【スローピッチジャーク・ステップ6】魚の聴覚と視覚について | SWマガジンweb | 海のルアーマンのための総合情報メディア - Part 2

【スローピッチジャーク・ステップ6】魚の聴覚と視覚について

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ジグは形状ではなく動きを重視する

続いて嗅覚と視覚について考えてみたい。

●嗅覚…残念ながらジグには匂いをつけられない。それならPEにと考えたこともあるが、リールが臭くなるので却下(笑)。ちなみに、魚は人間の数万倍でイヌ並みの嗅覚を持つそうだ。ジグに匂いをつけることができればもっとおもしろくなるだろう。

視覚についても前述したが、その他の視覚能力を紹介すると…。

●視野…魚の視野は約330度で両眼視野は約30度、単眼視野は150度となる。見えない部分は体の陰になる約40度、なおかつ頭上の視覚度は約100度である。

つまり、人間と比較すればかなり広い視野を持っていることになるが、ここまで見渡せればいったいどういうことになるのだろうか? 結論を述べると人間も同じだが「見えない部分が気になる。見えない部分に注意を払う」ということになる。

陸っぱりやボートでのサイトフィッシングは、いくらアングラーが隠れたつもりでも頭上の全周を見渡せる魚からはきっと丸見えだろう。そう考えると、ルアーを落とす位置を考えたり、足音やエレキの雑音を消したり、魚探の超音波振動をなくす、着衣を回りの自然の色に合わせるなどの配慮は不可欠になってくるように思う。船からのアプローチにおいて、食いがわるいときに船頭さんが魚探やエンジンを切るのがうなずける。

●視力…魚の視力はゼロ台で、ものの形が鮮明に見えない、だから、運動視覚にすぐれていることを前述した。では、なぜ速く動くものを正確にとらえる必要があるのだろうか?

自然界で動くものは餌、あるいは自分に脅威になるものか、そうでないもののいずれかであることが多い(食うか食われるかという状況が同時に存在する。これは背後を気にすることにもつながる)。動くものに対して近づいていくのか、回避するのかを瞬時に判断する必要があるのだ。

これは師匠から教えてもらったことだが、魚は自分に向かってくる者に対してはいくら小さくても脅威を感じる。逆に自分から遠ざかるものに対してはいくら大きくても追いかける(ついていく)ようだ。

魚が餌か敵かを判断する基準としては細かな形はそれほど重要ではなく、動きが重要になるようだ。だから、ジグの形状はベイトに似せる必要がなく、動きを重視した方がよさそうだ。基準となる動きがわかれば、ターゲット攻略に1歩近づくはずだ。

「餌となるベイトはきれいに泳いでいない」とは以前に大師匠からいわれた言葉である。釣りの腕が上がってくると、ある程度のところで壁にぶつかって魚が掛からなくなるが、それはジグ操作が上達してきれいに泳がし過ぎているからだと…。

わざと崩して、崩したあともナチュラルに動かす。そう考えると、やはり「ジグの安定した自走」がキモになる。力を抜いたあとにジグはどのように動いているのか? 魚の視覚能力を知れば知るほどこれを把握することが重要だと感じている。

スロー系ジギング 魚の臭覚&視覚3
スロー系ジギング 魚の臭覚&視覚4

(ザ・スローピッチジャーク〈2013年発行〉より)

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