スキルアップを実現する名手のスタンス《PART2》 | SWマガジンweb | 海のルアーマンのための総合情報メディア - Part 2

スキルアップを実現する名手のスタンス《PART2》

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シーバスゲーム

本質を知る近道は回り道。
折れず、ブレずの探究心を‼

安田栄治

二十数年前の秋、柔道生活にピリオドを打ち、足首の靭帯移植手術を受けた後のリハビリ期間に出合ったのがシーバスゲームだった。当初の私は家内の介助が不可欠な車椅子での釣行だったので自宅から1時間ほどと比較的近く、駐車スペースから釣り場へのエントリーが容易なうえにランカークラスが狙える大和川左岸へ通った。

幸いにも常連アングラーのスタイルを模倣することですぐに1匹めをキャッチでき、その後は再手術のためベストシーズンを棒に振るも、再開後は80㌢アップを含む3連発、5匹めは90㌢オーバーと快進撃を続けた。ところが、4月に入ると不調が続き、まったく釣果が得られない日々が続いた。このころは大きなルアーをひたすら遠投する回遊待ちのスタイルで、魚のつき場、流れ、ベイトといった基本的な概念もまったく頭になかった。結果として8カ月間釣果がなく、1年めは8匹で終了した。

2年めに顔見知りのアングラーから基礎的な知識を授かり、薫陶を受けた。また、この釣りを始めるきっかけとなった「シーバステクニカルノート」と、ちょうど発売になったパート2を貪るように読み、数少ない釣果と絡めて考察することでスキルアップに努めた。その甲斐あってこの年は38匹の釣果が得られた。もちろん勘違いも多く、当時は遡上が確認されていなかったのに稚アユ、落ちアユパターンでプランを立てるなど、トライ&エラーの連続だった。

そして3年めの春、大和川左岸の河口部に常連アングラーが集うことになった。携帯電話が普及する以前のことで、普段はそれぞれのペースで釣行していたので、明るくなってから互いに初めて顔を見るという人も多数…。そんなこんなで朝まづめが過ぎた後もグダグダとだべっていると、手持ちぶさたとなった長老のM氏がルアーをキャスト。それに襲いかかったのはシーバス‼ 白昼10時、驚愕のできごとだった。

アングラーとしての基礎を築いたシーバスゲーム

当時はシーバスのデイゲームは一般的ではなく、夜に釣るものだと思い込んでいた。特に水量の乏しい大和川は干潮時には干上がってしまう場所もあるから、日中に魚をストックしているはずはないと見切っていた。その折りにこの光景を目の当たりにし、完成されていると思い込んでいたシーバスゲームが発展の途上にあることを痛感した。 そうなると根が体育会系の私。がんばり抜くしか道はない。より多くストックされている場所を求めて水量の豊富な淀川や港湾部に通う仲間もいたが、私は昼夜を問わず大和川に通い続けた。その結果、干満差の大きい春~初夏にかけては日中に活性が上がりやすいこと、ベイトの群れの周囲にはシーバスがいること、日中は精緻なアプローチよりもハイスピード&トリックアクションを軸としたリアクションバイト狙いのアプローチが効果的であることなどが判明した。 タックルもそのパターンに特化する必要性が感じられ、ルアーはミノー→バイブ→鉄板バイブ、メタルジグと変遷した。鉄板バイブやメタルジグは構造上、バラシやエビといったトラブルが多いことからフックシステムを改良。また、それらをハイスピードで引けるパワーを追求して6000番クラスのリールを使用するなど、現在のシーバスシーンにも十分対応できるスタイルを確立した。 それにより、翌年には釣果が飛躍的に伸びた。激戦区の大和川で、潮位の関係で毎日ではないものの4月中旬~7月の長期間にわたり、多い日はツ抜けの大釣り、仲間内では10匹以上の90㌢オーバーと数えきれないほどの80㌢アップをもたらした。 このころの経験が今の自分を作り上げているといっても過言ではない。
シーバスゲーム ステップアップ1

根が体育会系だけに釣りの楽しさをストイックに掘り下げている。

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釣り人としての資質を向上させるには?

これまでにライトゲームからオフショアゲームまで幅広い記事を執筆してきたが、私自身はマルチアングラーというほど自分のことを器用だとは思っていない。大和川へ通っていた初期のころと同じスタンスで、不器用だからこそ一定期間、ひとつのターゲットを死に物狂いで追いかけているに過ぎないのだ。ここで執筆させてもらっているのも、そのスタンスを理解していただいているからと自負している。 ややプライベートな話になるが、前記の他にも多数の古傷を抱えるためエントリーできる釣り場が限られる、田舎暮らしを求めて移住したことでワーキング・プアーの最前線をいくため安易に釣果を求めての遠征をすることができない、人づき合いが苦手なためネットワークもないという私にとって、執筆活動は自分への挑戦にほかならない。近年はタックル、情報網ともに大きく進化・発展し、誰もがイージーに魚をキャッチできる環境が整った。しかし、そこから得られるのは表面的な事物に過ぎないのではないだろうか。アングラーとしての資質を向上させるのは飽くなき探求心であり、目先の釣果ではない。
シーバスゲーム ステップアップ2

不器用な私であるが自分の目でしっかりと本質を見極め、それを追求していきたい。

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