【スローピッチジャーク・ステップ4】釣り場での状況の見極め
攻め手の考え方
海の状況は1日の中でも刻々と変化していく。その中でやみくもに釣るより、自分の釣りを状況に合わせていけば何倍も楽しくなる。それができれば自分の釣り座が有利なのか、不利なのかを判断し、釣り方をかえていくこともできる。そのためにもまずは状況の確認が最優先となる。
有利な釣り座(ポイントに早く入る釣り座)の場合は、海中の状況を確認するだけでOK。逆に不利な場合(ポイントに最後に入る釣り座)は、とにかく先行者の釣りを見ることが重要だ。チェックしたいのはジャークパターン、狙っているレンジ、スピードなどである(ちょっといやらしいが…笑)。そして、その人たちの狙い方とはまったく違う釣りを試したい。
先行者と同じスジを狙うときは、とにかくゆっくりとジグを動かすか、逆に驚くほど速く動かすといった具合に極端な攻め方が有効だ。いずれにしても中途半端な動かし方でよい思いをしたことがない。
これでダメならキャストして先行者のジグが通っていないところを攻める。
水中の状況把握
魚が餌を捕食するのは面である。面には海面、海底、潮の壁(潮目)があり、魚はそこにベイトを押し当てるようにして捕食する。そして、自分がいるポイントの魚がどこで捕食するのかがわかれば、そこを重点的に探ることができる。当然ヒット数も増え、「釣れた」から「狙って釣った」にかわり、釣りがさらに楽しくなる。
●海面…夏場にカツオ・シイラ・マグロなどの表層回遊魚が根切りされたベイトボールを海面まで追い詰めて捕食する。いわゆるナブラである。海面には単なる海面と海面に出ている潮目があり、これは見た目で判断できる。
●海底…泥、砂泥、砂、岩など、ポイントによって質は違うがいずれも面になる。底質についてはジグの着底感で判断することができる。魚種によって泥底を好む魚、岩を好む魚といった具合に好みの生息域があり、泥底だから〇〇を狙うとか、岩礁だから△△を狙うなど、着底感から魚を釣りわけることができるようになれば非常に楽しい。
ちなみに、実際の着底感については、泥の場合は割と感触がない。砂泥や砂の場合は「ズチャ」とくる感触が伝わり、岩は明確に「カツッ」とくる。
根回りは岩場を中心に、その回りは砂、砂泥、泥と底質が変化していく。なぜこのようになるのかというと、海には流れがあって軽いものは遠くへ運ばれるからだ。そして、根に対する船の立て方は船長のクセによって異なる。ポイントから遠く離れた位置で船を立て始める人、ポイントの真上から立て始める直撃型などさまざまだ。着底感から底質を判断し、船長の流し方のクセを読み取って釣りを展開するのも楽しい。
僕の場合、ひと流しの中で着底感を頼りにいろんな魚種を狙いたいので、離れた位置から流すパターンが好みだ。
それと、これは道具で判断できないので余談になるが、海底付近の流れには俗称「食い波」というものがある。これは潮が岩礁や溝などの壁にぶつかり、餌をフワッと浮き上がらせる流れで、大きな流れが岩礁の壁にぶつかって海面が鏡のようになってしまう「湧昇流」とは別物と判断している。
水槽の濾過器の落とし口から餌を入れると餌はいったん水の流れで下へ落ちる。そして、その後は水槽の底から返ってくる流れによってフワッと浮き上がり、ある程度のところまで浮き上がった餌がその重みで沈下していく(観賞魚はよくこのタイミングで餌を食べる)。
そして、このような流れはどうやら海底でも起こっているようだ。で、集中力を高めてそれを察知しようと試みているのだが、残念ながら未だにつかめていない…。
ただし、この流れは海底に変化のある場所や岩礁帯の登り口、海底の溝付近に発生するようで、この付近でフワッと餌が浮き上がる様子をジグで演出し、その後に落とし込むと魚が食いついてくるケースが多い。流れを察知することはできないまでも、スローピッチ用の感度のよいロッド、リール、ラインを駆使すれば、攻めどころの見極めができると思う。
とにかく着底感を確かめながら、海底の様子を察知して釣りを展開していくのも楽しいものだ。「カツッと感じたらフワッ」ということを頭の片隅に置いておけば、いいことがあるかもしれない。
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