介|桑原英高のグレ釣り一直線・尾長グレ追求編 vol.33 | 関西のつりweb | 釣りの総合情報メディアMeME

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尾長グレの季節到来!! 実釣を通して紀北・矢櫃の釣りを紹介|桑原英高のグレ釣り一直線・尾長グレ追求編 vol.33

尾長グレの季節到来-紀北・矢櫃

尾長グレ狙いがおもしろい時期になりました。近郊の尾長グレスポットである矢櫃もそろそろ調子が上向くころだと思って釣行してみると、イメージ通りに気配は濃厚。活性が高まる夕方にはウキが鋭く消し込まれるアタリがでて…!!

(カメラ/文 桑原英高)

夏が過ぎ、空気が乾燥して涼しい日が増えました。夏の間は涼しいアユ釣りに夢中になっていたグレ釣り師(私もそうです)もソワソワし始めておられることでしょう。

例年、この時期に私が目をつけるのは紀北の初島と矢櫃です。私の連載ではもう何度も紹介していますが、この2つのエリアは紀北にありながら40㌢クラスの尾長グレの魚影が抜群です。必ずといっていいほどよい型の尾長グレを毎年仕留めているとあって目が離せません。

良型の尾長グレが釣れる紀北・矢櫃の地磯について

矢櫃で良型の尾長グレを狙う場合、夕方前に竿を仕舞わなくてはならない渡船利用だと釣れる確率がうんと下がります(箕島漁港から出船するアリダ釣具店が渡してくれます)。というのも、良型のアタリは日没前後に集中するからです。

日中は、餌取りの猛攻が激しく、狙いのタナへ刺し餌がなかなか通らないという釣れにくい原因があります。しかし、それ以上に釣れにくくなる要因として経験を元に考えているのが、訪れる釣り人が少ないということです。そのぶん撒き餌がたまにしか入らず、活性が低い日中は沖の瀬から離れないため釣れる確率が低くなるのだと思われます。餌取りや木ッ葉グレばかりだった状況が夕方のあるタイミングを契機に突如として良型が入れ食いになることが多い点からも、その考え方が当てはまるのではないかと思います。

矢櫃の釣り場をよく知る人は、ウキが見えなくなる時間帯まで釣り続けます。ただし、地磯だけに無理は禁物です。慣れていない人には、日が暮れるまでの釣りは危険であるためおすすめしません。早めの行動を心がけ、明るいうちに磯を後して下さい。また、1人ではどうにもならないことも起こりうるため単身での釣行も控えて下さい。

ゴミのポイ捨ては絶対にダメ!!

そしてもう1つ注意していただきたのがゴミ問題です。矢櫃の地磯は私が子どものころから40年以上もグレ釣りを楽しんでいる釣り場です。近ごろは「記事を読んできました!!」と釣り場で声をかけられることも多くなってうれしく思いますが、ゴミがかなり増えていることを残念に思います。フェイスブックやブログでゴミのことを紹介したことで磯の上はきれいになりつつありますが、道中のゴミは悲惨な状況です。

矢櫃の地磯へ行くには傾斜のキツい個所もある山道を30分ほど歩かなければなりません。坂を上りきったところで一服をして水分を補給したり、パンを食べたりするのはいいのですが、そのゴミをポイ!! と捨てるのは厳禁です。我々釣り人のために自身の土地の道を開放しているにもかかわらず、ゴミを捨てられる状況に地主さんは怒りが込み上げてくることでしょう。自分の家の庭にゴミを置き去りにされれば誰でも腹が立つものです。

さらに、帰り際に畑の野菜を盗む者もいるとのこと。こんな犯罪行為も絶対にやめて下さい。

自分が捨てたゴミはもちろん、気がつけば拾うぐらいでなければ地主さんに申し訳ないです。ゴミ問題によって釣り禁止となっている釣り場が日本各地でどんどん増えています。道を封鎖されて困るのは私たちです。そうした基本的なルールがきちんと守れない人は矢櫃の地磯にはこないで下さい。

矢櫃の尾長グレ狙いでは撒き餌が釣果のカギを握る

台風14号が過ぎ去った10月11日、沖アミ6㌔とマルキユーの沖撃ちスペシャル、Ⅴ9徳用を背負子に積み込み、夕方の満潮前後を狙って矢櫃の地磯へと向かういつもの山道を歩きます。

