コロナ問題・依存度の高い釣り人からの現状報告|【ほぼ月刊 武田 栄! vol.10】 | SWマガジンweb | 海のルアーマンのための総合情報メディア - Part 2

コロナ問題・依存度の高い釣り人からの現状報告|【ほぼ月刊  武田  栄! vol.10】

ぜひ釣りにまつわることを…

さて、現実的な釣り人としての向き合い方について考えよう。結局のところ、人間は何もせずにはいられない。集団で社会生活を営むうえではなおのことだ。嫌い嫌いといいながらも生きるため、そして絶対的な社会の枠組みとして必要な各自が持つ仕事。さらには趣味や生きがい、大事にしたいもの(=余暇)…。睡眠や休養は睡魔や疲れとして現れるので避けようはないが、この「仕事と余暇」はたとえ無意識だとしてもとても相対的に作用している。また、芸術がなくては生きていけないというのも事実。ピンとこない人はまだよく分かっていないだけで、社会的な生活をするうえでは必要不可欠な要素だ。

具体例をあげると「日々の仕事は過酷で日曜日しか休みがないのに、その大事な休日は決まって遠方へ釣りに出かける」 など。逆をいえば、週に一度釣りに行くことで、あとの6日間は普通の社会生活を営んでいられるということ。ある人から見れば信じがたい行動ではあるけれど、釣り好きにとってはこれが普通。しかも、疲労や寝不足といった体力的な問題は、釣果や釣りの内容でその人の中で度外視されるほどの効果がある!!(笑)。また、つい何かを集めたり、なんとなく落ち着いたりして心惹かれるものがある。これが芸術の必要性だ。

現代を生きていくうえで、このような相対的なバランスは失うことはできない。バランスを失えば心を病む。だからこそ、今回の状況は相当に難儀なのである!!

釣りコラム・武田栄7
生きていくうえで相対的なバランスは非常に重要。それが脅かされているのが問題で…。

もちろんいわれるまでもなく、みんなが生きていくためには経済を動かすことも重要だ。一方で生きていくために物理的に不可欠なもの、そしてときとしてそれをも凌ぐほど重要なのが人間の心のバランスを維持すること。そのことを踏まえ、現状を受け入れながら身体と心のバランスをなんとか保つ最善策を考えないといけない。

そのバランスを保つという観点から、このコラムを読んでいただいている読者(釣りに行けず、日々悶々としているみなさん)には、ぜひ釣りにまつわることをしていただきたい。

◾️今をいい機会と考えて釣り具をすべて整理整頓し、自分の釣りを再度構築する…こういうときこそ自分のスタイルや好みを通し、釣りのセンスがうかがえる。僕がいつも口酸っぱくいっている「本当に持っておきたい釣り具の意味を正しく理解する」ということ。

◾️釣りにまつわる本を読む…自分の釣りに繋がる自然環境や暮らしなどについても。

んーっ、これぐらいしか無理かぁ? …と、ついつい書いている僕のテンションも下がってくるが、差し当たってはこんなところか? でも、できることはあるはず? 楽器弾きならこの際ひたすら猛練習ということかもしれないけれど、釣りは練習っちゅうわけにもいかへんわなぁ??? 

僕はその昔、大病を患って退院したあと、数カ月に渡って自宅療養をしていた。そのときはハトリーズの生みの親、故・羽鳥静男さんのまだ数シリーズしか出ていなかった動画(当時はVHS)を小さな画面のテレビデオで何十回と見て、とても癒されたという経験もある。それらの効果は絶大であることは間違いない。過去のSWマガジンを読み返すのもいいだろう。

釣りコラム・武田栄8
今は釣り場に立たなくても、釣りにまつわることに触れることで…。

平和に暮らせる社会の実現に向けて…

「多少の散歩はいい?」というのも、各自が住む場所によって見解が異なるから厄介だ。小さな公園にたくさんの人が集まれば危険極まりない(人口密集地域の公園でたまたま見かけた大混雑状態の花見やBBQ風景などを思い出すと、とてもではないが怖すぎる!!)。

でも、多少郊外で散歩がてらに人のいない海辺や水辺に行ける人はラッキー。僕も昔からよくやる行為だ。とても癒されるし「1人で」ということなら特に害もなさそうに思う(散歩程度の距離と所用時間なら、ついついちょこっと釣りもしてしまいそうやけれども…笑)。

なので、1人で家から5~10分の海辺や水辺に手弁当を持って行き、寄り道をせずに1時間くらいで釣りをして帰ってくるというのはいいかな?…いいにしたい?(笑) と、今のところはこんな妄想が頭の中でうごめいている!!

