深海のアブラボウズジギング | SWマガジンweb | 海のルアーマンのための総合情報メディア - Part 3

深海のアブラボウズジギング

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1日の釣りから多くのことを学ぶ

私は決まった季節にだけ伊豆・石廊崎沖でアブラボウズを狙っている。ワンシーズンの釣行回数は多くても5回、1日に多く流しても8回なので、1年間にジグを沈めるチャンスは最大40回あるなしの釣りになる。1回1回の釣りを大切にしないと到底次回の進化は望めない。進化が止まると釣りはつまらないものになる。単に大物を手にしても、そこに進化が伴わなければ途端に飽きがきてしまう。

私の場合、幸い釣行を重ねるたびに発見がある。そして何かを見つけたり、うまくいったと思ったりすると、大きなしっぺ返しを食らう。進化のスピードが早かろうが遅かろうが、次回までに試したいことや確認したいことは山ほどある。この深海ジギングを始めて、浅場のジギングに対しても1回1回の釣行を大切にするようになったし、どんな困難な状況でも船長が諦めて帰るまではロッドを振り続ける精神力が増したような気がする。それは魚との出合いは限られていて、思ったほどチャンスは多くないことを知ったからかもしれない。

私の場合、1年でジグを落とせるチャンスはおよそ40回。1回の釣行でどれだけのことを学べるかが非常に重要だ。

さらなる大型を目差して…

マニアな仲間たちは酔狂なジギングに手をつけてしまった。始まりは2011年のこと。懇意にしていた船宿のホームページを見ると、巨大な深海魚が横たわっていた。漆黒の深海に潜むアブラボウズで、その巨体は100㌔を越える。このモンスターに挑む際に先人たちは巨大な電動リールを使用していた。だが、マニアな仲間たちに電動リールの使用は許されなかった。ポイントとなる石廊崎沖では水深800㍍前後にアブラボウズが生息する。この水深に手巻きリール、ジグ、己の体力だけで挑むことを決意した。

水深800㍍を越えるジギングの話になると必ず「電動リールですよね」と聞かれた。深海釣りを始めたころから誰も真似のできない釣り、強い意志と決心を持った釣り人だけが挑戦すればいいとの思いから手巻きリールとジギングにこだわってきた。初挑戦で持ち込んだタックルは手もとにあったあり合わせのようなものだった。当然、着底感もつかめず、ジグを引いてもゴムを引っ張っているような感じであり、600㌘のジグは予想以上に重くてとても太刀打ちできない水深に愕然とした。

しかし、新たな挑戦は純粋に楽しく、興味深い世界でもあった。一段一段ゆっくりと階段を登り、新しい扉を開く感覚は開拓者だけが味わえるものであった。たった1人で始めた挑戦は、頼もしい仲間が1人、2人と増えることで現実味を帯びるようになる。実際、ジギングで初めてアブラボウズを手にしたのは私ではなかった。だが、船上で目にした光景は涙が出るほどうれしいものであった。それから遅れること1年、私もようやくアブラボウズを手にすることができ、新たな扉の前に立ったことを実感した。

2015年は大きな飛躍の年だった。「ジギングで何㌔まで釣れるのか?」という話になり、「80㌔かな…」と口にしていた数字を大石直也氏が越え、83㌔を釣り上げたのだ。こうなると目標は「100㌔オーバー」である。今後は夢の大物に挑戦することになる。

釣果を手にすることにより新たな世界と目標への扉が開けた。

 

《参考タックル》ロッド=エバーグリーン・ポセイドンハイピッチジャーカー504、501、410(6.3㌳ほどに延長して使用)/リール=スタジオオーシャンマーク・ブルーヘブンL-120Pw/ライン=バークレイ・スーパーファイヤーラインカラード3号、4号/リーダー=YGKよつあみ・ガリスFCアブソーバーアンフィニ スリム&ストロング18号、20号/ジグ=ディープライナー・マニアシリーズVB、CX、FB、フレック、スパイ、スパイファイブ、スパイナロー600~1000㌘/フック=がまかつ・ツナブレードポイント7/0(アシストラインはYGKよつあみ・ザイロンノット40号)

(SWゲームフィッシングマガジン 2016年1月号より)

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