久しぶりにきたとあって道中に何やら見慣れない看板が目にとまりました。よく見ると、ゴミのポイ捨てに関する地主さんからの警告です。

尾長グレの季節到来-紀北・矢櫃
これまでなかった看板が設置されていました。本当に悲しい気分になります。

何だか悲しい気分になりながら歩いていると、ズドド―ッ!! と地響きのような爆音が聞こえてきました。「何だ!?」と思っていると、私の目前を3匹のイノシシが疾風のように駆け抜けて行きました。これにはビックリです。

それからテクテクと20分ほど歩いて目的のヒラバへ到着です。

初めてヒラバに行くときは行きと帰りに干潮になる潮時を選んで下さい。というのも、満潮時は険しい崖を歩かなければならないからです(山からおりてきたところの真下にある高場なら安全に釣りができます)。その点、干潮時であれば山からおりれば水際伝いに歩いて釣り座へ向かうことができます。

尾長グレの季節到来-紀北・矢櫃
ヒラバの釣り座です。

台風の翌日とあって磯の上はゴミひとつない綺麗な状態です。その中でまずは撒き餌作りを行ないます。

タテゴとの狭い水道を釣るにはまとまりのある撒き餌が不可欠です。ヘタな撒き餌の打ち方では一面が餌取りだらけとなり、釣りにならないので注意が必要です。

そこで活躍するのがマルキユーの沖撃ちスペシャルです。まずは沖アミとⅤ9をよく混ぜ合わせ、海水をたっぷりと入れてドロドロのお粥状態にします。そこへ沖撃ちスペシャルを加えて練り込むとビシバシと決まる撒き餌に仕上がります。

尾長グレの季節到来-紀北・矢櫃
まとまりを持たせられる配合餌が不可欠です。

続いてタックルの準備です。

竿は1号相当の強さがあるシマノ・ファイアブラッド クレバーハントを用います。この竿はよく曲がりながらも曲がりきったところでのタメのパワーがしっかりとしています。1号の理想のような竿とあって使い勝手が良好です。

その他はリールにシマノ・ハイパーフォース3000DXGS、道糸にゴーセン・リミテーション磯CXフロート1.75号、ハリスにゴーセン・フロロファイタールーツX1.75号、ハリにONIGAKE・極軽グレ6号というセッティングとしました。そして、北からの風が結構強いことから0号のウキをセットし、やや沈め気味に流してみることにします。

尾長グレの季節到来-紀北・矢櫃
尾長グレの季節到来-紀北・矢櫃
このようなハリスとハリを用いました。

オセンを徹底的に分離することが尾長グレを釣るための必須項目

まずはウキ下2ヒロで様子をうかがいます。

撒き餌を入れると、すぐに周囲はオセンで真っ黒になりました。2~3投してみたもののまったく歯が立たないのでハリスにG7を2段に打ち、足もとに撒き餌をどんどん入れてから向かいにあるタテゴの磯際に仕掛けを投入します。

この釣り座で何度も仕留めた40㌢オーバーの尾長グレのほとんどは、このタテゴの磯際で掛けたものです。ただし、このポイントでは高活性のオセン対策が不可欠です。

撒き餌は沖へはしばらく入れず、足もとへ集中させます。それを続けていると、足もとはオセンで真っ黒になります。このときに撒き餌をケチッてはいけません。オセンが食べきる前に次、また次…、という具合に撒き餌をどんどん打つことが大事です。

それでオセンが食べ残した撒き餌が潮に乗って流れるところに狙いを絞り、刺し餌が残るようになれば作戦成功です。何度流しても刺し餌が残るなら、ほんの少しだけウキに撒き餌をかぶせても構いません。

尾長グレの季節到来-紀北・矢櫃
撒き餌はしっかりと用意しなくてはいけません。

以上のような作戦で釣り続けていると、20~25㌢クラスの木ッ葉グレがポツポツと釣れ始めました。

潮の流れはゆっくりとした上り潮です。昔はこの上り潮時にしか釣れませんでしたが、近ごろは上り、下りのどちらの潮でも釣れるようになりました。ただし、以前は速い上り潮に仕掛けを乗せた本流釣りで良型の尾長グレがアタりましたが、近ごろはゆっくりとした潮が走る状況下の磯際でしか食わなくなっています。

尾長グレの季節到来-紀北・矢櫃

本命の潮が流れる中、足もとの磯際、タテゴの磯際という具合に仕掛けの投入を繰り返しますが、木ッ葉グレと餌取りに刺し餌がすぐに取られます。そこで、刺し餌をマルキユーの特鮮むきエビに変更してみます。