釣りコラム・武田栄9
釣りコラム・武田栄10
日々自分の庭で釣りを楽しんできた僕ですが、今はその庭へも…。

よくもわるくも、みんな慣れ親しんだ日々の生活というものがあり、その中で生きているのでこの状況下においても100㌫統一された防御策や決定的なルールはない。それは僕の住む、まだ一見平和な大阪の郊外(ド田舎)でさえ、平日の日中に大型スーパーが人で賑わっているのを見てそう痛感した。でも、その時間帯にしか買い物ができないのだから仕方がないのか?(僕にはとてもそこに入る勇気はないけれど…)。

住んでいる場所や生活様式、発症者が身近にいるなど、実際にコロナの影響がどれほど起こっているか、起こりうるか? 職種・職場・家族構成や現在(これまで)の生活様式、スタイルなどが複雑過ぎて今の世の中では対処しようがない。逃げるが勝ちと思っても、遠距離移動や滞在は現実的にも、なにより倫理的にも許されないし、普段は比較的家内や仕事場にいやすく、その気になればほぼ外出を制限できる僕でさえ、最低限スーパーやコンビニ、ガソリンスタンドへは行く。日に一度、わずか数分しか行かないコンビニで、万が一感染するようなことがあればそれはもう「運命」としかいいようがない。

だから、これらすべての不安要素を加味し、決して開き直ることはなく、自分の時間も大事にしながら、なんとか事態の収束を待ちたい。特に身内、友人、知人には誰一人被害のないことを祈る。

この緊急事態に懸命に働かなければならない皆様、どうしても人の集まる場所に従事しなければならない皆様へは心より感謝を申し上げます。今日現在、不安しかない現状ではあるけれど、1日も早くこの事態が収束しますように願っています。

釣りコラム・武田栄11
いろんな考えや意見があると思いますが、すべてをひと括りにすることはできないから…。

まさに史上最悪の緊急事態ではありますが、今回唯一よい兆しが見えたこともあります。それは日々平和に暮らすことができる社会の実現に向け、みんなの意思がしっかりと芽生えたこと。

・コンクリートだらけの大き過ぎる街はもういらない。
・便利だと思っているものは、実はそれほど便利ではない。
・うわべだけの流行に惑わされない。
・自分たちの生活を守ることが最優先。
・みんなで嘘を見抜こう。
・信頼でき、お互いの顔が見える小さなコミュニティーを築こう。
・衣食住の根源を見直そう。
・必要以上に得をしたり、悪いことをする人を出さない仕組みを作ろう。
・山を見直し、川を見直し、海を見直し、心和む本当の豊かさを考えよう。

そうです、長年僕も思い描いていた平和な社会の中での平和な釣り、人の暮らしと安全の確保、自然環境(=釣り場環境)への配慮、携わり方…。制約と最大限に戦いながら、ここからは大人も子供も全員で大きく日々の暮らしを見直す努力をしようではありませんか。

「本当の幸せを考える」 僕はただただ芸術を愛し、笑顔で平和な日々の釣りが続くことを祈っています。

(2020年4月10日)

 
釣りコラム・武田栄11
釣りコラム・武田栄12
平和な社会の中での平和な釣りを実現するために…。

【武田 栄・プロフィール】

先鋭のフィッシングギヤブランド、Go-Phish(ゴーフィッシュ)主宰。釣り研究家。メバルやアジ狙いのライトゲームからチヌ・シーバス・磯のヒラスズキまでさまざまな釣りに精通。「おもしろくなければ意味がない!!」をモットーに「タケダ式」と名づけた独創的かつ効率的な釣り方の研究に情熱を燃やしている。

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