移動や食事も超満喫!! 長崎・離島遠征のヒラマサ&ヒラスズキゲーム【漢磯紫流儀 vol.7】 | SWマガジンweb | 海のルアーマンのための総合情報メディア

移動や食事も超満喫!! 長崎・離島遠征のヒラマサ&ヒラスズキゲーム【漢磯紫流儀 vol.7】

長崎離島ヒラマサ&ヒラスズキ

釣りでの遠征といえば自身のフィールドでは味わえない連発やビッグワンのヒットを期待するのが一般的だと思うが、私のスタイルはそれとは一線を画する。大切にしているのは遠征すべてを楽しむということ。釣りはもちろん、移動の工程や夜の食事も大事にしている。そんなややユルい遠征で手にしたヒラマサ&ヒラスズキゲームのレポートをご覧あれ

Text&Photo 赤木光広

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長崎の離島へ遠征。〝ユルく〟楽しむのがマイスタイル

ときおり吹くやさしい南西の風。春の気配を感じたサクラの木がツボミを開こうとしている。長かった冬もようやく終わりを告げた。ひと雨ごとに上昇傾向に入った水温にともない、動きを活発化させた魚のフィーディングがショアラインで旺盛になるだろう。

三寒四温が続く3月は釣果の日ムラが激しい時期である。そのタイミングで産卵後の体力を回復するためにせっせと捕食活動に入るのが私の好きなターゲットのヒラスズキである。また、青物に関しては産卵前の荒食いの時期とあって頻繁な接岸が期待できる。

そんな中、友人の土師君とともに九州は長崎の離島へ遠征に出かけてみた。もっとも、遠征といっても我々のスタイルは恥ずかしながら実にユルい。何が「ユルい」かといえば…。

まずゴールデンタイムである朝夕のまづめどきにまったく釣りをしない。また、最もフォーカスを当てるのは自分たちの夜の食事タイムである。自炊しておいしいものを食べ、おいしいお酒を飲むことを優先にしている。したがって、宿泊先はキッチンつきが第一条件。ビジネスホテルなどにはまったく興味がない。

その一連の詳細はのちほど触れるとして、九州の往来はフェリーを使うのも恒例の1つ。中でも、大阪湾の泉大津港から北九州の新門司を結ぶ阪九フェリーはお気に入りである。

長崎離島ヒラマサ&ヒラスズキ
大阪湾の泉大津港から出ている阪九フェリーがお気に入り。

理由は船内に露天風呂があるなど、設備が豪華だから。それに加えてエンジン音が静かなのでぐっすり眠れるのがいい。穏やかな瀬戸内海を航路とするので揺れをほとんど感じないのも非常にありがたい。

我々は和室の貸切部屋を借り、持ち込んだ刺し身を肴に適度なお酒をあおるのが恒例となっている。そして、目が覚めれば北九州の新門司に到着するという塩梅である。快適過ぎるが故にフェリーで宿泊していることさえ忘れてしまうほどである。

夜中に高速道路をひたすら走り、十分な睡眠を得られずに疲れを残すことを思えば、普段の日常とかわらない船旅は釣りをするうえではベストな選択だと思っている。

さすがは離島!! オープンエリアでヒラスズキ

目的地である島へ渡ってからは軽四箱バンのレンタカーにてポイントを巡る。この際、実績場にはこだわらない。スマートフォンで波の状況を見ながらポイントを選定するのがいつものパターンである。

今回の釣行では天候に見放されてしまった。というのも、シケの間に挟まれた完全ベタナギ状態だったからだ。ショアを戦場とするうえでは厳しい状況だが、我々はまったく意に介さない。いつもそのときどきの天候で自身が考えられるすべての策を講じてがんばるのが信条だからだ。バッドコンディションを目前にジタバタしても始まらないし、そのときどきを楽しめば結果がどうであれ何か得るものが必ずあると思っている。

そんな状況とあって「できるだけ岬の先端」ということを意識してポイントを絞り込む。そして、その先端付近に何とかできるチョロサラシに目をつけ、土師君と交互にキャストしながらヒラスズキの反応をうかがう。

長崎離島ヒラマサ&ヒラスズキ
岬の先端を意識し、少なからずあるサラシを狙ってアプローチする。

案の定、まったく反応はない。サラシに入って捕食するヒラスズキはいない様子だ。

土師君がサラシを入念に探っている間、私はまったく違う方向の沖向きへミノーをキャストしてみる。すると、足もとまで20㍍ほどに差しかかったとき、鋭いアタリの直後にロッドが弧を描いた。サラシのないエリアとあって青物がヒットしたかと思ったが、やがて浮いてきたのはヒラスズキ。これには2人でビックリ。

