【良型連発の南紀出雲】正攻法で尾長グレ+”あちこち釣法”で口太グレが釣れた様子を紹介|桑原英高のグレ釣り一直線・尾長グレ追求編 vol.39 | 関西のつりweb | 釣りの総合情報メディアMeME

【良型連発の南紀出雲】正攻法で尾長グレ+”あちこち釣法”で口太グレが釣れた様子を紹介|桑原英高のグレ釣り一直線・尾長グレ追求編 vol.39

グレ釣り一直線39

南紀・出雲の磯は口太グレはもちろん、尾長グレの良型が期待できる楽しい釣り場です。ただし、今回の釣行ではあまり経験のない厳しい状況に出くわしました。いろいろと考えた末に導き出した答えが「あちこち釣法」です。その検証の釣行では狙い通りに良型の口太が連発。さらに正攻法の釣りでは尾長グレの良型まで…!!

(カメラ/文 桑原英高)

離岸していた黒潮が年末ごろから一時的に紀伊半島に接岸したことで和歌山県下の釣り場ではグレが活発に釣れていました。私もこのチャンスを逃すまいと釣行しましたが、同じ考えの釣り人が多くいる状況とあってよい磯を確保できずに貧果続きでした。そうこうしているうちに黒潮が離岸し始め、釣果にもムラが出るようになりました。

そんな中、2月4日に釣友の丸谷さんと好調が続いていた南紀の出雲へと車を走らせました。

魚はどこ? 高水温にもかかわらず無反応。それでも…!!

いつもお世話になる谷口渡船の船頭さんと久しぶりのあいさつを交わし、午前6時過ぎに出船。港を出ると、海はベタナギです。そして、船の水温計に目をやると18.7度。状況はわるくはありません。

ほどなくして船長から声がかかって武八へ渡礁しました。この時期の出雲では尾長グレが最も期待できる磯とあってワクワクします。

丸谷さんが①の釣り座に入ったので、私は②の釣り座から竿を出すことにします。

グレ釣り一直線39

出雲の沖磯では遠投の釣りが有効となることが多いので、沖アミ6㌔にマルキユーのⅤ9徳用、アミパワーグレSP、沖撃ちSPを各1袋を混ぜ合わせてしっかりとまとまる撒き餌に仕上げました。

タックルは、45㌢クラスの尾長グレを想定して竿に極翔1.2号、リールにテクニウム2500DXXG SUT、道糸にゴーセン・リミテーション磯CXフォルテッサ1.75号、ハリスにゴーセン・フロロファイターGⅡ1.75号というセッティングです。

グレ釣り一直線39
遠投を意識した配合パターンです。
グレ釣り一直線39

まずは足もとに撒き餌を入れてみますが、小魚1匹姿が見当たりません。早朝に聞いた常連さんの話では、水温の高いだけに邪魔になるほど木ッ葉グレがいるとのことでしたが…。今日は何だか様子が違うようです。

しばらくG2のウキで潮筋を2ヒロ前後のウキ下で探りましたが、刺し餌はまったく触られません。水温は19度近くもあるにもかかわらず、この魚ッ気のなさは何なのでしょうか?

「浅いタナにはグレはいないのか?」 そう考えて0のウキに変更し、足もとから出るサラシと上り潮が当たる潮壁に仕掛けを吸い込ませてみます。そして、しばらく流していると、ドカン!! と強烈なアタリがでました。「これはやったぞ!!」と思いましたが、NEW極翔を根もとからヒン曲げるほどの強烈な突進を見せたのは50㌢クラスのアオブダイでした…。こんな魚が食ってくるということはやはり魚の気配が薄いのでしょう。

グレ釣り一直線39
上がってきたのはアオブダイでした。

グレの気配があまりにもないので、お土産にイサギを釣ろうと深いタナを釣ってみます。しかし、まったくアタリがありません。竿3本まで探っても何も釣れないないどころか、刺し餌も触られません。これではお手上げです。丸谷さんは深く釣って大きく竿を曲げましたが、上がってきたのは50㌢オーバーのアオブダイでした。

グレ釣り一直線39
丸谷さんも竿を曲げましたが…。

隣接する須江と同様に出雲の磯では少し深く釣ればイザギが簡単に釣れるはずですが、刺し餌が触られない状況に2人ともやる気を喪失。やがて潮がまったく動かなくなり、撃沈寸前に…。こうなれば尾長だの口太だのといっている場合ではありません。ボウズだけは何とか回避しなければと手を尽くします。

納竿時間が近づいた午後2時ごろ、あちこちへ遠投していた丸谷さんが「沖の方で刺し餌が取られました」とポツリ。ウキ下は2ヒロという丸谷さんの釣りを見ていると、刺し餌は確実に取られています。「アタリがまったくわからないまま刺し餌が取られるんですよ~」とボヤく丸谷さんに「それは絶対にグレやで!!」とアドバイスをします。

