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南紀の超名礁、伊古木・沖のセシマのポテシャルの高さを再認識!!|桑原英高のグレ釣り一直線・尾長グレ追求編 vol.35
これまで調子がよかった和歌山県下の釣り場ですが、高水温で推移しているせいかグレの釣果のムラが激しくなってきました。ところによっては全く反応がないこともあるなど、釣り場の選択が難しい状況が続いています。そこで目をつけたのが南紀で3本の指に入る名礁といえる伊古木・沖のセシマです。今回はここでの釣りを紹介しましょう
カメラ/文 桑原英高
秋から徐々に調子が上向いて11月中は絶好調だった和歌山の釣り場ですが、12月下旬を迎えて急に釣果のペースがダウンしました。南紀方面に関しては、依然として20度を超えている水温の高さも影響しているのでしょう。ただし、それほどの高水温で推移しているにもかかわらず、場所によっては餌取りさえいないこともあります。そうした異常といえる状況が見受けられるのは気がかりです。
秋に海面を覆い尽くすほどいた浮きグレは今もたくさん見られますが、入れ食いになることも珍しくない口を使う群れがいない磯では浅く釣っても深く釣っても刺し餌が取られないことがよくあります。その点を考えると、潮の状態がわるいのだと思います。
それを証明するかのように、よい条件に恵まれたとしてもグレが釣れるタナは限定的です。釣果が主に上がっているのは1.5ヒロを中心に深くても2.5ヒロまでの浅いタナです。3ヒロ以深を狙っている人は貧果が多いようです。このようにタナの浅深によって反応が異なるということは、底潮がわるいことを意味しているのではないでしょうか?
「地方にある水深の浅い磯では3ヒロ程度の多少深いタナでもグレが釣れるのに対し、沖にある水深の深い釣り場では深いタナを狙っても何も釣れない」というのが近ごろの個人的な実感です。
この連載記事を書くために尾長グレの巣窟といえる南紀・見老津の牛の首にアタックしましたが、水温が20度以上あるにもかかわらず撒き餌に反応する魚が何も見えずにボウズを食らいました。地方の磯では連日のように口太グレの爆釣が続いている見老津でさえ沖磯はまったくといえるほど魚っ気がありません。
そんな状況の中、目をつけたのが同じく南紀にある伊古木・沖のセシマです。超1級磯といえる沖のセシマであれば口太グレの爆釣を楽しみつつ尾長グレも狙えると考えての選択です。
伊古木・沖のセシマは数・型ともに狙える名礁中の名礁
12月23日、釣友の丸谷さんともに伊古木漁港へ。クリスマス前の平日とあって港に集まった釣り人は10名ほどです。そのうちセシマに渡ったのは我々を含めて6名。1人は底物狙いとあり、混雑必至のいつもとは違ってのんびり竿を出すことができます。
①の釣り座に丸谷さん、別の釣り人が入った③の釣り座の横に私が入らせてもらうことにします。この時点では風が弱く、セシマ日和といえる状況です。
まずはタックルの準備です。竿は、今シーズン発売となったNEW BB-Xスペシャル1号500/530をセレクト。道糸は1.5号、ハリスは朝イチに期待される尾長グレに備えて1.75号をセットします。そして、G5のウキをラインに通し、ウキ下2ヒロの固定にセットして準備完了です。
撒き餌は沖アミ6㌔にマルキユーのV9徳用、アミパワーグレスペシャル、遠投フカセスぺシャルを各1袋混ぜ合わせたものを使用します。この配合で水加減をうまく調整すれば強風に負けずによく飛び、着水と同時にすぐに拡散する撒き餌に仕上がります。近ごろの私の定番といえる配合パターンです。
遠投がさらに必要な状況であれば沖撃ちスペシャルを加えます。そうすればかなり遠くまで飛ばすことができます。しっかりと水を加えてよく練り込むことがよく飛ぶ撒き餌に仕上げるコツとなります。
さて、今回渡礁した沖のセシマは、紀伊半島の中で「名礁」と呼ばれる多数の磯の中で3本の指に入るほどの実績場です。グレの数はもちろん型も狙えるうえ、良型の尾長グレも数多く仕留められている名礁中の名礁です。
枯木灘では最も沖に位置する磯とあって潮通しは抜群。本命である速い上り潮が走る状況であれば、日置方面へ向けて渦を巻きながら流れる様子がうかがえます。その光景は釣れそうな雰囲気が漂っており、ワクワク感が自ずと高まります。そして、その期待にいつも応えてくれるのが沖のセシマなのです。
まず足もとに撒き餌を入れてみます。しかし、いつもならウヨウヨと出てくるオセンやオヤピッチャなどの小魚や、大型の魚の姿が見えません。それでも「まあ、何とかなるだろう」とセシマの実力を信じて釣り始めます。
潮はガンガンと流れる上り潮です。③の釣り座の左から出るサラシがその流れとぶつかることで沖に引かれてきれいな筋ができています。そこへ仕掛けを放り込めば、すぐに食いそうな感じです。
ひとまず底に狙いを定めて仕掛けを流してみますが、何の反応もありません。「ここは天下の名礁であり、魚がいないはずがない!!」と思い、道糸の張り加減を調整しながら浅く、深くと釣ってみます。しかし、刺し餌はえんえんと残ります。
セシマでこんなことは初めてです。回りの釣り人の竿もまったく曲がらず、沈黙の時間が流れます。
浮きグレ発見!! ようやく本命ゲット
2時間近く沈黙が続いて嫌な雰囲気が漂い始めたころ、ガンガンと流れていた潮が少し緩みだしました。そのタイミングで先端の①の釣り座で竿を出していた丸谷さんが竿を曲げ、30㌢クラスの口太グレをゲット!!
