【トーナメンターの秘蔵テク】グレの食い気をうながす最終手段とは？

グレの反射食いを誘う「100円玉釣法」

まずは個人的に「100円玉釣法」と呼んでいる食わせのテクニックについて。

これはハリの上15㌢にＧ５～Ｂのガン玉を打ち、刺し餌を速くフォールさせて反射食いを誘う方法です。撒き餌と同調するように刺し餌をゆっくりと沈めるというグレ釣りのセオリーに反する手法ですが、今まで釣れていたのに食わなくなったとか、何匹か釣ると食いが止まったというときに特に威力を発揮します。しかも、ひと回り大きなサイズがくることも多いです。

ウキが沈み過ぎてアタリをとりにくいときは、浮力のあるナビウキをウキの下に追加します。そうすることでウキを交換する手間が省けるぶん手返しが上がります。

仕掛けが立ってもアタリがでなければ竿を軽くシャクります。そうして刺し餌を躍らせる程度のごくわずかなサソイに好反応を示すことがあるからです。反応がないときは積極的に行なうのが得策です。

効果的だった事例

そんな100円玉釣法の有効性を改めて実感したのがとある大会の予選です。

そのときは５匹で６㌔ほどのウエートを稼いでいましたが、回りの釣れ具合を考えると２匹ほどの入れかえが必要という状況でした。それでＧ５のガン玉をハリ上15㌢に追加したところ１発で45㌢のグレがヒット。続いて同じパターンで狙いましたが、今度は32㌢にサイズダウン。そこで思いきってＧ１のガン玉に変更すると、すぐにアタリがでました。しかし、うまくハリ掛かりせず、キャッチにはいたらず。ならばと、オモリの位置を５㌢ほど上げて投入。すると、ウキがスーッと海中に入ったかと思うとラインが張りました。すかさず合わせてキャッチしたのが当日の予選で最大の48㌢でした。これで７㌔近いウエートとなって予選をトップで通過することができました。

グレの活性を一気に高める「撒き餌百裂拳」

続いて紹介するのはトーナメントの決勝戦で使うことが多い「撒き餌百裂拳」という技です。主に使うのは、釣りを開始した直後にありがちなグレの動きが鈍いときです。通常は20～30分ほどして食いだすことが多いですが、この手法を使えばグレの活性を瞬時に上げることができます。また、オセンや木ッ葉グレといったこの時期に多い餌取りの対策にもなります。

この技を実行するにあたっては、まずは磯際の潮が穏やかなところを捜します（シモリや沈み根があればなおよし）。そして、両手にシャクを持ち、見つけた場所の１点に集中して撒き餌を素早く連続で打ち込みます。状況によってはシャクよりもたくさんの撒き餌をすくえるマゼラーを用いて打つこともあります。

１度に撒く量の目安は36㌢のバッカン1/6～1/4程度。もちろん、餌取りが多ければ量は増えます。それだけの効果が得られるのかと心配になりますが、たとえば撒き餌を打つ前からオセンがウロウロとしている状況では有効ですから心配ありません。上層を占める餌取りが撒き餌を先に捕食するために反応が鈍かった良型のグレのタナにも撒き餌がやがてきくようになり、活性の急上昇が期待できます。

この釣法の場合、ボイル沖アミの単体使用ではなく、生の沖アミに集魚材を混ぜた撒き餌を使います。比重の軽いボイルはかなり潮しもへと流れるためヒットポイントが遠くなるという懸念があるため使用を控えるのが賢明です。

効果的だった事例

この釣法の効果のほどをよく覚えているのは、とある大会の決勝戦です。

開始後、前述したように撒き餌を１点集中でポイントに大量に打ちました。それが功を奏して１投めから良型グレが連続でヒット。このまま釣れ続くだろうと思っていたところ、潮がかわった30分後からは状況が一変してまったく釣れなくなりました。

その時点での釣果は対戦相手が１匹。食いだすまでに20～30分の時間を要するという傾向のあおりをモロに受けた格好です。それに対して私は10匹をキープ。このように開始30分で大差がついたわけですから撒き餌百裂拳の効果は少なからずあったといってよいでしょう。

トーナメントシーンに限らず、通常の釣行でもグレの活性を高めたいというときにはこの釣法は有効です。ただし、撒き餌を大量に消費するにもかかわらず、必ずしも通用するわけではありません。毎度行なうというわけにはいかないことから、ここぞという場面で使える引き出しの１つとして頭に入れておいて下さい。