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釣りのマナーを再点検|私がされるとイヤな9のケース

波止釣りのマナー8

釣りでのマナーを意識したことがありますか? 「人よりも大きい魚を釣りたい」など、ワガママが先行するのが釣りです。みんなが思いやる気持ちを持つようになれば楽しさはもっと増えるはずです。今一度マナーについて考えてみましょう

(文:新宅功治)

【釣りのマナー】私がされるとイヤな9のケース

【ケース1】あとからきて竿を振るのも危険なほど近くに釣り座を取る

釣りは先行者が優先。その近くに入るときは「このあたりで釣ろうと思うのですが、邪魔になりませんか?」とひと声かけるのがマナーです。

波止釣りのマナー1
混雑時にエントリーするときは両サイドの釣り人にひと声かけましょう。

【ケース2】持ってきた道具類を一面に広げて釣りをする

釣り場は自分だけのものではありません。準備するときはよいですが、常に広げているのは考えものです。予備の竿を踏まれたり、急な強風や波に荷物が飛ばされるなどのトラブルの元。釣りに必要なもの以外は片づけてまとめておき、他の釣り人が通りやすいように配慮することです。

それと同様に長い玉網の柄をのばしたまま人の通る場所に置くのも迷惑です。

【ケース3】釣り場を離れるときに竿を出しっ放しにする

仕掛けが潮に流されると潮しもで釣る人に迷惑がかかります。あるいは魚に竿を持っていかれたり、とんでもないところに流れて根掛かりをするなど、自分にも他人にも何ひとついいことはありません。席を離れるときは仕掛けを回収しておくことです。

【ケース4】異常に大きな糸フケを出す

糸フケは上潮に乗って大きな弧を描きながら隣の人の方に流れます。そうなると隣の釣り人は投入できません。ほどほどの糸フケを保ち、隣の人の投入点に流れる前に仕掛けを回収するのがマナーです。

【ケース5】仕掛けを流し続ける

仕掛けを流すのはよいですが、潮しもにいる釣り人の投入点を過ぎても流し続けるのはマナーを通り越して嫌がらせといえます。潮しもの人が釣り仲間なら観音回りで順々に流すといいでしょう。知らない方なら流すのを我慢すること。我慢することも釣りの一部です。

【ケース6】隣の人が大物を掛けても自分の仕掛けを回収しない

魚の掛かった隣の人の仕掛けが自分の糸にカラんで切れる。これは謝ってもときすでに遅しです。自分が大物を掛けてバラしたときのことを想像すると、いかに悔しいかがわかるでしょう。隣の人が竿を大きく曲げたら自身の仕掛けを速やかに回収しましょう。

波止釣りのマナー3
回りの方が竿が大きく曲げたら仕掛けを回収する配慮をしましょう。

【ケース7】釣った魚を目の前にポイッとリリースする

小さい魚や他魚をリリースすることは大いに賛成です。しかし、リリースする場所を考えなくてはなりません。

リリースされた魚は着水と同時にダッシュします。その異常な逃げ方は、ポイントに集まった魚たちに危険を覚えさせると考えられます。あるいはリリースした魚と一緒に逃げてしまうこともあるでしょう。

公園にいるハトの群れを想像して下さい。その中の1羽が何かに驚いて飛び立つと、他のハトもバッと一緒に飛ぶのをご覧になったことがあるでしょう。あの現象が海中で起こっていると思えばわかりやすいと思います。

近くの釣り人も同じ被害にあうだけに、ポイントから離れたところでリリースすることを心がけましょう。

【ケース8】夜釣りの際に海面をライトで照らす

「海中では4㍍も潜れば海上の光は見えない」などと書かれている本もありますが、人間と魚の目は違います。魚は警戒心が強く、何か異様な気配を感じた時点で逃げだします。人間のようにそれが何なのかと確かめることはありません。

波止釣りのマナー2
ライトを照らすときは、海面に光が落ちないようにポイントに背を向けるのがマナーです。

常夜灯のように動かない光には警戒心を持ちませんが、上方でチラチラと動く光や気配があれば一瞬にしてその場から逃げてしまいます。自分のポイントだけでなく、回りの人たちのポイントを台なしにする可能性があるだけに注意が必要です。

【ケース9】住みわけ(釣る場所)を考えない

シラサエビのエビ撒き釣りをしているときに、あとからきた釣り人がすぐ近くで沖アミのフカセ釣りを始めたときは困りました。また、夜にエビ撒き釣りをしているときに、光輝くタチウオ仕掛けをポイントに通されたときも驚きました。

注意をしたり、もう少し離れていただきたいと頼むと「ここはオッサンの海か?」と数人の若者に囲まれたことがあります。私の海ではありませんが、あなただけの海でもありません。みんなの海ですから自分の釣りと異種の釣りを見きわめ、住みわけ(釣る場所)を考えることもマナーだと思います。

マナー雑感

釣りほどワガママで自己中心の趣味はないかもしれません。しかし、自分1人で竿を出している場合ならともかく、そこへ他人が入ったり、公の場所での釣りとなれば、そこにはマナーが必要になります。誰だって気持ちよく釣りをしたいのですから。

それがわかっていても元来がワガママな趣味ですから「他人より大物を釣りたい」「多く釣りたい」という欲望を抑えきれません。立派な大人であっても釣りは童心が蘇るもの。いわば子どもに戻る行動(ワガママ)を取りがちです。子どもは他人のことを自分に置きかえて考えるのが苦手なものです。

波止釣りのマナー7
あくまでも魚釣りは趣味です。みんなで楽しさを共有するために他人を思いやる気持ちを持ちたいものです。

マナーっていったい何でしょう? 人間関係をスムースにするための初歩的常識とでもいうのかもしれません。すなわち、常識行動こそマナーなのではないでしょうか?

〝釣り文化〟という言葉がありますが「マナーを守ろう」などといっているうちは〝文化〟になり得ないと私は思います。

先に述べた9のケースは、あくまでも初心者の方に理解していただくために書きましたが、ベテランといえどもマナーを心得なければならないことも多くあります。これは私も含めて反省です。

日常生活や仕事などのマナーについて語ればキリがありませんが、他人に迷惑をかけて自分だけが得をするのはいけません。結論をいえば「他人の不幸の上に自分の幸せを築くな」ということだと思います。

他の釣り人にも、魚にも「思いやる心」を持ち、楽しい釣りをしたいものです。そのためのマナーです。