丸谷さんの状況を参考にし、残り少ない時間の中で手っ取り早く釣るために小型のアタリウキを用いた釣りにシフト。それで約30㍍沖に遠投したところ、すぐにアタリがでて37㌢をゲット。続いて35㌢がヒットしました。

グレ釣り一直線39
丸谷さんのおかげでまずまずのサイズをキャッチ!!
グレ釣り一直線39
続けて同様のパターンで35㌢もヒットしました。

さらに数をのばせそうな状況ですが、ここでタイムアップ。丸谷さんがヒントを見つけてくれたおかげで何とかボウズを回避できました。

グレはやはり浅いタナにいました。私は先端部から沖をただ狙っていただけで、あちこちへ遠投しませんでした。それがダメだったようです。

今日は浮きグレのように海面がバチャバチャするような状況ではなく、海面近くから3ヒロぐらいまでのタナを群れで回遊しているような感じでした。その群れがついている筋を捜すような釣りをすればよかったと終わってみて気がつきました。

そもそもドン深の武八では撒き餌につられて海底からグレが浮上することほぼありません。宙層を漂いながら回遊しているグレを狙い撃つか、待ち伏せするのが正解となるケースが多いのです。それを改めて感じた1日となりました。

リベンジ釣行。まずは正攻法で良型の尾長グレがヒット

気がついたパターンが本当に正解なのかが前回の釣行の帰り際にとても気になり、以降はいてもたってもいられなくなりました。そこで、実際はどうなのかを検証するために4日後の2月8日に1人で出雲へ釣行しました。

先日と同じ偶数日とあって磯割りは同じです。その中で船頭が船をつけてくれたのは先日に竿を出した武八のすぐ隣にある沖の長島です。リベンジにはうってつけの磯です。

グレ釣り一直線39
いつもていねいな対応で磯釣りを楽しませてくれる谷口渡船。南紀でも特におすすめの渡船店です。
グレ釣り一直線39

小雨が降る薄暗の中、まずは尾長グレを狙うことにします。タックルは先日の武八と同じ。ウキに関してはG4とし、ウキ下を2ヒロ取って固定します。ハリはONIGKEの極軽グレ6号としました。

まずは足もとに撒き餌を入れてみます。潮は、大人が速歩きするくらいの速さでアシカ方面へ走る上り潮です。下り潮が本命の出雲では不安を覚える状況ですが、撒き餌を入れていると数は少ないもののシラコダイやカワハギなどの餌取りの姿が見え始めました。

「これなら何とかなりそうだ」と思って足もとから出るサラシの先端付近を狙うと、数投めにウキがモゾモゾとするアタリがでました。すかさず合わせますが、残念ながら空振りに…。それならと、アタリがもっと鮮明にでるように20㌢ほどウキ下を浅くします。すると、次のアタリではきれいにウキが消し込まれました。

「イズスミ?」と思うような引きに一瞬気が抜けましたが、ウキが見えてからも魚体はギラギラと光りません。これで尾長グレだと確信。これほどまでに元気なのは水温が18度後半もあるからでしょう。

なかなか水面へ浮かないことから「40㌢を超えたか?」と思いましたが、やがて玉網におさまったのは38㌢。和歌山ではまずまずといえるサイズです。

グレ釣り一直線39
グッドサイズの尾長グレがヒットしました。

ちなみに玉網の柄は、降雨時などの濡れやすい状況では水滴の影響によって各節の継ぎ目が真空状態となって固着しやすくなります。しかし、アンチロックシステムが搭載されたシマノの玉網の柄は雨の日でも固着を気にせずに思い切り振り出すことができます。パシ、パシ、パシ~ッ!! と瞬時にのびて、スイスイとスムースに畳める使い勝手は快適そのもので、玉網入れが快適に行なえます。

グレ釣り一直線39
使い勝手がとてもいいシマノ・イソスペシャル タマノエです。

さて、尾長グレの登場に気をよくして同じところを狙うと、ウキが消し込むと同時に竿先までひったくるアタリで35㌢クラスがヒット。「今日は口太グレを狙うまでもないな」と内心でニヤニヤ。

そして、次にきたヤツが強烈でした。先ほど釣った2匹とは比べものにならないパワーで足もとのハエ根へ向かって何度も突進。たっぷりとある重量感から「これは45㌢はあるだろう」と期待に胸が膨らみます。ところが、そう思った直後に竿先が跳ね上がりました。惜しくもハリはずれです…。

