最初の1匹を手にする磯のヒラスズキゲーム講座《前編》 | SWマガジンweb | 海のルアーマンのための総合情報メディア

最初の1匹を手にする磯のヒラスズキゲーム講座《前編》

磯のヒラスズキゲーム 入門1

状況を的確に判断する能力と繊細なアプローチが要求される磯のヒラスズキゲーム。そんな至高のターゲットとの距離をグッと詰めるために押えておきたいことは? まずは前編としてターゲットの生態とサラシの見極め方を紹介!!

解説:宇井晋介

ターゲットの生態を知る

ある魚をターゲットにするとき、最も大切となるのはその魚をよく知ることだ。それによってポイントやルアーの選択、アクション、取り込み方など、さまざまな答を導きだすことができる。では、今回のターゲットであるヒラスズキとはいったいどんな魚なのか?

まず生息場所については、基本的に黒潮や対馬暖流の影響を受ける海域で、かつ暖か過ぎないところになる。具体的には九州南岸および西岸、日本海側の南部海域、四国南岸、紀伊半島、伊豆半島、房総半島などで、沖縄には生息していない。

季節による回遊があり、秋から初夏は外海に開けた磯、夏場は河口や湾内などを回遊する傾向がある。ヒラスズキと並ぶメジャーターゲットであるマルスズキが冷水に強く、特に内湾域などに多いのとは大きく異なる。ともに魚を中心に食べる魚食魚(フィッシュイーター)だが、ヒラスズキの方がより魚食性が強い。また、マルスズキよりも目で獲物を捜す傾向が強いのも特徴だ。これは生息する場所によるもので、透視度の高い外海に住むヒラスズキは主に視覚を頼りに餌をとり、透視度の低い内湾域に住むマルスズキは視覚よりも側線などの能力を最大限に生かして餌を捕食する。

両者とも警戒心が強い魚だが、マルスズキとの大きな違いは磯のサラシ場を捕食のステージとしていることである。サラシとは磯に当たった波が白く泡立つ場所のことだが、数ある魚食魚の中でもここを捕食場としているのはヒラスズキだけだ。

理由はヒラスズキの体型から見てとれる。マルスズキに比べて体高があり、尾ビレも強靱である。しかし、ブリやヒラマサなどの三日月型の尾ビレを持つ魚とは違い、ヒラスズキのヒレは三角形である。これは高速遊泳や連続遊泳には不向きで、短い距離をダッシュして餌をとる魚の典型的なヒレの形である。

また、尾ビレのつけ根が太く、面積の大きな尾ビレは狭い場所をくぐり抜けたり、障害物をクリアする能力に長けている。ただし、ヒラスズキは常に特定の場所にいるわけではなく、波がないときには沖合の根回りを回遊し(ときには水深60㍍以上の深場にも)、波が出てサラシができるタイミングで餌をとるために浅場に接岸すると考えられている。

根魚と異なる点は、ヒラスズキは根や岩場をそこまで住み処として利用していないこと。たとえば、クエやハタ・カサゴなどはハリ掛かりすれば、すぐに岩穴に潜り込むがヒラスズキはそうではない。ヒラスズキにとってサラシの下にある岩穴やエグレなどはあくまでもハンティング時の隠れ場所なのだ。

サラシが捕食場となる理由

遊泳力がそれほど高くないヒラスズキは流れの影響を受けにくい根やシモリなどの地形変化につき、見上げるようにベイトを待ち構えている。腹の白い小魚などは下からだと非常に視認しにくいが、サラシができることでベイトがシルエットとなって浮かび上がるため、視覚を頼りにするヒラスズキにとっては捕食しやすい状況になる。これがサラシを餌場とする一番の理由だと考えている。

磯のヒラスズキゲーム 入門2

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