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トーナメンターが語る後半戦のキス引き釣り戦略 Part3
秋口の非常に難しい状況のクリアにも努めたいところですが、やはり楽しみなのは落ちを意識したキスが群れを作りだしてからのパターンです。そのパターンの楽しみ方を中心に秋のキス釣りのコツを検証してみましょう
(文:松尾幸浩)
個人釣行で多くのアタリを楽しむ釣り場のセレクト法
7月上旬の梅雨明けから活性が一気に高くなり、8月の上旬ぐらいまでは活発に餌を追う、というのが例年のキスの動向です。型は10~13㌢の小型中心ではあるものの、好条件である晴天の日はもちろん、雨が降っても、少々の波があっても食いは止まりません。しかも波打ち際のカケアガリに群れることが多いとあって釣りやすく、ライトタックルのチョイ投げでも簡単に100匹越え、いわゆる束釣りがあちこちの浜で実現することになります。
ところが、その後は場所によっては「土用隠れ」と呼ばれるように、8月中旬あたりからキスが姿を消してしまうことがあります。水深のない浅い釣り場でベタナギが続くとまるで風呂のように海水温が上昇し、キスが沖に出てしまうのが原因です。釣行したとしてもマイクロピンが数匹という結果となりがちです。また、この時期は外道のチャリコ・ベラ・小アジ・小イワシ・カワハギ…と、猛烈な餌取りが状況をいっそう厳しいものとするのもやっかいです。
狙い目となる釣り場について
その年の残暑の具合にもよりますが、浜にキスが戻って再び活発に餌を追うようになるのは9月の末からです。そして10月以降は、深場での越冬のために体力を蓄えようと食欲を増した15~20㌢クラスが揃うという秋ギス、落ちギスのパターンで最高の数釣りが楽しめる時期を迎えます。このころからキスは徐々に小さな群れから大きな群れを作るようになり、やがて越冬場に落ちていきます。
このようなキスの行動パターンは毎年同じように繰り返されるものです。つまりデータを蓄積し、そのシーズンの条件を考慮すれば秋に荒食いする良型の集団がつくヒットゾーンを予測して狙い撃ちすることもできるわけです。
私の釣行エリアでいうと、特に期待できるのは淡路島では東浦の久留麻、厚浜、南淡の阿万海水浴場、吹上浜など、日本海では但馬方面の切浜海水浴場、安木浜、浜坂県民サンビーチ、鳥取の鳥取砂丘海岸、北条海岸、弓ケ浜あたりで非常におもしろい釣りができる可能性があるので要注目といえます。
ポイント選択について
その際のポイント選びについては、広い浜の中でもキスが群れていそうな底に変化がある場所に目をつけます。川の流れ込み、シモリが点在するエリア、根や藻場の回り、荒れたときにできる砂地の溝などはよい目安となります。また、砂地が小砂利底にかわる境目もキスの群れがつきやすいエリアとなります。
その中でも私が一番よく狙うのは流れ込みの周辺です。ごく小さな川でも雨が降ると豊富な餌が運ばれますし、水温がまだ高過ぎる状況なら真水の流入による水温低下がキスの集まる要素になるからです。
なお、川尻でも沖の潮流によって右側がよかったり、左側がよかったりとキスの寄り場が異なります。そのため、まずは何度かキャストして様子をうかがいましょう。また、流れ込みの付近にはフグが非常に多いことがあるから要注意。さらに、濁りはキスが嫌う条件となるため、まとまった雨の後は流れ込みを避けるのが賢明です。
釣りの難度が多少高くなりますが、およそ浜の両サイドによく見られるシモリが点在するエリアも攻略したい狙い目です。根掛かりに注意しながらコントロールよくキャストし、白く見える砂底をサビくと良型のスズナリが期待できます。
いずれのポイントでも数釣るコツは魚のつき場に直接投入しないこと。着水音でキスを驚かしてしまうからです。狙い目より沖にキャストし、仕掛けを巻き寄せて静かに落とし込むことを意識して下さい。そういう意味では同じ方向ばかりを狙わずにポイントを休めることも大切だといえます。このあたりはごく基本的なノウハウですが、アタリが続くとついおろそかになりがちな数釣りの秘訣です。
数釣るための釣り場の見切り&移動
まづめどきの好時合などにはキスがハリの数だけ掛かってくることが多いですが、手返しを続けると着水音や騒音などでキスが臆病になって散ります。だから私はハリ数の半分(10本バリなら5匹以下)しか掛からないようになるとポイントをかえています。
また、最初は波打ち際を意識した近場を探り、徐々に飛距離をのばして4色付近まで幅広く探りますが、それ以上の遠投はしません。数釣りを目的とする場合はリーリングに時間をかけるのは不利となるからです。状況に応じて、できるだけ効率よく釣ることが3ケタへの近道といえます。
そして、釣れないとき、あるいは釣れなくなったときには釣り場を移動することになりますが、その際は釣行エリアのキスの行動パターンを把握しているか否かによって釣果が左右されます。「この浜でスタートしたら次はあの浜で…」という具合にスムースに移動できれば安定した釣果を上げられるようになります。そのためには意識していろいろな釣り場の多様な条件下で竿を出してみるという試行錯誤も経験しておきたいものです。
波が出たとき、雨後の濁りが入ったとき、川尻における潮流の方向によるキスのつき場の違いなど、各釣り場をいろいろな状況で釣っていないとわからないことも多いものです。当然、そのエリアをよく知るベテランと同行して条件ごとの攻め方や攻めどころを観察するのもいいでしょう。ときには目先の釣果を気にせずデータの収集に努めることも大切です。
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