桑原英高のグレ釣り一直線・尾長グレ追求編 vol.3【矢櫃釣行記・前編】 | 関西のつりweb | 釣りの総合情報メディアMeME

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桑原英高のグレ釣り一直線・尾長グレ追求編 vol.3【矢櫃釣行記・前編】

グレ釣り一直線 矢櫃1

紀北きっての尾長グレ釣り場の矢櫃。渡船もありますが、夕方の時合を釣るには山道を歩いて行く必要があります。

紀北〜中紀の磯にも要注目。
40㌢後半も出るから侮れない!!

紀北・矢櫃〈和歌山県〉

和歌山県下の釣り場で尾長グレを効率よく狙おうと思えば、紀北〜中紀の釣り場に注目するのが得策です。急流が走るエリアに目を向ければ、40㌢前後の良型が強い引きで楽しませてくれます。たとえば、矢櫃の地磯では…

(カメラ/文:桑原英高)

タックルを吟味して
南紀も視野に入れつつ…

口太グレ、尾長グレともに狙うには最高のシーズンがやってきました。

この時期、和歌山県下で尾長グレに的を絞れば、南紀方面よりも紀北~中紀の方が効率よく狙えます。本流に仕掛けを流し込む離島さながらの釣りがしたければ紀北・初島の沖の島にある大磯やカンゴバエ、矢櫃のエボシやスズメ、中紀・大引のアシカ、田杭の小バエ、三尾のオオクラなどが有望です。

この周辺の尾長グレのレギュラーサイズは40㌢前後。なぜかわからないのですが、40㌢クラスが圧倒的に多く、30㌢クラスの小型はあまり見かけません。私の知る限りでは昨年(2016年)には47㌢が取り込まれています。京阪神から近い和歌山最北エリアの磯でこのサイズが上がれば上できでしょう。

尾長グレの魚影が圧倒的に薄い和歌山県下の釣り場において、45㌢を超えるサイズは大型といってよいでしょう。はたして毎週のように和歌山の海へ釣りに行き、このサイズを釣る人が何人いるでしょうか? 南紀方面へ通う人でもワンシーズンに1~2匹釣れれば上できであり、ほとんどの人は0だと思います。私自身、他の人より釣行回数は多いと思いますが、南紀方面への釣行が集中する寒の時期には口太グレが中心となるため尾長グレの数はのびません。

それでも南紀で40〜50㌢弱の尾長が狙える磯がないわけではありません。伊古木の沖のセシマ、周参見のカツオ島、見老津の沖の黒島、潮岬のアシカなど、今までに60㌢オーバーの尾長グレの実績がある磯では、今でも60㌢クラスが見えるところもあります。これらの磯へ集中して上がり、尾長に狙いを絞ればそれなりの釣果が出ると思います。

ただ、尾長グレを狙うにあたってはタックルセッティングに気をつかわなくてはなりません。最近、和歌山県下では1.2号クラスの竿、1.5号前後の道糸、1.2~1.7号のハリスといったライトなタックルが標準となっています。それに加えて口太グレの感覚で釣るので、尾長グレが掛かったとしてもハリを飲まれることによるチモト切れでバレるケースが多くなります。クチビルにきちんとハリが掛かれば取れないことはないですが、南紀で尾長に的を絞るのであれば、それなりのタックルで挑むべきです。見老津の沖の黒島のように食ってくる魚が大型ばかりという磯では、前述のタックルでは手も足も出ずにバラシの連発となるので注意したいところです。

紀北きっての尾長場。
釣れる雰囲気がプンプン

そんなシーズンまっ只中に選んだ釣り場は紀北の矢櫃です。渡船で渡るのではなく、重い荷物を担ぎ、山越えをして釣り場へ行ってきました。

「わざわざ山を越えてまで…」と思われる方もいるでしょうが、どうしても歩いて行かなければならないのです。というのも、どういうわけか矢櫃では日中にあまりいい釣果が上がらず(たまにいい釣りができることもあります)、渡船が終わる時間から食い始めることが多いのです。尾長グレはその傾向が顕著であり、その時間帯を釣ろうと思えば歩いて行くしかないのです。

グレ釣り一直線 矢櫃3

地磯釣行では荷物を背負う背負子が欠かせません。安全のために手を使える状態にしておくことが大切です(画質がわるくてすみません)。

撒き餌を担いでの山越えは楽ではありませんが、それぐらい価値のある釣り場です。もう十数年前になりますが、5月の連休に3日連続で通って30㌢後半から45㌢までの尾長グレばかりを50数匹釣ったことがあります。このころは、この釣り場で良型の尾長グレが釣れることを知る人はまだおらず、友人と秘密裏に爆釣を楽しんでいました。近年は、雑誌の記事などで紹介したことから釣り人が増え、以前のように爆発的に釣れることは少なくなりましたが、春先~初夏と秋~初冬には潮さえよければコンスタントにいい型の尾長グレが釣れています。

釣行は11月25日。前日の夜には自宅の窓がガタガタと音を立てるほど強烈な北西風が吹きつけていたことから「朝早くからくる人は少ないだろう」と思い、予報で風がおさまる午後に竿を出すことにしました。

午前11時ぐらいに自宅を出発し、釣り場に着いたのが12時ごろです。山道への入り口までは自宅から5分ほどで行けますが、そこから釣り場までは徒歩で40分はかかります(昔は30分もかからずに行けたのですが…)。

グレ釣り一直線 矢櫃2

このような場所を通って釣り場へと向かいます。道中は高低差もあり、体力的にはかなりキツいです。

釣り場に到着すると、北西の風がブンブンとまだ吹きつけています。そんな中、狙いの本命場で竿を出している釣り人がいます。よく見ると、私のブログやフェイスブック、連載記事などをよく見ていただいており、この釣り場で顔見知りになった方でした。

「天気がわるいのに早くからきてますね~」というと「朝の薄暗いうちからきました」とのこと。尾長グレが食い始めると、この釣り場では釣り座の争奪戦が激しくなります。夜中からくる方もいるようですが、事故を起こさないように注意が必要です。地磯への釣行はすべてが自己責任であることを念頭に置いておかなくてはなりません。

午前中の釣果を聞いてみると「口太がポツポツ」とのこと。この釣り場では木ッ葉グレが状況のよしあしの目安となります。それが多いときは状況がよくないことが多く、反対に水温が高い時期であってもあまり釣れなければよい釣りができることが多いのです。

それを踏まえて海の様子をうかがうと、長年の経験からくるカンも手伝って尾長グレが食う雰囲気がプンプンと漂ってきます。「今日の夕方は尾長がアタりますよ!!」と本命釣り座の方にいうと「本当ですか!! ここで釣った尾長は37㌢止まりです。40㌢オーバーはまだ釣ったことがないんです」と返ってきました。それに対して「今日はがんばりましょう!!」といって、隣に入れてもらって釣り始めることにしました。

次回に続く

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