波動はルアーゲームにおける唯一の集魚手段 | SWマガジンweb | 海のルアーマンのための総合情報メディア - Part 2

波動はルアーゲームにおける唯一の集魚手段

集魚効果のある波動をどのように生かすか?

アングラーとしてこれを利用しない手はない。ルアー釣りは餌釣りと違って匂いでターゲットを集めることができないので、この音、すなわち波動は唯一の集魚手段でもあるわけだ。

では、具体的にどのように応用できるかというと、まずはルアーの着水音である。フィッシュイーターたちは水面で餌を獲るものが多い。それは水面という壁を使って下から狩りをするからで、水面付近にいるベイトフィッシュはフィッシュイーターたちにとって二次元の平面にいるのと同じだからである。

ここにルアーが着水する音は、すなわち水面で魚が跳ねる音、餌の存在を意味する。だから、ルアー着水後はこの音を聞きつけたフィッシュイーターが遠くから音の発生源に向かっていると想像してよい。シイラ釣りなどをしてみると分かるが、彼らは明らかに着水音を頼りに狩りをしている。ルアー着水と同時に遠くから一気にルアーめがけて泳いでくるシイラは、トビウオなどを主に捕食するために音に対して非常に敏感になっているのだろう。

よってルアーの動きだしは少しタイムラグを置くぐらいがちょうどよいと考える。また音は大きければ大きいほど遠くまで届くので大きい方が集魚効果がある。

しかし、だからといってあまりに大きな着水音は不自然となり、フィッシュイーターに警戒心を抱かせてしまう。ジグなどでは水面に突き刺さるような着水姿勢よりも、胴体で着水するような姿勢の方が自然で魚たちに警戒心を与えにくいだろう。特に水深の浅いところでのあまりに大きいルアーの着水音は魚を散らしてしまう方向に働く。

フィッシュイーターたちが最も好むのは大型の魚がベイトフィッシュを食べる音、そして小魚たちが逃げ惑う音である。この音をルアーで再現するにはどうしたらいいか。実際の水中では、それは私たちの耳でどのように聞こえるのだろうか。

水中で大きな魚が小魚を追い回すシーンに出会うことがままある。たとえばカンパチがキビナゴを追い回す。このとき、我々人間の耳で聞き取れる音はカンパチが水を切り裂いてダッシュして反転する「ギュッ」あるいは「バッ」というような破裂音に近い音であり、もう一方のキビナゴが出す音は集団で向きをかえ、身をひるがえすときの「ザッ、ザッ」というようなちょうど米をとぐときに近いような音である。

小魚が発する音は、おそらくたくさんの個体が集まって音として認識できるようになるのであろう。もっともこれはあくまでも人間の、しかも私個人の感覚であるから他のダイバーがどう感じるかは分からない。ただ間違いないのは、それが単調な音ではなく、どちらも大きな抑揚のある音だということである。

これをルアーで再現すると、たとえばスローなリトリーブからの大きなシャクリがそうである。つまり「誘い出し」のアクションに通じる。だとすれば誘い出しのアクションも単調なものではなく、強弱や間隔をかえた方が、よりリアルにターゲットにアピールできるように思える。

これはトップルアーに限ったことでなく、ミノー系のルアーでも細かなシャクリ動作、ストップ&ゴーの泳ぎだしの部分などでは、ルアーあるいはリップが水を押しのける音が発生し、それにともなってボディーが左右に強くローリングしたり、テールが左右に振れたりする際に音(=波動)が発生する。

ゆっくりと等速リトリーブをしているときには発生しないこうした音が、魚を呼び寄せる効果を発揮する。よってルアースピードに強弱をつけたり、大小のアクションをつけたりするときは、視覚でルアーを確認する付近の魚へのアピールと同時に、遠くにいる魚へのアピールになっているのだという意識を常に持つことである。こうした意識の持ち方でルアーの動かし方はかわってくるものである。

海のルアーゲーム 波動3

シャクリなどのルアー操作は付近の魚のみならず、離れた場所にいる魚へのアピールにもなると考えていいだろう。

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