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【実釣マニュアル】グレ(メジナ・クロ)の釣り方
グレ(メジナ・クロ)は釣果を得るには技術が求められるだけに釣れたときのうれしさは満点。小柄な魚体からは想像できない強烈な引きも魅力的!!
グレ(メジナ・クロ)の概要
磯釣りの世界ではチヌ・グレ・イサギなど宙層で釣れるイメージの魚を上物(うわもの)、底層で狙うイシダイ・クエなどの大型になる魚を底物という。それぞれにファンがいるが、グレ(メジナ・クロ)は上物と底物の両者を合わせても人気ナンバーワンの魚である。渡船で磯に上がる人の大半はグレ釣り師だ。
人気の理由はサイズ以上に強い引き、魚体の見た目と食味のよさ、そして何よりグレを狙うため主要パターンであるフカセ釣りのテクニカルなおもしろさにある。魚がいてもぜんぜん釣れない場面がある半面、うまく攻めれば何度となく心地よいファイトが味わえるという部分が釣り人を夢中にさせる。
波止の場合、沖磯に比べると釣れるサイズの平均が小さくなる傾向があるものの、同様のグレ釣りが可能であるうえ、フカセ釣り以外にもポイントの特徴に応じたスタイルで釣果が上がるケースもあるだけに専門に狙って釣行する人も多い。さまざまな釣り場で狙ってみたいターゲットである。
【グレ(メジナ・クロ)の釣り方①】磯釣りスタイルのフカセ釣り
フカセ釣りとは1本の糸に1つのハリをつけたシンプルな仕掛けを用い、自然に餌を流して(フカせて)食わせる釣り方のこと。昔はウキもオモリも使わないパターンをそういったようだが、今はごく軽い仕掛けをうまく流して釣る方法全般をフカセ釣りと呼んでいる。
グレの場合は、沖アミやアミエビの撒き餌で魚を浮かせたところへウキ釣り仕掛けにて刺し餌を流し込んで食わせるパターンになる。そのためのウキは、風が強くても振り込みやすく、潮流になじませやすいドングリのような形の円すいタイプが主流となる。棒ウキに比べると沖に流したときや足場が低いときの視認性がわるくなるが、見えないときは竿先でアタリをとればいいという考え方で潮乗りを優先しているのが円すいウキだ。
タックルは軽い磯竿と小型スピニングリールを用いる。本格派はハンドルを逆転させることによるラインの出し入れを容易に行なえるぶん大物とのファイト(やり取り)に有利なレバーブレーキつきのリールを使うが、中・小型グレを波止で狙うぶんにはあまり必要性を感じないだろう。
仕掛けの特徴は長めのハリスを使うこと。短くても矢引き(弓を引く動作の手の間隔のイメージ。およそ70~80㌢)とし、1~3ヒロという極端に長いハリスにすることも多い。ナイロンの道糸よりも比重があるフロロカーボンのハリスを長く取ることで、よりスムースになじませることができるからである。
この釣りでは仕掛けをうまくフカせることを第一に考えてウキやハリスをはじめとするアイテムをセットするのが基本である。そのために同じ重さのオモリを使うにしても小さなガン玉を分散させてつけたり、体積が大きいぶん流れに乗りやすい水中ウキをオモリがわりに使うこともある。
餌は、刺し餌と撒き餌ともに沖アミを用いるのが主流。撒き餌にはまとまりをよくして投入しやすくしたり、集魚力を高める目的で各種の集魚材を混ぜてもいい。また、波止では食いの渋いグレを食わせるために刺しアミを刺し餌、アミエビを撒き餌にすることも多い。
撒き餌のラインに仕掛けをなじませる
グレはガシラの穴釣りでも釣れることがあるぐらいで、餌を追っていないときは沈み根やテトラの回り、ケーソンの際底や捨て石などに身を隠していることが多い。フカセ釣りではそんなグレの警戒心を撒き餌で緩めて浮かせ、ハリのついた餌を流し込んで食わせるのが基本だ。そのため撒き餌が何よりも重要であり、釣りの最中はこまめに打ち続ける必要がある(撒き餌には魚を寄せる効果はもちろん、反応した魚影の様子からタナや投入点の把握につながる)。
理想的なポイントは、ゆっくりと沖に出ている潮流の延長戦上に魚がつくであろうシモリがある、というもの。その場合、足もとに少しずつ撒き餌を打っているとシモリについたグレが手前(潮かみ)の宙層に上がってくる。そうなれば1ヒロぐらいの浅いウキ下で仕掛けを流してグレの反応をうかがう。それによって刺し餌が取られれば浅く、取られなければ深くという具合にウキ下をかえていけば、そのうちヒットするはずだ。
ただし、撒き餌を打ち過ぎには要注意。潮の流れに乗った撒き餌を追ってシモリについていたグレが沖の方へ行って釣りづらくなることが考えられるからだ。そのため撒き餌用のシャクは最も小さなタイプとし、仕掛けを投入する直前と直後に1回ずつ打つ程度を基本パターンとしたい。また、現実的には波止と平行に潮が流れる中で釣るケースも多いし、足もとのテトラぐらいしかグレのつき場がないときや、餌取りが多くて釣りにくい状況もあるから柔軟な対応が必要になってくる。
