豆アジングの魅力とゲーム性を徹底解説【前編】 | SWマガジンweb | 海のルアーマンのための総合情報メディア - Part 2

豆アジングの魅力とゲーム性を徹底解説【前編】

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道具立て

豆アジゲームではアングラーとしての総合的な資質が問われる。スキルや状況把握能力、対応力のみならず道具の選定も重要な要素となる。何度もいうように「いつでも・どこでも・たくさんいるターゲット」なので、他の要素がアジャストできなくても釣りはそこそこ成立する。しかし、道具が合わなければまったく釣りが成立せずにイライラが募る。また、専用タックルもまだまだラインナップが少なく、釣り自体も確立されていない。だからこそ自分なりの道具立てを追求し、釣りを確立する楽しさが味わえる。そんなわけで現段階における私なりの道具立てを紹介したい。

【ロッド】

管理釣り場用のトラウトロッド(6㌳、SULクラス)を使用。アジングといえば反響感度に優れたロッドで繊細なアタリをとって掛けていくのがセオリーだが、それは志向や好みの1つでしかないと考えている。ロッドのみに感度を求めるのも間違いであり、アジングに精通したアングラーが気づいている「優れた感度=アジへの違和感」はより口が小さく、吸引力に劣る豆アジには大きなマイナス要因になると考えている。
以上を踏まえてセレクトしているのがトラウトロッドだ。アジングロッドほどの優れた反響感度はないものの、そこをスポイルして感度調節を行ない、乗せることを思えば十分だ。ライトな設定が荷重変化をより明確に表し、極小リグの重みを伝えてくれる。近年ではファストテーパーやエクストラ・ファストモデルもリリースされ、乗せだけでなく積極的に掛けることもことも可能。トラウトロッドといえば「よく曲がって楽しい」といわれるがそれは副次的な産物に過ぎず、バラしにくいのも大きなメリットである。私自身は汎用性を持たせた選択であるが、さらなるショート化・ライト化によるシリアスセッティング、感度的なアドバンテージや楽しみを捨ててひたすらに釣獲能力を求めるなら7㌳クラスのメバルロッドという選択もアリだ。

【リール】

リールに求めるのは軽量性だ。軽いと柔らかく持つことができるので感度が上がるだけでなく、フレキシブルな操作が可能となる。ただし、自重の軽さのみならず、低慣性を実現する低重心による持ち重り感の低減や操作性の向上も大事な部分であり、リールのサイズ的な小型化も重要だ。近年、リールの重心をロッド側に設定する構造を採っているのも同様の考え方である。さらに、より緻密な操作を実現するショートハンドルも必須。最近ではより小型の500番クラスもリリースされている。

【ライン】

エステル0.2号を使用。ジグヘッドは0.4~0.6㌘をメインに、場合によってはノーシンカーの軽量リグを使うこともあるため、メインラインはエステル一択となる。ただ、一概にエステルラインといっても各社からさまざまなタイプがリリースされているが、このゲームではしなやかでトラブルが少なく、扱いやすいタイプがおすすめだ。

【リーダー】

エステルハリス0.8号を使用。「そもそも豆アジ狙いでハリスやリーダーは必要なのか?」と思う方もいるだろう。確かに歯の強いムツやストラクチャーをタイトに狙うメバル、ダッシュ力に優れた青物などと比較すると必要性が見当たらない。ただ、数釣りになりがちな豆アジゲームでは手返しの早さも重要な要素であり、ラインの扱いが乱雑になるとエステルの素材的特性もあって瞬発的な負荷によりラインブレイクが多発する。個人的に魚をキープしない場合はフィッシュグリップで掴みたくないので豆アジを抜き上げたら地面に着く前にラインをキャッチしてジグヘッドまでたぐり寄せ、すみやかにリリースすることにしている。こうなると当然ラインへの負荷も増大する。ライン(リグ)の組みかえは機会損失によって時合を逃すだけでなく、ゲーム中断によりリズムを崩すことになるので避けたい。高いパフォーマンスを発揮するためには極限の集中状態(ゾーン)を維持する必要があるが、それを阻害する要因になることからもリーダーは必須と考えている。そのような理由からエステルのハリスを採用しているわけだ。サビキ仕掛けなどでは定番のハリスなので強度的な不安はなく感度も抜群。私自身、デカメバルのサラシ攻略などで10年以上使っているが不満はなく、さらなる細番手のリリースを熱望している。

【ジグヘッド】

①既製品のジグヘッド(メインに使用)…メバル釣りの合間のアジ釣りハマッていた15年ほど前は求めるサイズのジグヘッドがなく、フライフックや金袖・テンカラバリなどにガン玉を打っていたが、タックルの進化により軽量リグを扱うようになると個体差や精度の低さを痛感するようになった。アジングフックといえばハリ先が開いた形状のフックが定番であり、これは接点を増やして掛けにいくことを目的としているが、ホールド性が低くてバラしやすいので使わない。バラすと群れを散らしてしまうこともあるので注意したい。ストレート形状で絶妙に開き気味の形状のフックが乗せ・掛けともに優れており、ホールド性も満足している。なお、10~12番のフックは市場に出ているが、さらに小さな番手の登場を熱望している。それとフックのカラーについては金バリがジグヘッドとしてリリースされてきている。ハリのカラーが釣果に影響することは当たり前だが、金はバリエーションの1つに過ぎないことも忘れてはならない。できればカラーチューンしやすいシルバー系もほしいところだ。
②自作ジグヘッド(ネムリ系キスバリを使用)…自作しないといっておいてナンだが、他に代替性がないことから唯一作るのがネムリ系キスバリを用いたジグヘッド。ネムリ形状といえばハゲバリを代表とする歯の強い魚に飲み込ませず口先に掛けるハリが有名だが、延縄漁で使われるハリの形状でもある。つまり、ハリ先がネムっているので魚との接点は小さいが、貫通力が高くてグイグイ刺さり、ホールド性が高くてバレにくい。当然、掛けにいくハリではなく、乗せるというか乗るまで待つハリである。「アジングは掛けてナンボ!!」という現在のアジングシーンにはそぐわないが、長年続いてきた「エギングはシャクッてナンボ!!」という世界観もそれだけではないことが浸透してきたように、いずれ多様な価値観が生まれてくると思われる。「バラさない=群れを散らさない→釣獲能力が高い」という地味ながら強い寝業師のような選択もアリだろう。初心者やファミリーアジングにもピッタリで暴風で繊細なアタリがとれないような状況でも最高のパフォーマンスを発揮してくれる(実はここが大切 !!)。 [spacer]

