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【投げ釣り】大ギス×マダイ 一挙両得を実現 Part.4 紀東のパターン

大ギス&マダイ 紀東30

つき場の違いを考え、
的確にスタイルを選択

紀東エリア〈三重県〉

本来はどちらか一方を集中的に狙うのが鉄則だが、両方釣りたいならそれなりの作戦で挑みたい。マダイは深場の砂泥底に、キスは浅めの砂地に多いわけだから…

(文:高倉雅典)

紀東で大ギスを狙いたい? それならマダイは捨てよう。これは私の経験や先輩の教えによって至った結論である。

一般的にはマダイと大ギスを合わせて狙うのが夜の大物投げ釣りのスタンダードのように思われがちだが、マダイとキスは別の狙い物として本来はとらえるべきだろう。同じ釣り場では魚種によってピーク時期が異なるし、同じ時期ならば魚種によって集まる場所は異なるからである。

とはいえ、人情的には両方を期待したいのも理解できるので、ここでは主にマダイが狙える釣り場を主眼に、時期やポイントによってキスも期待できる釣り方と釣り場を紹介したい。

〈基本考察〉
沖のマダイ、手前にいるキスを
明確に釣りわけるシステムで!!

釣り場考察

リアス式の複雑な海岸で形成される紀東方面には大きな波止や一文字などの大場所は少なく、幅の狭い防潮壁、岸壁に繋がれた係船の間、道路端、満潮時には竿を振るスペースに困るようなゴロタ浜などの小場所が多い。そんな中でもマダイのポイントは少なくとも15㍍以上の水深がある場所、キスのポイントは水深が10㍍までの浅い場所に多い。したがって同じ釣り場でキスもマダイも狙う場合は、浅めで砂地が広がるエリアと深いエリアを同時に狙える場所に実績が多い。

たとえば、30~50㍍ぐらい沖までは砂地混じりの転石で形成されたカケアガリ、その先はシモリ混じりの砂底で水深が20㍍程度あるような場所がいい。そうしたところなら主に近~中投でキス、遠投でマダイという具合に投点をかえることで両方が狙える。

大ギスマダイ4-1

魚影の濃い離島などでは自然とキス&タイの好釣果が上がることもあるが、紀東では意識的な狙いわけが必要だ。

タックル&餌考察

竿は30~33号の4㍍程度が扱いやすい。小場所が多い紀東方面の釣り場では長過ぎる竿、かた過ぎる竿は持て余すことが多い。背後に防潮壁が迫る岸壁で長竿は振れないし、仕掛けを地面に置けないゴロタ浜などでかた過ぎる竿だとキャストに苦労する。ただ、カケアガリを強引にクリアする必要もあるから軟竿の使用も考えものだ。

道糸は遠投用にPE2号+力糸、汎用タイプとしてナイロン5号+力糸とする。また、シモリの多い場所やカケアガリをタイトに狙う場合のナイロン8号やPE4号のスプールも用意している。竿数は場所に応じて2~4本程度である。

仕掛けは、キス用がモトス8号、ハリス4号、カレイバリか流線12号の先バリダブル仕様、マダイ用はモトス10号、ハリス5~6号、丸セイゴかユムシコウジ16号で、遠投時は1本バリ、中・近投時は先バリダブル仕様とする。全長はキス用、マダイ用ともに1.7㍍程度だ。

餌は、マダイにはマムシ、タイムシ、細めのアオイソメ、ユムシ、キスにはマムシ、チロリ、細めのアオイソメ、イシゴカイを用意する。

餌の使いわけは主に投点で決める。遠投ではマムシ、タイムシ、チロリの頭部などのかための部分を使用する他、ユムシやイシゴカイの通し刺し(2~3匹程度)を用いる。中~近投ではアオイソメ(マダイなら房掛け、キスには1~2匹の通し刺し)の他、マムシ、タイムシ、チロリの胴部分を使うことが多い。

スケジュール考察

三重県下の場合、大~中潮回りに朝夕のまづめと満潮が重なるタイミングが絶好の狙いどき。日が出入りする前後3時間(計6時間)の合計12時間を中心に釣るパターンがいい。

春から夏にかけての夜が短い季節は遅めの15~16時から22時ごろまで釣り、翌日2時まではペースダウンの中休みとし、以後は8~9時まで釣る。秋から冬にかけての夜が長い季節なら14~15時開始で中休みを入れて9~10時終了という感じだ。

〈アプローチパターン〉
手返し&投点は餌取りしだい。
掛けそこねてもあわてずに…

手返しのペース

標準的な手返しのペースは、マダイ狙いの中~遠投の場合は30分程度、キス狙いの近投時は餌取りが多くなるので15~20分。これを基準に魚の食い、餌取りの活性を見ながらペースを考える。ウミケムシやモミジガイは知らぬ間に食いついていることが多いので、これらが多いときは頻繁に仕掛けを動かしてハリ掛かりの有無を確認したい。

ただ、キス狙いの近投で何度も打ち返すのは魚を散らす原因になる。やや遠めに投げてから静かにポイントに落ち着かせる配慮が必要だし、近投の竿は1本に限定している。

ドラグの設定

大物に竿を飛ばされる恐れや、キスの食い込みのよさを考えるとドラグフリーでアタリを待つのが無難だが、マダイのように口がかたい魚はドラグロックでアタリを待つ方がヒット率は高いように思う。竿を飛ばされないように尻手ロープを使うことで打ち返しがおろそかになるのは本末転倒だが、それによる制約が苦にならないならマダイ狙いはドラグロック、キス狙いはドラグフリーがベストだろう。

大ギスマダイ4-7

マダイのハリ掛かり向上を望むなら尻手ロープをつけてドラグロックというスタイルが好ましい。

いずれにしても合わせは十分に糸フケを取り、ラインにテンションをかけてから行なうこと。マダイの場合は大きく合わせ、キスの場合は鋭く合わせるといい。

なお、ドラグフリーで激しいアタリがあってもハリ掛かりしなかった場合にあわてて巻き上げるのはよくない。とりあえず仕掛けをゆっくりと動かしてみよう。これで餌を食いそこねた魚が再度アタックしてくることも多い。

投点の考え方

紀東方面では潮流で仕掛けがポイントへ流れ込むようなことはない。そのため常にベストと思われるポイントへ仕掛け持っていくよう心がけたい。

一般的に、キスを期待する近投や浅場のポイントにはゴンズイやフグの餌取りが多く、マダイを期待する遠投や深場のポイントはウミケムシが多い。近投では餌取りが多過ぎて釣りにならないようなら、遠投で砂泥底の深場を狙うパターンを主体にしてマダイの確率アップを期待する方がいいだろう。

逆に、沖の深場がウミケムシばかりで魚の気配がないようならキス主体の近~中投に切りかえるのも一策だ。