仕掛けの流し方も大切
何気なくウキを流しているだけでも釣れないことはないが、よりよい釣果を求めるならできるだけグレが食いやすい状態で仕掛けを流したい。その状態として理想的なのが、仕掛けに適度な張りを保つことで生まれる刺し餌がハリスを引っ張る形である。その形であればグレにはハリスの存在がわかりにくく、違和感なく刺し餌を口にすると考えられる。それだけでアタリの数がかわってくるから意識したい。
また、さらに大切なのは撒き餌がきいているラインに仕掛けを確実に流すことである。仕掛けを張ることは大切だが、それだけを考えていると撒き餌が流れるラインとウキの軌道に大きなズレが生じる。そのときどきでどこがポイントになるかを推測し、仕掛けは必ずそこへ流し込むように手を尽くそう。
ウキ下はグレがいるタナよりやや浅くするイメージで設定するとよい。グレはその泳層から斜め上に泳ぎ上がっては餌を口にして元のタナに戻るような捕食の仕方をするからだ。最初に深いタナから始めるより、魚の反応をうかがいながらウキ下を長く取る方が効率がいい。およそ餌取りが最も多いタナか、それよりいくぶん下を釣るぐらいがよいことが多い。
ただ、水温が低くてグレの活性が上がらない状況では、深場の底近くでしか食わないこともある。ウキ下10㍍以上という深ダナを釣るために重いオモリと、それに対応するウキの準備も必要だ。フカセ釣りとしてのおもしろ味は薄れるが、このパターンで沖まで流すとマダイをはじめとした他魚の大物が食うこともある。
アタリ&強い引きには落ち着いて対応
典型的なグレのアタリはウキを斜めに引っ張り込むもの。あわてずにウキが十分に沈むのを待ってから合わせればいい。ただ、活性が低いときや、タナがあっていないときなどはウキが水面で上下するだけで終わることもある。それは餌取りの場合が多いが、仕掛けを上げてハリについた沖アミの頭だけが取られていたり、グシャッとつぶされていたらグレがもて遊んだ可能性が高い。次からはウキ下や餌のつけ方を少しかえ、同様のアタリがあればウキが沈むタイミングで合わせを入れたい。
また、特に逆光でウキが見えにくいときには、竿先を一気に持ち込まれてグレが食っているのに気づくことがある。これに驚いて中途半端な合わせで対応すると掛かりが浅くてバラシに終わることも多いし、相手が大きいとき(どこの波止でもグレ・チヌの型物の可能性がある)だと一気に竿をのされて(引き倒されて)ハリスを切られたりする(竿の弾力が生かせないと糸はあっさり切れてしまう)。
ファイト中に竿をのされたときは、とっさに糸を出して体勢を立て直せるレバーブレーキがあると便利だが、最初の引きで竿をのされるという失敗はベールを返してアタリを待つようにすれば解消できる。その方が仕掛けを流すときに道糸を出すにも便利である。糸を出したくないときはスプールを指で押さえていればいい。そして、不意の大アタリがくれば指を跳ねのけてラインが出ていくから対応が後手に回ることもない。
合わせでいったん立てた竿がのされるような大物は滅多にいない。竿を立ててからは少し後方へ倒すぐらいの気持で十分に竿の弾力を生かして引きをため、強気で寄せるのが一番だ。ただ、魚が寄ってきたら冷静にウキの位置を見て、竿先に当たる前に巻くのをやめること。そうでないと穂先が折れるから要注意。
取り込みは25㌢前後のグレなら抜き上げればいいが、それ以上のサイズだと竿を傷めることがあるから玉網を使う方がいい。大きなグレの実績は少ない場所でもチヌ・青物・カンダイ・ボラなどの大物も撒き餌に寄るからフカセ釣りでは玉網をセットしておかないとチャンスを逃す。
【グレ(メジナ・クロ)の釣り方②】夜の流し釣りもおもしろい
青物やマダイを狙うのと同様のカゴ釣り、チヌを釣るための紀州釣りでも狙えるが、いずれもフカセ釣りとは違うパターンで撒き餌を使うスタイルだ。それとは別に撒き餌なしの身軽なグレ釣りもある。水深があるうえ潮流が非常に速い波止などで撒き餌がうまくきかせられない場合に試してみるといい。
夏場のグレ釣りは餌取りに苦労する場面が多いので、比較的餌取りが少ない夜に適するのがこの釣りだ。夜のフカセ釣りが釣れないわけではないが、この時期のグレは虫餌類を好んで食べる傾向があるため虫餌だけでのんびり遊ぶスタイルも人気がある。
餌はアオイソメやイシゴカイの実績が高い。釣り方はウキ釣り仕掛けで波止際を流して魚を探り歩くスタイルになる。夜のグレは比較的活性が高いので宙層でアタるケースが多い。アタリが遠いときはウキ下をいろいろとかえて探ろう。
なお、夏~秋の夜に虫餌で波止際を流すとメバル・チヌ・ハネなど多彩な他魚が期待できるのもこの釣りのよいところ。グレがいなくても何かしらお土産があるだろう。
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