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サーフの回遊魚狙いならカゴ釣りがベスト!! 七里御浜のスタイルを紹介

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紀東・七里御浜でハマチ・シオ・シマアジ・ソマガツオといった回遊魚を狙うスタイルとして有効なのが遠投カゴ釣りです。そのスタイルで好釣果を上げるためのコツを紹介しましょう。

(文:仲 進)

七里御浜は熊野市鬼ケ城西側から紀宝町まで20数㌔に渡って続く砂利浜です。ここでは30年以上前に始まったカゴ釣り(ウキ釣り)でさまざまな魚種が釣れています。その最大の特徴は、飛距離が半端ではないこと。秋から初冬に狙うソマガツオ(ヒラソウダ)、冬場に狙うグレ釣りでは100㍍を越えます。御浜の釣り人は飛ばすための努力を惜しみません。

七里御浜は熊野から新宮市方面へ南下するにつれて沈み磯が多くなり(その傾向は御浜町庁舎下あたりから顕著になります)、釣れる魚が磯釣りと同様になります。ただし、今回のテーマは回遊魚狙いだけに根の荒いところは避けるのが無難です。

七里御浜での回遊魚狙いの条件考察

3〜10月ごろの七里御浜は、よほど条件がよくない限り7時前後から16時前後まで南風、あるいは東風が吹きます。この場合、向かい風や横風となるため釣りづらく、釣果がのびにくい傾向にあります。よい条件といえるのは移動性高気圧が張り出したときに吹く西寄りの風です(高気圧の中心が紀伊半島を越えると風は逆になります)。

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追い風の条件であれば、よりいっそう好釣果が期待できます。

七里御浜の潮の流れは風向きと連動することが多く、向かい風が吹くと餌となる小魚が沖へと向かう傾向があります。つまり、小魚を狙う回遊魚も沖へ出ていくのでポイントが遠くなり、釣果が期待しにくい状況になります。また、向かい風とあって仕掛けが飛びにくいという悪循環が生まれます。

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ソマガツオ(ヒラソウダ)を中心とした青物系は朝まづめを狙うのが得策です。

とはいえ、朝夕のまづめどきや夜間は追い風となる西風が吹くことが多くなります。したがって、ハマチ・シオ・シマアジ・ソマガツオは朝まづめを中心に、アジは夜間に狙うことで好釣果が期待できます(仲秋から初冬のソマガツオは終日狙えます)。

七里御浜での回遊魚狙いのカゴ釣りタックル

七里御浜のカゴ釣りでは、かたい竿に細いハリスと小型のハリを組み合わせ、ズリ上げで取り込むというスタイルを主とします。そのぶん波打ち際で水を切る際に大型魚、遊泳速度の速い回遊魚、アジ類のように口の弱い魚に関してはハリス切れ、ハリののび、口切れなどでバラシの連続ということも考えられます。このためリールはドラグ機能がすぐれたタイプを用いるのがおすすめです。

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カゴについて

七里御浜で主に使用されているカゴには大別して「遠投カゴ」「サビキカゴ」「改造ロケットカゴ」(ロケットカゴには大口と小口がある)の3種類。いずれもカゴの中に刺し餌を入れられるようになっています。

遠投カゴは七里御浜におけるベーシックで、沖アミを使用する釣りや大型魚に適しています。

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最も使い勝手のよい遠投カゴ。
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餌はアミエビと沖アミを用います。

サビキカゴはいわゆるドンブリカゴですが、刺し餌を入れられるように片カゴに改造されています。こちらは小型の回遊魚やアジ釣りに使用されます。

改造ロケットカゴは、遠投カゴとサビキカゴの中間的存在であり、すべての釣りに使用できます。飛距離は最も期待できますが、潮に乗りやすいのか流れやすいという難点があります。

ラインについて

ナイロン、PE+先糸のいずれでもよいですが、比重の軽い方ものがおすすめです。比重の重いラインの場合、波打ち際の砂利に埋まることで傷が入って高切れするなど、トラブルが多発する可能性があるからです。

ウキについて

七里御浜のカゴ釣りの中でも最も特徴があるのがウキです。とにかく軽くできており、これがあってこそ飛距離が得られたといっても過言ではありません。全長6〜23㌢、オモリ負荷4〜15号とバリエーションに富んでいます。

