途方もないエネルギーが発生している海の電気事情|知っていたからって釣れるわけじゃないけれど…《アーカイブ from 2013》 | SWマガジンweb | 海のルアーマンのための総合情報メディア - Part 2

途方もないエネルギーが発生している海の電気事情|知っていたからって釣れるわけじゃないけれど…《アーカイブ from 2013》

安全・安心の電気

ところで、海に住んでいるたくさんの生き物から電気は得られないものだろうか。今の石油は昔の植物プランクトンが埋もれたものといわれている。石油を使って自動車が走るのは、石油を燃やすことによって昔のプランクトンたちが溜め込んだ太陽エネルギーが出てくるためである。

では、今生きているプランクトンから電気ができるということなのだろうか。その通り!! プランクトンを集めて行なうバイオマス発電がそれである。大量のプランクトンを集めて発酵させるとガスが発生する。これを発電に使うのである。でも、発電に使うほど大量のプランクトンを集める方法は…まだまだ研究の余地がありそうである。

それでは直接電気を起こせる魚を集めてみたらどうだろう。たとえばデンキウナギの発電能力はウマでも倒せるほどという。ちなみに調べてみるとデンキウナギの電気は約800ボルト 。家庭用の電気製品なら強過ぎるくらいである。でも、残念ながらその発電時間は1000分の1秒ほどしかないといわれているので実用には向かない。あっという間にバッテリーが上がってしまうのである。これは海に住むシビレエイでも同様で、一瞬の使用には耐えても長時間の使用に向かない。使えるとしたら「AED」くらい?

そんなわけで、海の仲間たちはプランクトン以外はどうやら私たちが使う電気の役には立ちそうにない。でも、石油や石炭などの化石燃料をどんどん燃やすことは炭酸ガスを増やして海を酸性化して駄目にし、温暖化で多くの生き物が死んでいく。また、資源も限りがある。

原発は便利だけれど、未来永劫にゴミを残す麻薬のようなものである。危険な原発から流れてくる電気をのうのうと使うよりも、できるだけ早い時代にこの広大な海が生み出す安全・安心の電気を使いたいものである。

釣りエッセイ・宇井晋介・海の電気4
安全・安心の電気を使える日が1日も早く訪れることを願っている。

【宇井晋介・プロフィール】

幼いころから南紀の海と釣りに親しみ、北里大学水産学部水産増殖学科を卒業後、株式会社串本海中公園センターに入社。同公園の館長を務めた海と魚のエキスパート。現在は串本町観光協会の事務局長としてその手腕を振るっている。また、多くの激務をかかえながらもSWゲームのパイオニアとして「釣り竿という道具を使って自然に溶け込む」というスタンスで磯のヒラスズキ狙いやマイボートでのおかず釣りを楽しんでいる。

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