まずまずの体型を保ったきれいな魚体からはベイトをそれなりに捕食していることがうかがえる。オープンエリアでこんな魚が釣れることにも驚かされる。

長崎離島ヒラマサ&ヒラスズキ
サラシのないオープンエリアでヒラスズキがヒット。スレ知らずなのは離島ならではだ。

そっと魚をリリースしてからオープンエリアへ同じようにミノーを投げる。するとまたしても引ったくるような鋭いアタリでヒット。先ほど同様に上がってきたのはヒラスズキである。サラシの中だとまったくヒットしないのにオープンエリアで連発するとは…。

サラシがまったくない状況で入れ食いになったことはこれまでにも何度かあるが、今回に関してはサラシの中では無反応という何とも不思議な状況である。ヒラスズキという魚がますますわからなくなってしまった。

その後、夕暮れ近くまでポイントを数個所回ったが、反応はまったく得られず。仕方なくあきらめ、夕食の食材を調達するためにスーパーに寄ってから宿に戻ることにした。

超満喫のナイトゲーム!?

さあ、ここからが我々が最も活き活きとするスーパーゴールデンタイムである。土師君に先に風呂に入ってもらい、私は夕食の準備に取りかかる。とはいっても、たいそうな料理をするわけではない。鶏の水炊きとスーパーの鮮魚店で入手した地元のヨコワの刺し身が肴である。

ここで大事なのはお互いが好きな日本酒をお燗にして飲むことだ。日本酒はあらかじめ調達しておいた地酒である。飲むことに関しては、取り組み方から段取りまでお互いが用意周到かつ完璧である。

チロリに入れた地酒を温度計で計りながら湯煎する。お米の香りがほのかに立つときが燗上りのタイミングだ。

長崎離島ヒラマサ&ヒラスズキ
ゴールデンタイムは大好きな日本酒で。鶏の水炊きと地産のヨコワの刺し身も最高にウマい。

空気のいい島にきて、その土地のおいしいものを食し、さらにおいしい日本酒をあおりながら仲間と語らう。釣りのこと、家族のこと、仕事のことなどを思いのままに話し合うと、いろいろな意味で心や身体から緊張が解き放たれる。それでスッキリした気分になって翌日の釣りに備えられる。

バッドコンディションでも不安は無用!!

2日め、目覚めたのは午前6時。まづめのゴールデンタイム真っ只中である(笑)。外を見ると抜群の好天。海面は湖のように穏やかであり、まばゆい春の暖かな日差しが降り注いで光り輝いている。海岸にはカップルや観光にきた家族連れが磯遊びする光景が見られるなど、釣りをする状況とは真逆の様相を呈している。

長崎離島ヒラマサ&ヒラスズキ
海はベタナギ。こんな状況でも前向きに楽しむのが私のスタイル。

こんな日は釣果を諦め、次回に訪れるときのためのポイント開拓に費やすのが得策だ。以前から気になっていたポイントへのルートを捜しながら磯の先端へのアプローチを試みることにする。

ベタナギの中、試しにルアーをキャストすると中型のヒラスズキが足もとまで何度か追尾してきた。さすがは離島。ポテンシャルの高さを再確認できた。次回にくるときにはベストな波高であることを願って2人でポイントを後にした。

南西風が呼び込んだのは良型ヒラマサ!!

今日は釣りができる最後日だが、状況が状況だけに少し時間に余裕を持って宿へと向かうことになった。

運転している土師君はおいしいビールと刺し身をすでに思い浮かべているのかあまり寂しそうではない様子だ。一方、助手席の私は、傾き始めた太陽が映し出す素晴らしい島の景色を見て寂しさを覚える。それでも、過ぎゆく海岸線を眺めながら「またこよう」と、気持ちを切りかえる。

帰阪日である明日の天候は下り坂。気圧が低下へと転じ始めたのか南西の風がソヨソヨと吹きだしたようだ。沿道に生える木の葉がときおり揺れている。

そうした状況から「最後にもう1個所やってから帰ろうか」とお互い意見が一致。わずかな時間ながらも風が当たる磯を攻めてみることにした。あきらめのわるさも我々の特徴である(笑)。