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軽い素材でできたバット型が遠投の釣りに適しています。

ウキの形状は、サビキやアジカブラでの回遊魚狙いでは自然とサソイがかかる胴の張ったタイプが有利ですが、大遠投こそ大漁という信仰のある土地とあってバット型が支持されています。

天秤について

縦1㍉、横0.8㍉の軸を持つ27㌢と38㌢の片天秤を用います。見た目には細く感じますが、ブロックを引きずっても壊れません。また、横軸が細くてしなやかなので飛距離が出ますし、自重が軽いのでウキの飛行に影響が出ないというメリットがあります。短い方はサビキ用に、長い方は遠投カゴ使用時の長ハリス用に使っています。

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ウキと天秤はこのような構成になります。

ハリスについて

かたいくて張りのあるフロロカーボンの1.5〜3号を用います。

仕掛けについて

七里御浜で回遊魚を狙う際、サビキやアジカブラを抜きにしては考えられません。サビキやアジカブラに餌を刺して使うのも日常茶飯事です。

サビキはいくつかの種類を使いわけます。日中に小型の回遊魚やアジ類を狙うときは6~8号の白や青のスキンタイプ、夜間にアジを狙うときはピンクスキンの6号というのが基本です。フグが多いときはラメやオーロラの入っていないタイプを選びましょう。

アジカブラは5〜7号を用います(フグが多いときにはオーロラ加工タイプは不可)。ちなみ、初冬のソマガツオ釣りでは、餌のシラスが小さいため5号を使用します。

その他のアイテム

1〜1.2㍍のピトンの先端にハガキ大の回転防止の羽をつけたものに上物用の竿受けを組み合わせた羽つきロングピトンがあると釣りがスムースになります。これがあるのとないのとでは天と地ほどの違いがあります。七里御浜での釣りには必需品といってよいでしょう。

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竿受けも用意しましょう。

七里御浜でのポイント考察

砂利浜は生き物といっても過言ではありません。ポイントはひと荒れごとに表情をかえるからです。

七里御浜では、ミクロ的には波打ち際の形状が釣りの条件として重要になります。狙い目となるのは、波打ち際が盛り上がって防波堤のようになっているところです。このようなところは魚の回遊ルートとなり得る変化が海底にあると考えられます。この形状を地元では「浜がある」「浜を作る」と表現します。

逆に、海水浴場のようになだらかなところは海底の変化が乏しく、ポイントが少ないうえに釣りづらくなります。地元では「浜がない」と表現する状態です。

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海が荒れると確実に「浜のない」状態になります。西風が吹き、海が静かになると「浜を作る」波が起きて「浜がある」状態になります。中でも志原、緑橋右岸、阿田和橋下などが最も早く「浜がある」状態になります。

岬はソシ&ルアーが有効!!

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弓角とジェット天秤も用意しましょう。

海岸線全体を見たとき、カゴ釣りの回遊魚狙いでは入り江のような形状をしているところがポイントになります。岬のようなところはナブラがよく見えるので好ポイントと思われますが、撒き餌が止まりにくいのでカゴ釣りには不向きです。そのようなところはソシやルアーで狙うのが得策です。

「ソシ」とはジェット天秤+弓角の組み合わせたスタイルのことで、地元では回遊魚を釣る手段として古くから行なわれています。同一のオモリと弓角で表層から底までカバーできるすぐれた釣り方です。特に、ベイトがシラスなどのように小さいときは抜群の威力を発揮します。

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ベイトが小さいときは弓角が有効です。

海が荒れた後、ナブラは見えるのに餌で釣れないことがよくあります。このようなときにもルアーやソシが有効です。ソシは15〜20号のジェット天秤と弓角があれば即座に対応できます。竿はカゴ釣り用を流用できるので、七里御浜へ行くときは弓角(4~5㌢。色は白、ブルー、ピンクがあればOK)とジェット天秤を持参しましょう。

七里御浜の回遊魚ポイント

志原

1年を通して釣り人が絶えないポイントです。駐車場とトイレが近くにあってとても便利です。

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阿田和橋下

緑橋から新宮方面へ2㌔行ったところにある橋の下のポイントです(橋の手前の路肩に5~6台駐車可)。ここは七里御浜の中で最も遅くまで回遊魚が釣れます。また、アジの好ポイントでもあります。

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