オレ流・不滅トレンド(前編)

心を動かすのは機能性のみならず!!
本林将彦
●アングラーズハウス・ヒップブーツ
小学生のころ、今は亡き開高 健さんの写真集(エッセイ)「Fish On」の中でこのブーツを初めて目にした。アラスカのキングサーモン、北欧のパイクを釣る開高さんが履いているのを見て「カッコイイ長靴だ‼」と衝撃を受けた。
大人になってトラウトやシーバスゲームに熱中しだしたころにはチェストハイウェーダーが主流となっていて、このヒップブーツのこともときおり思い出しはしたものの、すでに作られていないと思っていた。
ところが、二十数年前に松山の釣り具店で見つけ、昔の思いが一気に込み上げてきた。ゴムはひび割れ、色も黄ばみ、僕には大き過ぎるサイズだったが即買いした。後に、当時アングラーズハウス社が超ロングランで作り続けていることを知り、生産が続いている限り買い続けた。
機能や使い勝手のよさが気に入っているわけではない。子どものころからのあこがれの品であり、ロマンがいっぱい詰まった、単なる道具以上の価値があるから所有し続けている。
残念ながら現在は入手することができない。最後に2足を買い溜めしたが7〜8年前に1足がダメになった。写真のものが最後の1足で、これがダメになると二度とこのヒップブーツを使えないという状況なのが哀しい。
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●アクメタックル・カストマスター
円柱状の真鍮を斜めにカットした金属片にメッキ加工を施しただけのジグ。メーカーはアメリカ、ロードアイランドのアクメタックル社で、1952年の設立以来、このルアーを看板にし続けている。60年あまりにわたって世界中で万能ルアーとして高い人気を維持し、製造が続けられている超ロングランルアーであるカストマスターだが、日本では忘れられた存在となっており見かけることはまずない。
その実力は、スローなタダ巻きでもスプーンやミノーのようなアクションを見せ、ジャークやファストリトリーブでダイペンのような波動を生み出し、フォールでは不規則なダンスのような動きで現在のスローピッチ用ジグにも劣らぬアピール力を発揮する。最も小さな1/12㌉から、大きいものは4㌉までとラインナップも幅広い。僕はトラウト、SWの小物からマグロ狙いまで最終兵器として40年以上使い続けている。
僕が小学高学年から中学生だった1960年代後半、アメリカからさまざまなルアーが輸入されるようになり、現地で人気の高かったカストマスターは日本の需要とは無関係にたくさん入ってきた。そんな理由で当時は入手しやすく、おのずと使用機会も多かった。
そして、このルアーで初めて魚を釣ったのは確か中学2年の夏。近所のおじさんにエビ撒きのハネ(スズキ)釣りに連れて行ってもらったときのことだ。ガルシアのロッド、リールはミッチェル408にラインはアブロンの10Lbを巻き、10㌘ほどの小さめのカストマスターをキャストして50㌢を越えるヒラメを釣り、おじさんたちを驚かせた。このとき、わずか数投でヒットさせたことから、僕の中で「とびきり釣れるルアー」という位置づけとなった。
そうした体験に加え、他のメタルジグ並みに遠投がきき、前記のように操作しだいでさまざまなサソイを繰り出せる使い勝手のよさもあって手放せない。それどころか、水深30㍍までのショアゲームに限れば、ボトムから表層まで、このルアー以上の遠投性とアピール力を備えたルアーにはお目にかかったことがない。もちろんヒラメ以外にもアマゴ・イワナ・サクラマス・マル&ヒラスズキ、ヒラマサをはじめとする青物、GT・マグロとさまざまな魚をキャッチしており、まさに万能ルアーといえる。
ウイークポイントをあげるならば鉛より比重が小さく、フォール時に仕事をし過ぎるために沈下が遅いこと。また、万能過ぎるのでこれに頼り過ぎないように気をつけなければならない。だから僕は普段は封印し、最終兵器としている。
入手については、海外では現在でもストライプトバスや青物狙いで人気が高いためインターネットの海外通販で見つけられるはずだ。
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