豆アジング 釣り方4

自作のジグヘッド。さまざまな可能性を自分なりに追求できるのもこの釣りの楽しさの1つだ。

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【ワーム】

近年のブームに加えてハンドポワードなどの製法が浸透してハードルが下がってきたこともあり、新規参入されるメーカーも多く、バラエティーに富んだワームを選択できるようになった。そこで、かたさやマテリアル別にそれぞれの長所と短所、また私なりの選択方法を紹介したい(※各社ともにウィークポイントを補うデザインや工夫も施されているが一般論として捉えていただければ幸いだ)。
①ハンドポワードに代表される超ソフトな今どきのアジングワーム…近年のブームを支える今どきのアジングワームだが、これまでのメーカー主体ではなくコアなアジンガーの参入も多く百花繚乱の勢いさえ感じるカテゴリーだ。機能に特化した製品も多くおもしろい。マテリアルが柔らかいということは、口が小さく吸引力の弱い豆アジには大きなメリットでワームのレスポンスがよくアピール力も高い。同じレベルのアピールをより小さな入力で演出できることは、レンジを含めた移動距離の少ないアプローチが可能で遊泳力の弱い豆アジには有効である。情報収集時の誤差も少なく、緻密な釣りを実現することができる。ただし、デメリットも存在する。それは「ワームがズレやすい・消耗が激しい・安価ではない・どこでも気軽に入手できるわけではない」ということ。以上のことから、私はパイロットルアーやサーチベイト、渋い状況を打破するためのアイテムとして使用している。

②従来のノーマルワーム…インジェクションに代表される普通のかたさのワームは、近年そのマイナス面をクリアするさまざまな工夫が施されているにもかかわらず、まだまだ評価が低い(特にキャリアの浅いアジンガーには…)。何かに特化すれば何かを失うのは世の常であり、これはアジングが未成熟で過渡期にある証拠だ。これらのワームはその生産特性から比較的「どこでも・気軽に・安価に」入手できる。感覚的要素の高いジグ単の釣りにおいて、使い込んで自分のモノにすることがいかに重要かを考えれば理解できるだろう。また、ズレにくさも大きなアドバンテージであり、セカンドバイトやサードバイトを得られるメリットは大きい。もちろん、効率的なメリットもあるがファーストバイトで口を使う豆アジがいる「その場・その瞬間」に、ヒットに至らなかった要因を追究、修正して試すというメリットは計り知れない。
③エラストマー製ワーム…リトリーブ主体のメバルゲームでおなじみの「伸縮性が高い・ちぎれにくい・素材的にかたい・フグなどの歯物に強い」という高耐久のワームだが、アジングではあまり人気がない。これは素材的なかたさがワームの動きを阻害するからだろう。しかし、高水温期はフグの猛攻に悩む時期でもあり、だからこそアジングに必要なワームでもある。常夜灯下で浮遊するフグの姿を見たらポイント移動を決断するアングラーも多いが、どこへ逃げてもフグばかりでタイムオーバーというのはよくあるダメパターン。そんな中、あえて逃げずに悶え苦しむアングラーを尻目にフグの猛攻を避け、クールにゲームを成立させる。これも豆アジングの醍醐味である。多くは素材的かたさをデザインで克服しているが、「アジへのアピールの小ささ=フグにも見つかりにくい」ということも覚えておくといいだろう。また、ワームの波動の小ささが有効となる場面もある。

【その他】

キャップ用跳ね上げ式老眼鏡…シニアアングラー必携の老眼鏡だが着脱がわずらわしく、遠近両用も釣りにはイマイチ。そこで私はキャップ用の跳ね上げ式老眼鏡を使用している。近年、ライトゲーム熱が冷めつつあった私が今は楽しくて仕方ない。これはまさにこのアイテムのおかげであり、ノットの完成度やまっすぐにセットされたワームやリグは重要な要素である。

【スナップ】

シンプルなリグにパーツを組み込むことに違和感を覚える方もおられるだろうが、ジグヘッドのタイプや重さなどのローテーションを釣果に反映させるのもライトゲームの醍醐味であり、そういった意味でも不可欠な存在。スナップをセットすると意外にもリグの動きがよくなるのでぜひ試してほしい。

【後編】に続きます)

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【安田栄治・プロフィール】

ライトゲームやエギング、シーバスゲームなど多ジャンルの釣りに精通するアングラー。繊細なアプローチを武器にターゲットととことん向き合い、独自の理論を構築し続けている。


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