釣りとコロナ|【知っていたからって釣れるわけじゃないけれど… その4】 | SWマガジンweb | 海のルアーマンのための総合情報メディア - Part 2

釣りとコロナ|【知っていたからって釣れるわけじゃないけれど… その4】

嵐が過ぎ去ったあとの釣り場を想像しよう

古代から、伝染病のパンデミックのときには時代が大きくかわった。ヨーロッパでペストが大流行したとき、人口はそれまでの半分近くにもなったという。それまで維持されていた領主とそれを支える多数の小作人という社会の単位が壊れ、人口減少によって落ちた生産力を回復させるために領主から土地を与えられた小作人たちがそれぞれ力をつけ、賃金が上昇し、主から自由となり、それが今の資本主義の原型になった。

その時代から比べるとはるかに科学が進んだ現代においては、おそらく1、2年も経たずにワクチンや治療薬が開発され、昔のように世界が根底からかわってしまうほど人が死ぬことはないとは思うが、それでもかつてない社会へのインパクトとそれに伴う大きな変革があることは間違いないだろう。それがどんなものであれ、釣りをする人たちもまた、一人の人間としてその中に巻き込まれてしまうことだろう。

ただ、世の中がどうかわろうとも、釣りをする楽しみだけはかわらないでいてほしい。そして、今それを実現できるのはほかならぬあなたを含む釣り人一人一人である。今は嵐が過ぎ去るのをじっと耐えてほしいと私は思う。もしかすると、これは釣り人への評価をがらりとかえる滅多にないチャンスかもしれないからだ。そして、同時に、それは嵐のあと、いつもとかわらぬ釣り場と、笑顔で迎えてくれる人たちがそこにいることを約束してくれるはずである。 


【宇井晋介・プロフィール】

幼いころから南紀の海と釣りに親しみ、北里大学水産学部水産増殖学科を卒業後、株式会社串本海中公園センターに入社。同公園の館長を務めた海と魚のエキスパート。現在は串本町観光協会の事務局長としてその手腕を振るっている。また、多くの激務をかかえながらもSWゲームのパイオニアとして「釣り竿という道具を使って自然に溶け込む」というスタンスで磯のヒラスズキ狙いやマイボートでのおかず釣りを楽しんでいる。

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