メインベイトを特定したアプローチでマルスズキを繊細に攻略‼
ラインテンションの緩急を意識
瀬戸内海(愛媛県)では潮の干満差が最大で4㍍を越える。これによりベイトを含めて魚が同じ場所に留まりにくい。河川のポイントは干潮時に干上がることも多く、魚は移動を余儀なくされるわけだ。
そして、干満差が大きいのでベイトを捕食できる時間も短い。その中でより効率的かつ確実に餌を捕食できるのは流れがきいているときだ。河川だと川幅が一気に狭くなる中潮位~低潮位時がチャンスで、このタイミングで捕食スイッチがオンになることが多い。逆に流れが緩く、ベイトがその場に定位しやすい高潮位時はベイトが自由に動いて捕食しにくいというデメリットがあるため、フィッシュイーターの捕食スイッチはオフ状態となる。
チャンスとなるタイミングと状況を具体的にあげると、たとえば段差のある河川の護岸にベイトが溜まり、潮位が下がるとその護岸が露出するようなポイントがあったとしよう。ベイトは潮位が下がると本流筋に出ていくことを余儀なくされ、そのタイミングでスズキが捕食にくる確率が高い。
さらに、その段差付近に外灯や地形変化があるなどプラスαの要素が加わると釣果に一歩近づける。もちろんこれは護岸に限ったことではない。マン・メード・ストラクチャーやブッシュ、瀬などの変化と潮位変動を意識してターゲットを攻略したい。
意識的にラインテンションをオフにすることで…
ラインテンションをうまく使いこなせているアングラーは意外と少ない。ラインテンションのオンとオフはルアーの波動、トレースコース、レンジ、アピールなど、食わせに関わる最も重要なテクニックだと考えている。私は投げて巻くだけの一連の流れの中で緩急を繊細に取り入れ、多彩な攻め手を繰り出すように心がけている。
以降では特にルアーの見せ方と食わせ方にスポットを当て、最近の釣行でうまくハマッたときの模様を紹介しよう。
釣行当日は水門絡みのポイントでベイトがかたまって浮いており、ときどき逃げ惑っている状況だった。スズキは水門の流れの筋から少し離れた水深50㌢のシャローでボイルしていたが、投げて巻くだけの単純なアプローチでは口を使わなかった。
よく観察するとベイトが瞬発的に逃げては落ち着くといった状況だったため、ミノーを速めにリトリーブ(リールハンドル2~3回転ぶん)してベイトが逃げるアクションを演出し、その後は速度を落として誘ってみた。これでバイトが2度あったものの、フッキングには至らなかった。
そこで逃げ惑うアクションの後、糸フケを回収する程度のデッドスローで誘ってみた。すると難なくヒットに持ち込め、キャッチしたスズキはミノーを丸飲みしていた。その後も同じパターンで誘うとミスバイトもなく、80㌢を頭に5匹のスズキをキャッチすることができた。
投げて巻くだけではたくさんのベイトの中でルアーに興味を持たすことができない。そこでまずは逃げ惑うベイトの動きを演出しつつ強めの波動でアピール。その後はステイに近いデッドスローでヒットに持ち込むことができた。この日は引ったくるというよりも吸い込み系のバイトだったため、ラインテンションを抜いてルアーの吸い込みシロを作るパターンがハマッたようだ。
他にも橋脚の明暗部狙いでルアーがターンした直後や、強い流れと弱い流れの境目でテンションを抜くとより深いバイトが得られ、ミスバイトの低減などに繋がるので試してほしい。ただし、あくまでも緩急をつけることが重要である。ラインテンションを張ったアピールがあってこそ、テンションを抜いた食わせが生きるということを覚えておいてほしい。
《参考タックル》ロッド=ゴールデンミーン・アウトレンジORS-94P/リール=シマノ・BB‐XレマーレP5000DHG/ライン=バリバス・ハイグレードPE1.5号/リーダーバリバス・VEPショックリーダー40Lb/ルアー=HAL・ハルシオンシステム ペニーサックMOKKA、ニコデザインオフィス ラビット90、109、ニコデザインオフィス バボラ130F
(SWゲームフィッシングマガジン 2014年12月号より)
[spacer]スポンサーリンク
※文章・写真・記事などのコンテンツの無断での転用は一切禁止です(詳細はサイトポリシーをご確認下さい)。