尾長グレの季節到来-紀北・矢櫃
餌持ちのよさが特徴の特鮮むきエビです。

ボリュームがある餌とあって極軽グレ6号のハリだと刺しにくいため、沈め探りグレα7号に変更します。これで狙ってみると、あたりが真っ黒になるほど多くいる餌取りの中でも刺し餌が通ります。しかし、アタるのはサンバソウやイシガキダイの子どもばかり。どうやら型の良いグレは周辺にまだいないようです。

尾長グレの季節到来-紀北・矢櫃
尾長グレの季節到来-紀北・矢櫃
アタるのはサンバソウやイシガキダイの子どもばかりです。

しばらくすると、ゴウゴウと本流が走りだしたとともに風が強くなってきました。これでは仕掛けを流しづらいので少し休憩を取ることにします。パンやおにぎりを食べて時間を潰し、潮の流れが緩くなるのを待ちます。

やがて潮が緩くなりだしました。ここで時計を見ると16時。潮返しと夕刻が重なる絶好のタイミングです。

さあ、時合到来!! 35㌢の口太グレに続いて尾長グレがヒット!?

期待してウキ下2ヒロの仕掛けを投入すると、すぐにウキが消し込んで25㌢ほどの口太グレがヒット。いつものように日が傾き始めると、魚のサイズが大きくなるとともに入れ食い状態に突入します(とはいっても、25㌢クラスでは話になりませんが…)。

このクラスの口太グレが元気になってきたからか、あまり沖へ出ないなどオセンの動きが鈍くなってきました。とはいえ、尾長グレの気配がまだ感じられないことからセオリー通りに木ッ葉グレの外側をやや深めの2.5ヒロのウキ下で狙ってみます。

ほどなくしてウキが海中へ消えるとともに、これまでとは違う重量感が竿に伝わりました。きれいな弧を描く竿を眺めながらやり取りを楽しんで玉網におさめたのは35㌢弱の口太グレです。

尾長グレの季節到来-紀北・矢櫃
口太グレながらも狙い通りにヒットしました。

矢櫃のグレはこの時期でも脂が乗っていておいしいだけに、刺し身用にあと何匹か追加してやろう。そう思ったのが間違いでした。

30㌢前後を数匹追加したあと、ウキが一気に消し込まれたことからあわてて竿を立てると、ドン!! という手応えとともに1号竿が根もとから曲がる重量感が伝わりました。よし!! と思ったのも束の間、すぐに竿先が跳ね上がりました。原因はチモト切れです(泣)。この釣り場では大型のイズスミやサンノジはほとんどいません。チモト切れでバラす魚といえば良型の尾長グレであると考えられるだけにとても残念です。

すぐにウキ下を1.5ヒロに詰めて投入すると、先ほどまで釣れていた口太ではなく尾長の木ッ葉グレがアタるようになりました。しかし、上がってくるのは手のひらクラスばかりです。

このまま終わりか? と思ったところ、水平線に夕日が差しかかったタイミングで不意にきた波にバッカンがさらわれました。あわてて左手でバッカンを押さえたところ、竿を持つ右手がひったくられました。不意打ちとあって体勢がわるく、竿が棒引き状態になったことで一瞬にしてハリス切れ…。

この後、27㌢ぐらいの尾長グレを一夜干し用にキープしたところで撒き餌が底をついて終了。夏の間にアユ釣りばかりしていたせいで鈍った感覚を取り戻すにはちょうどいいリハビリになりました。

尾長グレの季節到来-紀北・矢櫃
今後に向けていい腕試しとなりました。

これから年内いっぱいが矢櫃のベストシーズンです。近いうちにリベンジしたいと思います!!

釣行メモ

渡船:アリダ釣具店

住所 和歌山県有田市宮崎町2496−48
電話番号 0737-83-6404
最寄りの釣り具店 紀の国屋・湯浅店(0737-63-4488
紀の国屋・下津店(073-492-4488
フィッシングモリタ(0737-82-1122

【桑原英高プロフィール】

グレ釣りを始めたのは小学生低学年。それから紀伊半島をホームグランドとし、固定仕掛けを基軸とした独自のスタイルでグレを追いかける。トーナメントよりもスレッカラシのグレを攻略するのが得意。シマノフィールドテスター、ゴーセンフィールドテスター、ONIGAKEフィールドテスター、マルキユーフィールドスタッフ。1969年生。
■ブログ:https://ameblo.jp/gureken-hk

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