【エキスパート対談 新名啓一郎×高井主馬】釣りを末長く楽しんでいくために…《前編》 | SWマガジンweb | 海のルアーマンのための総合情報メディア - Part 3

【エキスパート対談  新名啓一郎×高井主馬】釣りを末長く楽しんでいくために…《前編》

モノづくりに対するこだわり

大塚 先ほど魚の大きさや数の話が出ましたが、お2人は釣りをする中で、どういった部分で欲求が満たされているのですか?

新名 僕はいろんなことを試すというのが好きですね。自分が苦手とするスタイルであったり、今まで誰もやってないことの可能性を少しずつ広げていきたいなと思っています。その中で成功したり、新たな方法を見つけたりしたら「これは誰も知らないかも!?」って感じでうれしくなりますね。 

高井 プロセスとか発見を重要視しているのかもしれないですね。

新名 そう、ポイントだったり釣り方だったり。それがすごい楽しいですね。

新名啓一郎×高井主馬 対談7
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大塚 「ワインディングトレイル」もSWマガジンwebでめでたく復活しましたが、雑誌時代から新名さんのスタイルを見ているとそれはすごく伝わってきます。あと、お2人ともルアーを開発されているわけですし、まさにプロセスから釣りを掘り下げていますよね。モノづくりに対する発想やこだわりというのはやはり実釣を通して出てくるものですか?

高井 そうですね。釣り方もモノづくりに生きてくるのだと思います。釣りを通して「こういうものがあればいいな」と発見したり、人が作ったルアーを見て「これはこういうところが受け入れられているんだな」とか、逆に「自分だったらここはこういう形にするな」と勉強になったりしますね。あとは「飴みたいだったらいいな」という感じでまったく違うベクトルから発想が生まれることもありますよ(笑)。

新名 僕も作者の創意がわかるルアーが好きですね。そういうルアーと出会ったときは「よく考えてるなぁ」と感心します。高井さんのルアーもそうですよ。

高井 世の中は常に新しいものを求めているので、周囲に「新作を出さないんですか?」ってよくいわれますが、アングラーのみなさんも3年とか5年経ってようやく使い込めるようになるんじゃないかなと思うんですよ。だから、それぐらいのスパンでやっていければいいんですけど、それではなかなかご飯を食べていけないという現実があるので、そことのせめぎ合いですね。

大塚 その点について新名さんはどうですか?

新名 UZUの場合、新製品を出すサイクルというのは他のSWメーカーさんと比べてもすごく遅い方だと思いますが、これからも練り込んで練り込んでというスタンスでやっていきます。

大塚 そうですよね。UZUのルアーにはネーミングにも並々ならぬこだわりを感じます(笑)。

新名 そのあたりはムダにこだわっているところなんですけどね(笑)。

高井 ルアー名に日本語を混ぜるのは難しいですが、UZUのルアーはうまくはめ込んでますよね。冗談ぽいけど本気みたいな。「ラッパのジョニー」も最初は衝撃を受けましたが、今は製品として受け入れられていますからね。

新名 「こんなふざけた名前はあそこしかないだろ」っていう受け入れられ方はうれしいですね(笑)。ヨーロッパの問屋さんが「ラッパのジョニー」を卸してくれることになって、青い目のジョニーを作ったんですよ。で、名前をかえてほしいということで「トランペットタロウ」という名前をつけました。

(一同大爆笑)

高井 日本では洋名だけど外国に行けば和名というね。

新名 サムライやニンジャってワードががウケるという発想から「トロンペットタロウかイチローにしようと思うんだけど…」っていったら全力で断られました。

高井 あっちでは何狙いで使うんですか?

新名 バカンスでアフリカまで行ってGTを釣るっていってましたね。

大塚 「ラッパのジョニー」のヘビーサイズとして「リッパなジョニー」もありますもんね(笑)。「拝啓、お父さん ジョニーも立派に成長しましたよ」というキャッチコピーは秀逸だと思います。

高井 「リッパなジョニー」は100㌘ぐらいまでですよね。みんな最大でどれぐらいのウェートのルアーを使うんですか?

