【磯釣り】グレにまつわる〝張り〟を考察〈荒天のパターン〉 | 関西のつりweb | 釣りの総合情報メディアMeME

【磯釣り】グレにまつわる〝張り〟を考察〈荒天のパターン〉

フカセ釣りグレ張り荒天6

〈荒天のパターン〉

重いオモリを用いて
操作性の向上をはかる!!

荒天時は、仕掛けがポイントに長く留まり、刺し餌が上下左右に動き過ぎないことを優先的に考えることが大事。磯際狙いと沖の潮目狙いの2パターンにおいて、よりよくなじませるためのノウハウを追求してみよう

(文:森本敬介)

フカセ釣りにおける〝張り〟とは…

フカセ釣りにおける仕掛けの張りは釣果に大きく影響する。ポイントに仕掛けが入っている状態であれば作るべきだと考えている。

仕掛けに張りがあれば、ウキよりも刺し餌が潮しも側に先行するため食い込みの向上が期待できる。なぜ食い込みがよくなるか? その答として第1にあげられるのがグレからハリスが見えにくいということ。グレが潮しもや下層から食い上がる角度と仕掛けの角度が近ければハリスが長い線に見えず、警戒しにくくなるため食い気をうながすと推測される。

第2にあげられるのが、ハリスよりも先に刺し餌が進むため吸い込みやすいということ。

フカセ釣りグレ張り荒天1

第3にあげられるのが、仕掛けに抵抗をかけられるということ。小さくて抵抗の小さなウキは張りを意識しなくても釣れる。なぜかというと、刺し餌を吸い込む瞬間と吸い込んでいく際にかかる抵抗の差が小さいからだ。

一般的な中通しのウキの場合、意識的に張りを作らなければハリスがたるむ状態となるため刺し餌を吸い込む瞬間の抵抗はゼロに近いが、その後の食い込む過程で仕掛けの抵抗が一気にかかってしまう。そうなると、大きな違和感を覚えてグレは刺し餌をすぐに吐き出す。その点、流すときから張りを作ってある程度の抵抗を持たせていれば、食い込むときの抵抗の差が小さくなるため吐き出される確率が低くなると考えられる。

風に負けない仕掛けが必須

荒天時は刺し餌の安定と仕掛けのなじみを重視する。仕掛けがポイントに長く留まり、刺し餌が左右上下に動き過ぎないようにすることがグレの食いに繋がると考えられるからである。

●磯際狙い…荒天時の磯際は強いサラシの影響で仕掛けが落ち着きにくい。そのためできるだけ落ち着く場所に仕掛けを入れることを一番に考えて張りを作る。

仕掛けが落ち着く場として有望なのは、潮かみ側のサラシの脇やサラシの合流点など、白泡が大きく沖にのびない場所である。そうしたところは撒き餌が拡散しにくく、ポイントを絞りやすい。

フカセ釣りグレ張り荒天2

サラシの脇を狙う場合、潮かみ側に仕掛けを投入し、糸を張らずに潮とサラシが合流するところまで流し込む。こうすれば潮の壁に仕掛けが到達するころには刺し餌がタナになじんでいるか、もう少しでなじむという状態になる。すなわち、壁に仕掛けが入ったタイミングで仕掛けがピンと張るわけだ。そうなるのは仕掛けが潜り潮をとらえているからであり、グレが食ってくる可能性が非常に高い状態だといえる。

それだけでも釣れるが、グレが食うチャンスをより増やしたいなら張れた状態を長くキープするために糸の出具合を抑える操作を行なうとよい。あるタナで仕掛けを止めるような感じでするとうまくいく。

サラシの合流点を狙うときも同様の操作で張りを作る。ただし、この場合はよりなじみのよい潜り込む側のサラシに仕掛けを入れる必要がある。

フカセ釣りグレ張り荒天4

荒れているときは、サラシの下のタナをキープすることで仕掛けの安定がはかれる。このため図のような重いオモリをつけた仕掛けを用いるのが有効だ。サラシの中の磯際で食ってくるときは重いオモリを1つ打つよりもガン玉を段打ちにする方が仕掛けが落ち着くぶん釣りやすい。それで沖に流されるようなら磯際へ引き戻す操作を行なう。なじむとウキがゆっくりと沈む設定をしておけば、少し引き戻すだけで張りを作ることができる。

フカセ釣りグレ張り荒天5

●沖の潮目狙い…沖の潮目を狙う場合は風を考慮しなくてはならない。風や波が緩ければ仕掛けを潮目に直接投入すればよい。しかし、風や波が強い場合は、仕掛けが潮に乗る前に道糸が風しもに流されるため直接入れるとうまく狙えない。仕掛けが着水してからなじむまでにどれくらいの時間がかかり、どの方向へ流されるかを試算して投入位置を決める必要がある。風の強さや潮目の位置などは随時変化するのでよく観察しておかなければならない。

フカセ釣りグレ張り荒天3

仕掛けはなじみを優先して重いオモリを用いた仕様とする。そして、仕掛けが潮目に入る少し手前で竿先を下げて道糸を海面につけ、抵抗を小さくしてからリールを巻いて糸フケを取って流す。この際、糸フケを完全に取らないこと。ピンと張った状態で風を受けると仕掛けが大きくズレるからである。

風と潮の向きが逆の条件では道糸の抵抗によって自然と張りを作れるため特別な操作は必要ないが、同じ方向の場合には風に押されたウキが先行しがちになるため潮流よりも遅くなるように糸の出具合を抑えながら流すとよい。