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楽しさは無限大!! 夏のアジングを制するためのノウハウ|【Shar’s=Style= vol.11】

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アジング・夏アジ1

エリアにもよるが、豆アジ狙いを除く夏のアジングは産卵も絡むことからシビアな状況に見舞われることも多い。また、アジの行動パターンを読み解くうえでは他魚の存在も無視できず、そのあたりの情報収集と対応力が好釣果を上げるキーとなるから…

Text & Photo  辻原伸弥

アジングのゲーム性を追求しよう!!

比較的手軽に楽しめるアジングの人気は右肩上がり。人気釣り場などを訪れてもアジングを楽しむ方が年々増加傾向にあることがうかがえる。私が住む関西圏はサビキ釣り文化が根強く、「アジ=サビキ釣り」というイメージが強いエリアだ。釣りを趣味とされていない方でも、サビキ釣りなら子供のころに1度や2度は楽しんだことがあるという方が多いことだろう。そんなアジをルアーで狙うアジングが確立され始めたときは、正直サビキ釣り文化に勝ることができるのだろうかという疑問を抱いた。

サビキ釣りはタイミングさえよければ一度に5~6匹のアジがスズナリで釣れる。また、アジは万人に愛されている大衆魚の代表格といえ、多くの方が釣り味以上に食すことを目的としているはず。そのような観点から釣果だけを考えると、1匹ずつ狙うアジングは分がわるいと思えたのだ。

しかし、実際にアジング人気は全国的な広がりを見せ、多くの方が楽しむ釣りとなった。それはルアーフィッシングならではのゲーム性に魅力を感じている人も多いからではないだろうか。魚の習性を知り、回遊や捕食パターンに考えを巡らせて狙う楽しさがアジングの魅力であり、ファンが増え続けている理由だと考えている。

私自身、シーズンになると釣況も含めてアジングに関するさまざまな質問を受ける。ただ、釣れているから行くというのもわるくないが、エリアごとにその時期のアジがどのような行動を取るかを理解することで、アジングがますます楽しくなるはず。どのタイミングで釣れるのか?  なぜ釣れるのか?  そこを理解すれば自分だけの発見に遭遇できることもあり、ゲーム性は断然高まる。

アジング・夏アジ2
釣果が上がっているから行くというのでは後手に回ることも。それよりも時期に応じたアジの動きを大まかにでも理解し、しっかりと戦略を立てて挑むようにすれば…!!

シーズナルパターンの重要性

アジに限らずターゲットを攻略するうえで最初に押さえておきたいのがシーズナルパターンであり、これを無視することはできない。それを目安にターゲットの行動パターンを考えていくことになるからだ。

そして、シーズナルパターンについて考える際は産卵期が1つの目安(軸)になるが、アジの場合はある文献によると東日本で4~7月、西日本で1~5月とされている。しかし、ここでひとつの疑問が…。ひとことにアジといっても種類が多く、呼び名もさまざまなのだ。

アジング・夏アジ3
アジの産卵期はエリアによって異なるが、産卵期ならではの動向についてある程度把握しておかなければ好釣果を得るのは難しい。

アジングのメインターゲットとされているマアジはヒラアジとも呼ばれ、他にもよく似た風貌のマルアジやメアジ・アカアジなどが存在する。マアジはスズキ目アジ科マアジ属、マルアジとアカアジはアジ科ムロアジ属、メアジはメアジ属と、それぞれ別の種類になる。そして、自然界では種族保存の法則があり、種によって産卵期が分かれている。たとえば、小さな野池でもフナとコイ、ブラックバスでは産卵期がズレており、種が交わることは少なくなっている。これは海の魚にも同じことがいえる。

少し話が逸れたが、アジの産卵時期はエリアによって異なるため、以降では私のホームグランドである神戸~明石・淡路エリアをベースに話を進めよう。

当エリアでは例年4月から翌1月ぐらいまでがアジングのシーズンとなる(2019~2020年シーズンは暖冬だった影響か、1月を過ぎてもアジの活性が高くて釣れ続けたが…)。

まず、同エリアのアジの産卵期について考えると、場所によってバラツキはあるものの4月半ばからアジの姿が確認でき、5月下旬あたりから行動に変化が出始める。産卵絡みの行動パターンへと移行していくわけだが、実はこのころからアジを釣るタイミングが難しくなる。

アジの行動パターンを理解するために…

産卵も絡む夏アジの行動パターンを把握するうえで個人的に気をつけていることがいくつかある。それは以下の通りだ。

●濁りと小魚の存在…大阪湾や播磨灘では夏以降に「チリメン」と呼ばれるイワシの稚魚を捕る漁が盛んになり始め、各ポイントでもそのチリメンの姿が見られるようになる。そういったことから、この時期はチリメンの有無がアジの動きに影響するといっても過言ではなく、大切なキーワードの1つとなる。

●サバの群れの存在…私のホームグランドならではのケースかもしれないが、この時期は常にサバの動きに注目している。アジングをしていると、アジよりも先にサバがワームに食いついてくることも多い。サバは小さくても小魚を群れで追いかけている。後術するが、このサバの存在がアジの行動パターンに大きな影響を及ぼすと感じている。

まず、チリメンが見られてサバが回遊するポイントは小魚が集まる要素となるプランクトンが豊富な可能性が高く、アジにとっても好条件となる。ただ、あまりにサバの魚影が濃いのは考えものだ。そのような状況下ではアジがサバの群れの下に潜む傾向にある。そうなるとワームが沈む前にサバがバイトしてくるため、アジに食わせられないことが多くなる。そういったことから、基本的にはサバの魚影はほどほどがうれしいといえる。

一方でサバのヒットを堪能していると突然良型アジの群れが回遊してきて、連発するケースも珍しくない。そして、このパターンでは小さなワームへの反応がわるく、細長くて微波動でアピールする形状のワームがよく釣れることを覚えておいてほしい(私は月下美人 ビームスティック、ビームスティック ZEROを使用)。また、ジグヘッドの重さはそのときの潮流やアジのレンジによってかえている。

アジング・夏アジ4
良型アジ狙いで多用しているワーム。アジの産卵期とときを同じくしてチリメンやサバが現れるが、これらの存在も決して無視できない。

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