新名 一時期はかなりデカくなって250㌘ぐらいまでありましたよ。で、「ジャジャーン」ってフィールドでヘビウェートルアーを出してみんなが注目する中でキャストするんですよ。それを見て周囲も「すごい音が鳴るね!!」って喜ぶんですが、本人は2~3投したら「フーッ」って感じでそのルアーを仕舞いますね(笑)。 

高井 抵抗が大き過ぎて体がついていかないんですね(笑)。

新名 オフショアでここぞというときはそういうルアーが活躍するでしょうけど、ショアでは120㌘ぐらいのルアーがずっと扱えるんじゃないかなと思いますね。
そうそう、今回のためにこんなフロッグを用意してきたんですよ(※フグをイメージしたフロッグルアーとUZUのプラグが登場)。

高井 僕も自分のフロッグを持ってきてますよ(※Rattytwisterのフロッグが登場)。

新名啓一郎×高井主馬 対談8
新名啓一郎×高井主馬 対談9
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大塚 おーっ、このフグは斬新ですね。

高井 新名さん、楽しんでますね(笑)。

新名 イタズラ好きの友だちに今回の対談のために落書きしてもらいました(笑)。今回の対談のテーマであるSWとライギョの融合って感じです。ちょうど汽水域ぐらいかなと…(笑)。

高井 本当ですね、フグパターンがあるかもしれない(笑)。

大塚 新名さんは高井さんのフロッグにどのような印象を持っていますか?

新名啓一郎×高井主馬 対談10
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新名 1個1個がかわいいんですよね。僕は特にSESAME-Lが大好きです。あと、コイツもフワフワ感が出ていていいですね。

高井 目玉の部分は自分でやるときれいにできるんですけど、業者さんに任せると違う目になったりすることもあるんですよね。それはそれで味になっていいんですけど、目って大事でしょ。

新名 そうですね。業者の人が孫の話でもしながらつけているのかもしれませんよ(笑)。

高井 そうかもしれないですね。どうせだったらトンチンカンな方向を向いていてくれたらいいんですけどね(笑)。UZUのルアーもトビウオの線がかわいいですね。

新名 今回いろいろ作ってみたんですよ。わかりにくいですが、これはヨツカワキバミっていうカラーなんですが、デリケートゾーンはパンダの黄ばんだ白を意識しています(笑)。

新名啓一郎×高井主馬 対談11

高井 じゃあ、カラーコードはシャンシャンですね(笑)。

新名 そんな名前をつけたらこっぴどく怒られるでしょうからヨツカワキバミぐらいで…(笑)。

大塚 ヨツカワっていうのは?

新名 四川(しせん)のヨツカワです。 

大塚 なるほど !! 気づかなかったのが悔しい(笑)。

高井 かわいいカラーですよね。

新名 そうですね。パンダの説明をしなければかわいいカラーなので(笑)。ちょうどサラシの中で見えづらくなるんじゃないかと思って。

高井 逃げ切れるベイトフィッシュ!!(笑)。

新名 そうそう。でも、なかなか仕上がらないから量産できないんですよね。

高井 ヨツカワキバミもここに絶妙なひと手間が加わってますもんね。

新名 「何か意味があるんですか?」って聞かれたときに答えを用意しておかないと(笑)。

高井 みんな釣果に繋がる何かがあると思うだろうけど、答えは「パンダのお腹はちょっと黄色いんだよ」って(笑)。

新名 「みんなパンダは白と黒だけと思ってないかい? それはきれいなところ見過ぎだよ」ってメッセージが(笑)。

高井 コーティングは結構厚いですね。

新名 そうなんですよ。やっぱり長く使えるルアーがいいなと思って。思いきりぶつけない限りはある程度使えます。

高井 いやぁ、これを見てるとヒラスズキ釣りに行きたくなっちゃいますね。

新名 行きましょう。高井さんが鹿児島にきたときはライギョかチヌですもんね。あと、SUP(スタンドアップパドルボート)フィッシングも一緒にやりましたが、さすがでしたね。

大塚 SUPに乗るだけではなく、いきなり釣りにもチャレンジされたんですか?

高井 いやいや、ちょっと練習してからです。

新名 でも、普通はすぐにできないものですよ。釣りまでなかなかたどり着けない人が多いですからね。

高井 鹿児島にも行きたいですね。加治木温泉というところがあって、宿泊施設もついているんですがレトロな感じがなかなかいいんですよ。カプセルホテルに泊まると天然温泉に入浴できて2500円で泊まれるのでおすすめです。

新名啓一郎×高井主馬 対談12
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新名 夏は暑かったっていってましたよね。

高井 スダレを閉めると暑いのでPEでビミニツイストを組んで、それをセットして隙間を空けるように工夫したら快適でしたけどね(笑)。人生でいろいろ抱えているような人も泊まりにきていてそういう人たちと話したりして勉強にもなったし楽しかったですよ。

新名 そういうのもいいっすね。 

後編に続きます

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