この時点では「まだまだくるだろう」と思っていましたが、しだいに緩くなり始めた潮流がやがて止まり、尾長グレタイムは終了。「まあ、尾長は釣れたからとりあえずは満足。あとはこの前に気がついたパターンの検証やな」と口太グレ狙いに変更します。

検証実施!! あちこち釣行が奏功して良型口太グレ連発

竿をファイヤブラッドクレバーハント1号にするとともに、道糸を1.5号、ハリスを1.25号、ハリを4号に変更。ウキは遠投のきくG5を用います。

グレ釣り一直線39

検証パターンでは刺し餌を飲み込ませたいのでウキ止めはなくてもいいですが、浅いタナをキープさせて流すことを考えると付けざるを得ません。そこで、抵抗が小さい、なるほどウキ止めをセットすることにします。

前回の釣行でわかっているのは、グレは潮目などに留まることはなく、大きな群れを作ってゆっくりと移動し続けている感じ、ということです。また、移動する中で餌を見つければつまみ食いするのか、アタリはごく小さいものになります。この極小のアタリをとって合わせるか、飲み込ませてハリ掛かりさせるか、という釣り方が今の出雲では求められるのでは? という点も前回の釣りを通して思い浮かんだことです。

それを検証するべく、まずはグレの群れが通りそうな沖へ向けて仕掛けを大遠投。それに合わせる撒き餌は、沖撃ちSPを混ぜ込んでいるとあってポコ〜ン!! と気持ちよく飛んでいきます。

しばらく流したらゆっくりと仕掛けを回収します。速く巻いて回収すると、刺し餌が途中で外れたり、ちぎれたりしてグレが出す情報を逃すことになるからです。

数投して反応がなければ投入点を変更します。潮目などの好ポイントも含めてあちこちへ投入し、2.5ヒロ前後までの浅いタナで反応のあるところを捜します。

そうしているうちに真正面の30㍍ほど沖で、1.5ヒロのウキ下にて刺し餌が取られました。ここからはスピード勝負。グレの群れは常に移動しており、モタモタしているとすぐにどこかへ行ってしまうからです。

すみやかに刺し餌をつけて同じところに投入。道糸をしっかりと張って流していると、穂先がごくわずかに重くなるアタリがでました。すかさず竿を立てると、1号ロッドがきれいに弧を描きました。ドン深の磯の沖合30㍍で、1.5ヒロの浅いタナまでグレが撒き餌につられて底から浮上してくるはずがありません。やはり浅ダナ~宙層を漂っていたのでしょう。

やがて玉網に入ったのは35㌢クラスの口太グレ。すぐにでも産卵行動に入りそうなほど腹がパンパンでよく肥えています。水温が高いことが影響しているのか、サイズの割にはパワーがあって強い引きを楽しませてくれました。

グレ釣り一直線39
狙い通りのパターンで口太グレがヒットしました。

続く1匹も期待しましたが、写真を撮るなどしたことで時間がたったため、反応はなくなりました。その後、反応がない状況もありましたが、しばらく探っていると刺し餌が取られたり触られたりするところを発見。32~36㌢をポツポツと追加できました。30㌢以下はリリースという具合に、この前とは違って忙しい釣りとなりました。

そして、終わってみると30~38㌢が20匹近くという好釣果。キーパーバッカンの中が満員御礼となったため、酸欠で死なないようにリリースしたこともあってキープしたのは10匹。写真に写っているのが9匹なのは、港で写真を撮ろうとしているときに「今晩の刺し身がない!!」といっているお客さんへ「よかったらどうぞ」とお裾分けしたからです。写真を撮った後も「ワシも!! ワシも!!」と数人に喜んでいただけました。

グレ釣り一直線39
いろいろなパターンがあるものだと改めて認識させられた釣行となりました。

これで前回の釣行後にあったモヤモヤした気分も解消!! 「狙いすまして釣る!!」という本来のグレ釣りではなくて「あちこち投げまくる釣り」という点が正解だったのは何だか不思議な感じですが、たまにはこんな釣りもありかな?(笑)。

釣行メモ

谷口渡船
HP https://www.taniguchitosen.com/
電話番号 0735-62-0890
090-5360-940
※電話受付は20:30まで
住所 和歌山県東牟婁郡串本町出雲219-2
料金 4,500円(日の出〜15時ごろ)

餌はフィッシングベース海クン0739-45-8450)。

【桑原英高プロフィール】

グレ釣りを始めたのは小学生低学年。それから紀伊半島をホームグランドとし、固定仕掛けを基軸とした独自のスタイルでグレを追いかける。トーナメントよりもスレッカラシのグレを攻略するのが得意。シマノフィールドテスター、ゴーセンフィールドテスター、ONIGAKEフィールドテスター、マルキユーフィールドスタッフ。1969年生。
■ブログ:https://ameblo.jp/gureken-hk

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