私は迷わずにヒラスズキタックルにて青物を狙うことにした。ややライトではあるが、この状況を鑑みてがっちりと食わせることを優先したわけだ。一方の土師君はタックルセレクトを散々迷った結果、ヒラスズキとガチ青物タックルの両方を抱えている。

私はシマノのサイレントアサシン14㌢をセットし、干潮で形成されたであろう残り潮がヨレる付近の1点に目をつけてキャストを開始した。

一帯はかなり浅いが、気にせずアプローチを続けること約10分、ドスンッ!! といった青物特有のアタリでヒラスズキロッドが絞り込まれた。その直後、相手は底に向かって走りだし、ロッドが強く締め込まれる。それに対してロッドを立てようとするが、足もとの棚に入られてリーダーがブレイク…。ベールを返すのが一瞬遅れたのがイタかった。主導権をまったく取れないままでの敗戦とあって自身の不甲斐なさに腹が立つ。

しかし、魚がいるのはわかった。同じルアーをセットし、先ほどの教訓が生きるようにイメージしながらキャストする。

30分近く沈黙が続いたことで気持ちがネガティブになりかけたときだった。先ほどと同じピンポイントでドスンとロッドが強烈に絞り込まれた。今度はすかさずポジションを移動。できるだけオープンなエリアで勝負したいからだ。

グイグイと力強く締め込む相手はヒラマサだろう。テンションを少しでも弱めると根ズレでイカれてしまう。とにかく耐えることが大事。そうすればヤツは必ずバテる。

やがて水面付近へ浮いたところで磯裏へと誘導する。そして、手前に寄せたところで土師君がハンドランディング。タイドプールに横たわったのは予想通りのヒラマサだ。

長崎離島ヒラマサ&ヒラスズキ
キャッチしたのはナイスサイズのヒラマサ。

やれやれ今回はコイツの顔を見るのは無理かと思っていたが、少しの風がきっかけとなって何とか出合うことができた。

長崎離島ヒラマサ&ヒラスズキ
この1匹を話のネタに、今晩はよりいっそうおいしく酒が飲める。

こんな厳しい状況のときはお互いどちらかが魚と出合えればOK。それで笑い合っておいしい日本酒が飲める。

宿に到着してからは、最終日ということもあって少し贅沢しようと丸ごと調達したチカメキントキを料理する。メニューはシャブシャブと刺し身に決定だ。

長崎離島ヒラマサ&ヒラスズキ
今晩はビールで!!
長崎離島ヒラマサ&ヒラスズキ
入手したチカメキントキをシャブシャブと刺し身で。本当にウマい!!

前回、土師君が90㌢のヒラスズキを釣ったときもおいしい酒が飲めたが、今回も同じように有終の美を噛みしながらのビールがすすむ。

長崎離島ヒラマサ&ヒラスズキ
今日1日を振り返って乾杯!! このひとときが最高に気持ちよく楽しい。

こうして我々の遠征釣行は締めくくりを迎えた。

大型や数釣りに執着することは決してなく、遠征のすべてを今回も楽しむことができた。釣りの楽しみ方は人それぞれでよく、楽しければそれで構わない。その土地の風土や人々、おいしい食材に触れることにも注力したユルいスタイルの遠征を私は今後も楽しみたいと思っている。そんな次回の釣行を楽しみにしながら仕事に家庭にと普段の生活に励みたい。

【タックルデータ】

ロッド:シマノ・エクスセンス ジェノス ワイルドコンタクト S110H/R
リール:シマノ・ステラC5000XG
メインライン:クレハ・シーガーPEX8 1.5号
リーダー:クレハ・シーガーグランドマックス 24Lb
ルアー:DUO・タイドミノースプラットシマノ・サイレントアサシンエクスセンス ランブラー
フック:オーナー・カルティバ STX-58(#4)

長崎離島ヒラマサ&ヒラスズキ
今回使用したロッド。
長崎離島ヒラマサ&ヒラスズキ
今回使用したルアー。

【赤木光広・プロフィール】

激戦区の紀伊半島で磨いたテクニックと理論を武器に、ヒラスズキをはじめ、青物やマルスズキなどを求めて各地の磯で積極的に竿を出し、飽くなき探究心で進化を続ける熱血漢。結果よりもプロセス重視の釣りを心がけている。


【磯のヒラスズキゲーム・安全とマナーについて】

※上記のリンク先にある「磯のヒラスズキゲーム・安全とマナーについて」を必ず読んでいただき、ルールやマナーを守り、安全対策をしっかりと講じたうえで事故やトラブルのない釣りをお楽しみ下さい。


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