その直後、丸谷さんが再び竿を曲げたことから沖をよく見ると、シモリ付近に群れる浮きグレの存在が目に入りました。そこで、すぐに尾長グレ狙いの仕掛けから浮きグレ狙いの仕掛けにチェンジします。具体的には、刺し餌がフワフワと漂うようにハリスを1.5号、ハリをONIGAKEの極軽グレ5号に変更し、ウキ止めを用いずにウキ下を1ヒロに合わせるというものです。
いわばスッポ抜け仕掛けを②の釣り場に移動して大遠投すると、すぐに道糸が走って32㌢ほどの口太グレをゲット。やや小振りなサイズとあって「このサイズを釣るためにセシマにきたんじゃないのだが…」と思いつつも、お土産として数匹確保しようと釣り続けます。ところが、風が急に強くなり始めるのと同時に海面に浮いていたグレが姿を消してしまいました。
再び沈黙が続きます。「尾長グレはいないのか?」とあちこち探ってみますが、反応はまったくなし。刺し餌が残る状況が続くというほど調子のわるいいセシマは初めてです。調子がよいときには1人で20匹、30匹という釣果が普通であり、釣れ始めたら手がつけられないほどアタリがあるというイメージしかなかっただけに戸惑います。今日に関してはどこにでもある普通の磯といってもいいほどです。
潮が緩くなってグレの気配がプンプン
やがて上り潮が少し緩むと、②の釣り座の足もとから出るサラシの先端に上り潮が当たることでできる潮壁に仕掛けがなじむようになりました。それまでは潮が速過ぎて仕掛けがすぐに弾き飛ばされることから期待薄でしたが、潮が緩くなったことでグレの気配がプンプンし始めてきました。
こうなれば尾長グレだの口太グレだのいってられません。とにかく竿を曲げたい一心でウキ下2ヒロで潮壁を狙うと、戻ってきた刺し餌に触られた形跡が見られます。「もっと浅いか?」とウキ下を1ヒロにして狙ってみると、道糸がビュ〜ン!! と走りました。竿を軽く立てると久々の重量感が伝わります。
きれいな弧を描くおニューのBB-Xは前作よりも胴にパワーがあり、しっかりとタメがきく感じです。従来の1号に比べると数段アップしている粘り具合を体感しながら溜めていると、すんなりと36㌢の口太グレが海面に浮きました。
続けてアタリがでたものの3連続でハリはずれ。そこでハリを極軽グレの4号に変更します。これがよかったようで、次のアタリはきっちりとフッキングして30㌢クラスの口太グレをキャッチ。
丸谷さんも同型をゲットしますが、場所が場所だけにサイズに納得がいきません。「セシマでこんなサイズが入れ食いになってもなあ~」と思っていると、今日一番の大アタリがでました。
すかさず合わせると、1号竿が根もとからヒン曲がります。「そうそう、これがセシマやで!!」と思った瞬間、竿先が跳ね上がりました…。尾長グレ? いやっ、イズスミということにしておきましょう(笑)。小さいハリを使っていたことと、釣れるグレが口太グレばかりと思い、気が緩んでいたためにハリを飲まれたのがバラシの原因でしょう。
超美味なヤイトガツオをゲット!!
その後32~33㌢クラスの口太グレを2匹追加したところで潮が下りにかわりました。すると、今度は目前に潮壁ができた③の釣り座の釣り人が頻繁に竿を曲げだしました。私たちの釣り座の前には何もいなくなったことから下り潮に仕掛けを乗せてドンドン流していきます。すると、糸が一気に走るアタリがでました。すぐに青物だとわかる引きで抵抗しながら上がってきたのは超美味なヤイトカツオ!! これはうれしいお土産です。
その後、グレのアタリはなくなったものの、これまた美味なスマカツオを2匹追加。この釣果を最後に終了となりました。
今までに何度も何度も竿を出したセシマですが、これほど調子がわるい日に当たったのは初めてです。とはいえ、そんな状況でもグレの顔が見られるのはセシマだからでしょう。次に行くときには本調子のセシマであってほしいですね!!
ちなみに、ヤイトカツオの刺し身は脂ノリノリで最高でした。昇天するほどおいしかったです!!
釣行メモ
小出渡船 | |
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住所 | 和歌山県西牟婁郡白浜町塩野408-3 |
電話番号 | 0739-52-2457 |
餌店 | フィッシングベース海クン(0739-45-8450) |
タックルデータ
【桑原英高プロフィール】
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