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【磯釣り】春のグレを重い仕掛けで攻略。丸玉オモリの可能性に迫る!!
フカセ釣り=軽い仕掛けというイメージがありますが、その考え方を見直すには最適のシーズンが春磯です。丸玉オモリ1号クラスの重いオモリを使った仕掛けに注目することで、これまでに味わえなかったグレ釣りの世界が広がります。ぜひ、チャレンジして春磯の魅力を存分に楽しんで下さい
(文:森 康人)
グレ狙いのフカセ釣りでまず頭に浮かぶ釣り方は、浮力を抑えた小さなウキを用いて可能な限り軽い仕掛けで繊細に釣る方法でしょう。繊細なタックルや仕掛けを駆使して撒き餌に刺し餌を同調させ、違和感なく食わせるスタイルが現在のフカセ釣りの主流です。そのゲーム性に富んだおもしろさが多くの釣り人に受け入れられ、爆発的なブームとなってかれこれ三十数年の年月が流れました。
その基本スタイルは現在もかわることはありません。私自身もグレ釣りを楽しむときはウキからハリまでの間に何もつけない完全フカセをベースにしています。比較的水深が浅い中~南紀のグレ釣りであれば、3ヒロまでのタナを完全フカセで攻めるスタイルが安定した釣果を得るための正攻法といえます。
しかし、以上の考え方はあくまでも基本です。水温が安定せず、釣果が不安定な春に完全フカセの固定仕掛けだけでがんばるのは正解とはいえません。
グレ釣りは魚に餌を食わせるまでのプロセスにおもしろさがあります。試行錯誤を繰り返してヒットパターンを見つけ出すゲームであり、変化し続ける状況に臨機応変に対応することが欠かせません。フカセ釣りの基本はこう!! と固定観念にとらわれず、斬新かつ柔軟な考え方で狙いたいものです。
【春グレ】重いオモリを使用した仕掛けの有効性とは…
私が春先に結構いい思いをしている丸玉オモリ1号や2号を使ったスタイルは柔軟な考え方の好例です。丸玉オモリを使用する釣りといえば、魚の気配のまったくないときに「何か食ってくれば…」という気持ちで行なうようなイメージがあるかもしれません。しかし、実際にはそうではなく、春のグレ狙いでは非常に理にかなった方法なのです。グレ以外のうれしい他魚も期待できることもあり、私はこの釣り方も駆使して春の磯釣りを楽しんでいます。
通常の軽くて繊細な仕掛けを用いた釣りと比べると、この丸玉オモリを使用する釣り方には大きなメリットが2つあります。
撒き餌が流れるラインに仕掛けを流せる
1つめは自分が流し込みたい潮筋、つまり撒き餌が流れるラインに沿って確実に仕掛けを流していける点です。
少し話がそれますが、和歌山の釣り場には「秋は地方から」「春は沖から」という格言が古くからあります。「秋磯は地方から」に関しては、水深が浅く、潮の流れが穏やかな地方寄りの磯でグレをはじめとする磯魚の好釣果が上がるという意味です。それに対して「春は沖から」は、とにかく潮通しがよく、たっぷりと水深がある沖磯に限って釣果が得られるという意味です。
このことからわかるように、春の磯で安定した釣果を得るには沖磯で竿を出すことが前提になります。それも中途半端な沖磯ではいけません。枯木灘を例にあげれば、見老津の東の一の島やナベ、口和深の沖の三ツ石、すさみのエビ島、伊古木の沖のセシマなど、このエリアを訪れる磯釣り師なら誰もが知っている超一級の名礁のように潮がガンガンと走る沖磯が狙い目になります。それも寒の時期のように足もとではなく、沖の潮目やヨレといった比較的遠いポイントで爆発的な釣果が得られるのが春磯の特徴です。
ただ、このような沖磯で竿を出せるチャンスにめぐり合えても期待が裏切られることもあります。特に、強風に加えて沖磯ならではの大きなサラシの影響でラインがフケるようなときはその傾向が見られます。ヒットパターンを見つけるどころか目当ての潮筋に仕掛けを流せないまま名礁をあとにしなければならない、というケースも珍しくありません。
