【スローピッチジャーク・ステップ6】魚の聴覚と視覚について | SWマガジンweb | 海のルアーマンのための総合情報メディア

【スローピッチジャーク・ステップ6】魚の聴覚と視覚について

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スロー系ジギング 魚の臭覚&視覚1

魚に口を使わせるには相手のことをよく知る必要がある。まずは全身感覚器といえる魚が餌を見つけて飲み込むまでの流れを押さえ、それぞれの感覚器の能力を把握することから始めよう!!

解説:加藤啓之

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ジグを落とす前に考えておきたいこと

スローピッチは自然状況に左右され、魚の生態、習性に着目して不変なものから生まれたテクニックであることは前述した通りだ。そして、スローピッチのテクニックは、ジグを動かしていくためには間違いなく重要な部分だ。そのテクニックを少し掘り下げて考えてみたいと思う。

ジグの動きを引き出すスローピッチのテクニックは相手を知ることによって生まれてきたものだと実感している。相手を知ったうえでこちらから近づいていく。そして、魚を引きつけてキャッチするという最終目的を達成する。それには魚の生態について少しでも多く知り、当てはめていくことでスローピッチを主軸とするテクニックがさらに進化していくはずだ。

前述のように魚の捕食行動(採餌行動)を知り、魚の能力を1つ1つ理解していくことが自然に合わせる(魚に合わせる)ことだと思う。そして、魚を知ることで、魚は人間が足もとにも及ばない能力を持ち合わせていることがわかる。それを見極め、スローピッチでどのようにしてその能力に強く訴えかけるのかを考える。逆にその能力を踏まえたうえでどのようにすれば魚に悟られずに回避させることができるのか? さまざまな疑問を持って新たなテクニックの何かを見つけられればいいと考えている。

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魚は音を頼りに餌を捜すから…

魚はズバリ「全身感覚器」だ。そんな相手に口を使わせるためにはどのように攻略していくか? これが釣りの課題であり、おもしろい部分であることは間違いない。

では、ターゲットとなる魚はどのような過程で餌を見つけ、捕食するのかを深く考えてみよう。これを知ることでジグアクションやタックルの組み合わせなどを考えるうえでの参考にしてほしい。

まず、魚が餌を見つけて飲み込むまでに駆使する器官と一連の流れは「聴覚→嗅覚→視覚→接近→接触→味覚→触覚」といった具合になる。音を聞きわけ、匂いを頼りに、目で確認し、近づいて、口に含み、味を確かめて、飲み込むといった具合だ。

では、1つ1つの感覚器の能力を紹介していこう。

●聴覚…Hz(ヘルツ)とdB(デシベル)で数値化される。ヘルツとは一秒間に振動する回数で数字が低いと低音、数字が高いと高音を示す。一方、dBとは音圧で、人間の可聴音圧は0dB(聴力限界)から120dB(耳を痛めてしまう音圧・飛行機のジェットエンジン音)となる。

そして、人間の可聴範囲が20~20000Hzであるのに対し、魚は数十Hzから2000Hzまでとかなり低周波に可聴範囲がかたよっている。ちなみに、モスキート音(17000Hz)とは年齢を重ねると聞こえなくなる高周波だ(僕も40歳を越えているのでおそらく聞こえていません…)。人間に当てはめて考えると、魚も聞き取りづらい音質があるのだろうか? 大型の老生魚などは耳も遠くなるのか? このあたりのことはわからない。

いずれにしても魚は音を頼りに餌を捜し回るので、音を感知させる必要がある。こうなると、どうしたら音を出せるのか? または消せるのか? その音は魚に聞こえているのか? 聞こえていないのか? 魚が嫌うのか? 好む(安心する)のか? などなど、いろいろな疑問が生じる。

そこで、とにかく音を出す、逆に音を消すことについて考えてみたい。ちなみに、魚は音(水粒子の振動、水圧変化)を測線器、浮袋や内耳で感知する。

●音を出す…ジグを感知させるのが目的。海面を竿先でパチャパチャたたく、もしくはジグで底をたたくなど。

●音を消す…魚に違和感を与えないのが目的。ラインの振動やジグの滑らかな動きを考える。

当然、太いラインは水の抵抗が大きくなってラインが動けば動くほど、水粒子を押しのける量も多くなる。ジグのサイズも考え方は同じだ。

太いラインには食いつきがわるい理由の1つに水粒子の振動を察知して違和感を覚えるのではないかと考えている。音とは関係ないが、以前に太い糸がジグに与える影響がどれほどのものか気になって実験を試みた。実験内容はジギングの実釣とは状況が異なるが、船長にお願いして船をスローで蛇行してもらい、リーダーの先にジグリングを1つセットして大トモから糸を出し、糸にかかる水の摩擦がどれほどのものかを知るというもの。結果、僕自身、握力は強い方だが糸を300㍍放出したころから、竿を持っていられないくらいの抵抗がかかった。

当然、この抵抗はジグの動きにも悪影響を及ぼす。以前に僕も太いPE、太いリーダーでジギングを行なった際に「5㍍(リーダー+ジグ)のジグを使って釣りをしているようです。それでは食いませんよ」と大師匠にはよくいわれた。

魚の可聴範囲から考えても、リーダーとの結束リングやハリがジグに当たるカチカチという音はさほど気にならないだろう。しかし、PEやリーダー、ジグが水を押しのけるときに発生する水圧や振動などは意識した方がいいように思う。

ジグを動かそうとすると、当然ライン(PE&リーダー)も動く。そこで、そのものが出す振動や水圧変化をいかに押さえ込むかという課題が出てくる。この方法として僕は竿が返った後、わざとラインスラックを出すようにしている。水中にPE、リーダー、ジグを漂わすようにして振動と水圧変化を最小限に抑えることを心がけている。

スロー系ジギング 魚の臭覚&視覚2

振動や水圧変化が魚に及ぼす影響も踏まえ、違和感を与えないアプローチを心がけている。

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