大会の勝利に不可欠の準備。 実はこんなことをやっています|上田泰大の常勝トーナメント思考 Vol.14 | 関西のつりweb | 釣りの総合情報メディアMeME

大会の勝利に不可欠の準備。 実はこんなことをやっています|上田泰大の常勝トーナメント思考 Vol.14

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グレ釣りのトーナメントで好成績をおさめようと思えば事前の準備が大切です。渡礁する可能性がある磯の特徴をリサーチしたり、釣り方を考えたりすることはもちろん、他にもすべきことはいろいろとあるものです。

(カメラ/文 上田泰大)

常勝トーナメント思考をいつもご覧いただきありがとうございます。今回は閲覧していただいた方から頂戴したご質問に回答させていただきます。

その内容は「トーナメンターは釣りに行く前の1週間をどのように過ごしているのか?」というものです。この連載でも「前もって準備することが大切です」と書いてきましたが、今回はもっと具体的に紹介してみましょう。

【月曜日】後片付け+料理を通して情報収集

溜まっている仕事の処理に加え、週末の釣行の後片付けなど、やることがたくさんあります。1週間のうちで最も忙しい1日となります。

ただし、夜は釣ってきた魚を料理し、お酒を一杯やりながら食べる至福の時間が待っています。魚を食べることは体力の回復をはかれるという利点もあります。

また、グレをさばくときに胃袋を開いて「どんな餌を食べているのか?」とチェックします。これが次の釣りの参考になります。

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釣ったグレの胃の中の餌です。この日はパン粉を多く食べていたようです。この情報も次の釣りへの貴重なデータとなります。

餌取りが多い時期は、グレのタナまで沖アミが届きにくいと考えられます。しかし、それに反してグレが沖アミやパン粉をたくさん食っていることがあります。この場合、自身が考えていた以上に浅いタナまでグレが食い上がってきていたとわかります。この情報も以降の釣行における釣果アップにつながります。

ときには沖アミはほとんどなく、ムギやペレットばかりが入っていることがあります。この場合は練り餌で釣れることが多いです。

【火曜日】ツメの手入れと釣り場をリサーチ

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インターネットの航空写真も参考にして釣り場の状況の把握に努めます。

火曜日には毎週欠かさずツメを切っています。火曜日に切ると、土日にちょうどよい長さになるからです。魚からハリを外すときや、仕掛けを作るときにはツメが欠かせません。ただし、短いとやりにくいですし、長過ぎると割れやすいので適度な長さにすることが大事です。

そして、夜間は週末に行く釣り場のリサーチをします。初めての釣り場であれば磯の特徴などを覚える、行ったことのある釣り場なら過去に記したノートを見直す、という具合です。トーナメントで使う磯に関しては、1年に1度しか行かなくても名前と特徴(航空写真ガイドやインターネットの航空写真などをチェック)を覚えるようにしています。

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釣り場の地図にはこのように得られた情報を書き込み、データを蓄積しています。

この他、ケースに入れていると徐々に狭くなるガン玉の割れ目を大きく広げる作業も行ないます。

【水曜日】道具類を準備

道具や着がえなど、釣行におよそ必要なものを準備します。水曜日に準備をすると、足りないものがあれば買いに行くこともできます。もちろん、釣行前には忘れものをしないようにひと通りチェックします。

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あわてて忘れ物をしないように水曜日にある程度の準備を済ませます。ないものがあれば買い足しておきます。この準備も楽しみながら行なっています。

そして、リールのスプールにラインを巻きます。釣行の3日ぐらい前にラインを巻くとスプールへのなじみがよくなって使いやすくなります。

【木曜日】目標達成のイメージトレーニングを実施

潮や天気をチェックして優勝できるウエートを予想します。

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釣行する釣り場の潮時をチェックし、予測したウエートを達成するにはどこのポイントから狙うのがよいかを考えます。

30㌢を10匹(1匹500㌘と考えて5㌔)に32~33㌢を1匹加えて5㌔アップというのがおよそどの釣り場でもまず目指すウエートです。この他、よく釣れる時期なら30~35㌢を揃えて5.5㌔、愛媛県の日振島などの良型が揃う場所では5匹(1匹あたり45㌢前後で1500㌘)で7㌔を目指します。

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釣り場に応じた優勝ウエートを予測し、どのように釣れば目標を達成できるかをイメージします。
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もちろん、過去の同時期に行なわれた大会のウエートを覚えておくことも大事です。

そして、その目標を達成するにはどうのような釣りをするかを考えます。大会のたびにウエートを予測して釣り方をイメージしていると、どのようにすればいいかを脳が自然と考えてくれるようになります。もっとも、そうなるには釣っている自分をイメージすることが欠かせません(詳しく説明すると1日かかりそうなので改めて紹介させていただきます)。

目標を達成するための餌考察

目標を達成するために考えることとして、第一に餌があります。

まずは刺し餌について。

生の沖アミとマルキユーのくわせオキアミスーパーハードはどこの釣り場へも必ず持って行きます。それに加え、取りが多いことが予想されるならボイル沖アミ、練り餌類、特鮮むきエビを持参します。特に、アジやサバが多いようなら練り餌の分量を多めにします。

