【スローピッチジャーク・ステップ4】釣り場での状況の見極め | SWマガジンweb | 海のルアーマンのための総合情報メディア - Part 3

【スローピッチジャーク・ステップ4】釣り場での状況の見極め

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潮の壁の考え方と攻め方

海面に出ているような潮目は海中にも存在する。二枚潮、三枚潮などがそれである。なぜそのような状態になるのかというと、海は大きな水の塊(海塊)がたくさん重なり合ってできているからだ。水温の違いからその海魂同士は混ざり合うことがなく、その塊の縁が接している部分が潮の壁(二枚潮、三枚潮)となる。

そして、潮の塊は浮上や沈下を繰り返している。お風呂の水が上だけ温かく、下は冷たいという状態を考えてほしい。温かい水は軽く、冷たい水は重いからこのようになるのだが、海でもこれと同じことが起こっている。

特に夏場は表層の温かい水(軽い)と深層の冷たい水(重い)との間に水温躍層(サーモクライン。水温の違う壁)が形成されるため、強烈な二枚潮はこの時期に多く発生する。

表層の水は太陽光で温められ、その多くは風によって風しもへ移動していく。だから、二枚潮の場合は上潮は流速が速く、底潮は上潮より動いていない、もしくは遅いケースが多い。それと、海中の潮目は海面と平行にできると思われがちだが、まったくそうでないケースが多いのが厄介なところである。

表層で温められた水が風しもへ運ばれると、サーモクラインは風しも側で沈み、風かみ側で上昇する。風の力と重力によってある程度の傾斜がつき、風が止めばもとの状態に戻ろうとする。だから、ゆっくりではあるものの常に潮目は変化していく。

ジギングで釣るポイントは狭いため、こんな地球レベルの話をしても潮目の見極めには役立たない。でも、海面に出た潮目の位置、潮の方向、風向きなどから、どのような方向に壁が存在するのか? これをイメージすることは判断の材料にはなると思う。それに、このような二枚潮や三枚潮のメカニズムを披露できたら何より少しかっこいいので…(笑…僕も師匠に教えてもらいました)。

スロー系ジギング 風 潮流5

話を戻すと、海中の潮目はなかなか察知しづらい。感度のよい竿、リール、ラインを駆使して一定のピッチで動かして捜す必要があり、それでもなかなか見つからないものだ。

その点、スローピッチは潮目を捜すのに適した釣り方である。とはいえ、本当に集中して常にジグを吊った状態で変化を見極めなくてはならない。

僕の経験上、ジグが潮目に差しかかったときにでるのはリールのハンドルが重くなる程度の変化である。ジグの重みが増したとか、スコッと重みが抜けたとかよくいわれるが、それほどの変化なら糸やジグが潮に持っていかれてスローピッチが展開できないほどの状況に近いと思う。おおよそ船の上下動でテンションがかかったり、抜けたり、ピッチが合わなかったりというケースがほとんどである。

それと、潮目に魚が多くついているのは事実だ。みなさんもご存知の通り、潮目にはプランクトンが発生しており、それを捕食する魚が集まって、さらにそれを狙う魚が集まる。ただし、潮目の表と裏では別世界だ。表側は魚が多いが、裏に回るとまったく魚がいないというケースが多いのは、水温の違う壁(潮目)を通過したくないからだ。魚は変温動物のため、極端な水温変化には体がついていかない。

というわけで、どちらに魚がついているかを判断できれば、あとはハンドルの巻き数で潮目の位置を把握し、ついている側で誘ってやればいいわけだ。

経験則から潮目の下に魚が定位しているときは潮目付近でピッチの刻みを細かくする。逆に上に定位しているときは高速で潮目を通過させ、その後にピッチを刻むようにして釣るのが有効となるケースが多い。

これは、潮目の下ではピッチを刻むことで押しつけられたベイトを演出し、上では魚の習性をうまく利用してアピールするというのが狙いである。魚は高速で自分から遠ざかるものを追いかける習性があるためだ。

みなさんも魚が釣れ盛っているときにバラしてしまい、回りの魚も散ってしまったという経験があると思う。これはバラした魚が高速でそこから遠ざかっていくため、回りの魚も驚いて逃げてしまうように思われがちだが、実はこの習性で回りの魚が追いかけていくためだ。

以上のような状況の見極めは釣りをしていると、つい忘れがちな部分だ(僕が知らない見極め方がもっとあると思うが…)。普遍的なものから生み出されたテクニックだからこそ、スローピッチの釣りにはこういった部分が最も重要になってくるのだと考えている。

スロー系ジギング 風 潮流6

フィールドではさまざまことを見極めながらヒットに繋げるように心がけたい。

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(ザ・スローピッチジャーク〈2013年発行〉より)

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