本格化間近!! 中紀のイシダイの近況を紹介|木村俊一的イシダイストーリー vol.15 | 関西のつりweb | 釣りの総合情報メディアMeME

本格化間近!! 中紀のイシダイの近況を紹介|木村俊一的イシダイストーリー vol.15

イシダイストーリー15-1

そろそろ本格化する中紀のイシダイシーズンですが、台風の度重なる襲来などの悪天候の影響で思うように釣況が把握できません。そんな状況の合間を縫って釣行を重ねてみたところ、やや遅れている感はあるもののイシダイの食いが向上している気配を察知することができました

(カメラ/文 木村俊一)

秋が深まり、いよいよ本格的な底物釣りのシーズンを迎えました。ところが、温暖化の影響で巨大な台風が次々と襲来し、太平洋側の磯釣り場は波やウネリでなかなか釣行ができません。そんな悪条件が続く状況の合間に和歌山県・大引の磯で2週にわたって竿を出してみました。11月初旬に開催する予定である、私たちのクラブ「石鯛釣技会」の大会の下見を兼ねての竿出しです。

紀伊水道に面している中紀は、京阪神から比較的近くて釣行がラクであること、魚影が濃いこと、釣れる魚の食味のよさが抜群という具合に好条件が揃っています。中でも大引は人気が高く、いつも大勢の釣り人の姿が見られます。平日でもごった返すほどの釣り人がいることから餌の入り具合がよく、磯魚の寄りのよさは抜群です。

大引のイシダイ、秋の開幕の状況はいかに?

10月7日、釣友の橋口次男、前 勉の両氏との3人で様子をうかがいに出かけてみました。前回の釣行では秋の大引で最初に食いだすヒラバエを攻めたことから、今回は白崎の沖に位置するオオクラを探ることにしました。

早朝に着いた上野渡船の待合所は平日というのに十数人の底物師の他、上物狙いやルアー釣りなど駐車場からあふれるぐらいの釣り人が準備をしています。あいかわらずすごい人気です。

1番船で渡ったオオクラでは釣り開始後しばらくしてからイシ物のアタリがで始めました。なかなかハリに乗らないのは型が小さいからでしょう。

イシダイストーリー15-7
オオクラから白崎を望む。中央に見える「ビシャゴ」もよく釣れる場所です。
イシダイストーリー15-8
オオクラでイシダイのアタリを待つ橋口さん。

3人で餌打ちを繰り返していると、食いがさらに荒くなって竿先を押さえ込むいいアタリが混じり始めました。そして、やがてハリ掛かりしたのはイシガキダイです。餌取りもたくさんアタりますが、イシ物のアタリも活発です。

その後、16時まで粘って橋口さんが3匹、私と前さんが2匹ずつの計7匹のイシ物(そのうち6匹はイシガキダイ)が出ました。表水温26度であったことを考えると、本格化はこれからという状況でした。

イシダイストーリー15-3
オオクラで早々に竿を曲げる前さん。
イシダイストーリー15-4
「小さいけれど、ここの魚はおいしいんだよ」と笑う前さん。
イシダイストーリー15-5
橋口さんも続けてイシガキダイをゲット。
イシダイストーリー15-6
37㌢のイシガキをもつ前さん。この海域ではいいサイズです。
イシダイストーリー15-9
私にもイシガキダイが2匹釣れました。

その結果に「日にちをズラしてまた行こう」と橋口さんがいいますが、翌日から海がシケて渡船が出ない状況が続きました。それでも毎日のように橋口さんは電話をかけてきます。

ようやく釣行できそうになったのは10日後の17日です。上野渡船に電話を入れると、出船OKとのこと。それならと餌の予約をして釣行することにしました。同行メンバーは前回と同じく橋口さんと前さんです。

大引のイシダイの上向き傾向を確信

表水温は前回に比べて表1.5度下がっています。「水温が下がった直後だから厳しいかも」と話ながら今回もオオクラへ渡礁しました。

イシダイストーリー15-11
大引は平日でも賑やかです。港で餌のウニを入れてもらいます。
イシダイストーリー15-24
イシダイストーリー15-20
渡船から見たオオクラの全景。左端から手前の中央までが底物ポイントです。
イシダイストーリー15-16
オオクラのイシダイポイントです。

素早く仕掛けを投入したのは前さん。私と橋口さんが用意している間の早ワザです。さすが南紀イシダイ師です。

イシダイストーリー15-23

私は前回にアタリがよくでた18㍍のポイントを狙います。投入後に道糸を張ると、さっそくイシ物のアタリがでました。魚が餌に触ったときに道糸がたるまないようにリールのハンドルを動かしながらアタリの具合をうかがうと、段々と大きくなったかと思ったところで竿先が押さえ込まれました。ところが、半分ぐらいまでゆっくり戻ってきます。その反応に対し、ハンドルを少し動かして道糸の張りを強くすると、竿先が大きく絞り込まれました。イシダイ竿の舞い込みは何度見ても気持ちのいいものです。

完全に食うまで待ってから合わせを入れると、ばっちりとハリ掛かりしました。1投めでの魚とあって慎重にやり取りすると、やがてイシダイが海面に浮きました。磯角となる南側へ誘導してから竿先を目いっぱい海面へ向けて下げ、道糸を適度に巻いてから一気に抜き上げます。かなりの重量感だったことから50㌢級かと思っていましたが、磯に横たわったのは42㌢のイシダイです。

イシダイストーリー15-12
私の1投めに42㌢のイシダイがヒット。
イシダイストーリー15-13
丸々として美しいイシダイです。

「きれいな魚やな。これは入ってきたばかりの魚やで。ワシは竿をまだ出してないのに…」とは橋口さん。前さんは「パンパンに太っている」といいながらイシダイを見ています。

このイシダイを見て「これはいけるぞ」と3人とも色めきたちましたが、期待に反してアタリはこれっきり。以降は3人ともイシ物をキャッチすることができませんでした。

イシダイストーリー15-14
真剣な眼差しでアタリを待つ橋口さん。
イシダイストーリー15-17
釣果は1匹だけでしたが、いい型とあって満足です。
イシダイストーリー15-19
上野渡船は頻繁に見回りをしてくれるので安心です。この日は少し早めの午後2時に納竿しました。
イシダイストーリー15-22
港で軽トラに荷物を乗せてから渡船店へ。1日の釣りが終わりました。

私たちの釣行の3日後に大引へ釣行したクラブメートが45㌢のイシダイを釣り上げました。中紀のイシダイの気配が徐々に上向いていることは確かであるだけに今後が楽しみです。

釣行メモ

上野渡船
HP http://minnaga.com/uenotosen/
電話番号 090-8572-3909
住所 和歌山県日高郡由良町大引578
料金 4,000円

〈木村俊一プロフィール〉

生活のすべてを捧げて没頭するほどのイシダイ釣り愛好家。「釣れなくてはおもしろくない」を信条として全国各地で竿を出し、柔軟な実釣スタイルでコンスタントに釣果を上げてイシダイ釣りの魅力を発信し続けている。
年間釣行回数約100日。自己記録はイシダイ71.5㌢(重量の最大は7.3㌔・71㌢)、イシガキダイ(クチジロ)84.5㌢・11㌔。尼崎市にて底物釣りのプロショップ「木村商」を経営。1952年生。