ちなみに、練り餌はあらかじめ練っておくと使いやすくなるうえ、粘りが出ることでハリ持ちがよくなります。

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高水温期は練り餌が特に有効であるため、特にこだわって作っています。

個人的には魚玉ハード高集魚レッドを1対1の割合で練り込むパターンを多用しています。ゆっくりと引っ張ると餅のように少しのびるまで水を少量加えながら練り込みます。このような練り具合であれば遠投してもハリから外れることはありません。

作った練り餌はクーラーボックスに入れておけば余ったとしても次回に使えるので多めに作って持って行くようにしています。

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複数の練り餌と集魚材をブレンドすることもあります。
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粘り気が出るまでしっかりと練り込みます。
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さらなる集魚効果が期待できる添加材を加えるのも有効です。

続いて撒き餌について。

刺し餌と同様に多めに持って行くようにしています。それでも足りないかもしれないと迷った場合は、集魚材1袋分を予備としてクールバックに入れていきます。私の場合はグレパワー遠投グレパワーV9を持って行きます。

撒き餌は太陽光線による熱を受けるとやわらかくなり、遠投ができなくなります。そのようなときも予備の集魚材があれば再び遠投できる撒き餌にすることができます。

【金曜日】具体的なイメージトレーニングを実施

昨年に優勝した人がどこの磯に上がっていたのかを調べます。これはインターネットで調べることが多いですが、知人に電話をして聞くこともあります。

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収集した情報を元に実戦のイメージトレーニングを行ないます。

そうして調べた情報を元にして「どんな釣りをするか?」「どこのポイントから入るか?」「立ち位置はどこにして、どこへバッカンを置いて、どこで魚を取り込むか?」「どのようにサイズアップをはかるか?」という具合に頭の中で想像の釣りをしてみます。

また、最近釣れている磯もリサーチし、そこでの釣りも頭の中で行ないます。

【土曜日】仕掛け作り+ツメのメンテナンスを実施

まずは沖アミの解凍を予約します。

続いて、仕掛けを準備します。最近は老眼の影響で暗いうちは手もとが見えづらいため、ある程度のところまで自宅で仕掛けを作ることが多いです。そのぶん、当日は余裕を持って釣りを始められるようになりました。

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ツメの保護に役立つスポーツマニキュアです。

そして、数多くの魚からハリを外すと起こる、爪が割れる症状の対策として人差し指、中指、親指の爪にマニキュアを塗ります(私は野球用のマニキュアを使っています)。

【日曜日】実釣で学んだことをノートに記述

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釣りの状況をまとめたノートは、2002年から始めて10冊めとなりました。

釣りから帰ると、その日の釣りで学んだことをノートにまとめます。次回に同じ釣り場へ行ったときに磯のポイントや釣り場の傾向などをすぐに思いだせるようにするためです。もちろん、仕掛けや、よく釣れたポイント、タナ、刺し餌なども記入します。

また、その大会で1番になれなかった場合は1番になった人に釣り方を必ず聞き、ノートに書き残すようにしています。

1週間の過ごし方のまとめ

月曜日 バッカンを洗って干す
道具類を片付ける
ウエア類を洗濯する
釣魚を料理する
ブログを書く
火曜日 ツメを切る
週末に行く釣り場の磯を覚える
釣行ノートを見直す
ガン玉を割る
水曜日 釣行の準備をする
竿やウキを選ぶ
着がえを用意する
リールにラインを巻く
木曜日 天候と潮を調べる
作戦を立てる
実戦をイメージする
スポーツジムに行く
金曜日 最近の釣果を聞く
昨年の優勝者が上がった磯などの情報を収集する
土曜日 餌の予約をする
仕掛けを作る
マニキュアをツメに塗る
釣り場へ移動
撒き餌を作る
日曜日 トーナメントの開始
予選を行なう
決勝に挑む
当日の釣りをノートにまとめる
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以上のようなルーティーンがシマノジャパンカップ磯(グレ)釣り選手権大会、日本グレトーナメント、和歌山グレドリームカップといったトーナメントでの優勝に繋がっていると考えています。

以上が週末にトーナメントが控えた際の私の1週間の過ごし方です。みなさんの参考になれば幸いです。

なお、ご質問がありましたら私のブログやフェイスブックへコメントをお寄せ下さい。
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【上田泰大プロフィール】

釣り好きだった父に連れられて物心がついたときから川でフナやコイ・ブラックバスを釣る。そして、大学生のころに本格的に磯釣りを始める。我流の釣り方ながら誰よりも上手と思い込んでいた中、初めて出場したトーナメントで他の選手のレベルの高さに衝撃的を受ける。それ以来、シーズン中(4〜6月、9〜12月)は毎週のように参戦するほどトーナメントの釣りにハマる。
主なトーナメントのタイトルは、2015シマノジャパンカップ磯(グレ)釣り選手権大会優勝、日本グレトーナメント優勝3度、和歌山グレドリームカップ優勝3度、G杯争奪全日本がま磯(グレ)選手権3位、マルキユーカップ全日本グレ釣り選手権大会準優勝。
年間釣行回数は約60回。京友磯釣クラブ会長。京都府在住。
■ブログ:グレトーナメント全国制覇への道
■youtube:上田TV