そのような経験がある方は当時を思い出して下さい。浮力を抑えた小さなウキにジンタンの6号や7号といった小さなシズを段打ちにしたいつもの仕掛けを使用していたのではないでしょうか? 私ならウキ下1ヒロから1ヒロ半といった超浅ダナ狙いにもかかわらず、特大のウキを使用した丸玉オモリの仕掛けを使います。
「繊細な仕掛けでなければグレは釣れない!! まして丸玉オモリなんて…」というのは経験のない釣り人が口にする言葉です。フカセ釣りで最も大切なことはポイントでの撒き餌と刺し餌の同調です。何の抵抗も束縛もされない撒き餌は速い潮に乗り、やがて沖のヨレや潮目に溜まってポイントを形成します。そのポイントへ刺し餌を運ぶことが前提です。「繊細な仕掛けが…」などと考える前に刺し餌を運ぶ工夫をするべきなのです。
丸玉オモリに対応する体積のある大きなウキは潮乗りが抜群です。そのウキの下30~40㌢の付近に丸玉オモリ1号や2号をセットして確実に潮に噛ませれば、仕掛けは理想の潮筋をキープして刺し餌をポイントに運んでくれます。
仕掛けがポイントに届けばこっちのもの。重量のある丸玉オモリを使用しているとはいえ、オモリから下は完全フカセの状態です。ラインの張りをコントロールすることによって丸玉オモリを支点とした仕掛けの張りが行なえ、通常の釣りと同じ理論での攻め方が展開できるのです。
深ダナをキープしやすい
2つめのメリットは何といっても狙いたい深ダナを確実にキープできることです。
春はとにかく水温が安定しません。黒潮が紀伊半島沿いに差し込んで水温が上昇したかと思えば、些細な変化で潮が離れて水温低下に見舞われるのがこの時期の特徴です。潮に敏感な磯魚は、少しでも水温が低下すると嘘のように動きが鈍ります。そうなると深ダナを狙う釣りが要求されます。
その場合、潮通しのいい沖磯であれば私はすぐに丸玉1号仕掛けに変更します。無風で素直な潮という状況であれば3Bや4B程度のオモリでもある程度のタナまで仕掛けをなじませることができます。しかし、少しでも風が吹いていれば仕掛けを張ることで刺し餌が浮き上がり、狙いたいタナがキープできなくなります。その不具合は丸玉オモリにはありません。狙いたいタナを確実にキープできるため魚がいるタナをこまめに探っていけるのです。
もっとも、丸玉オモリを使用しているからといって無造作に仕掛けを流すわけではありません。仕掛けが狙いたいポイントに入れば、張りを与えて角度をコントロールしながらアタリがでるタイミングを探っていきます。要するに、軽い仕掛けで行なうフカセ釣りと何らかわりはないのです。
ただ、丸玉仕掛けを使用するにあたって注意しなければならないことが1つあります。それはフカセ釣りの基本中の基本である撒き餌と刺し餌の同調をおろそかにしないということです。
撒き餌と刺し餌の同調はポイントが近ければ近いほど、タナが浅ければ浅いほど精度が高まります。とはいえ、丸玉仕掛けを使うのは、ポイントが遠い、狙うタナが深いということに加えて潮の流れが複雑で速い状況です。必然的に撒き餌と刺し餌の同調が困難となり、どうしても手探り感覚の攻め方となってしまいます。
ここでよく考えて下さい。30~40㍍も先の竿2本ほどのタナで思い通りに撒き餌と刺し餌を同調させられるでしょうか? それはもう神業といえるでしょう。このため考えたいのは少しでも撒き餌と刺し餌が合う確率をアップさせるということです。潮の流れをよく観察し、自らの経験と勘を頼りにこまめに撒き餌を入れ続ける。これがこの攻め方の最重要ポイントです。
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