スローピッチジャークによるクロマグロジギングを探求|【マニアな仲間たち vol.7】 | SWマガジンweb | 海のルアーマンのための総合情報メディア - Part 2

スローピッチジャークによるクロマグロジギングを探求|【マニアな仲間たち vol.7】


 


リリースしたクロマグロから大きな発見が!!

10月の釣行では状況が激変していた。釣行当日は「松前小島周辺にもナブラが見えません」というアナウンスから始まった。8月のあの好況がいつまでも続くことなどないのだが、それにしてもここ数週間は釣果が伸びないようだ。

2日間の予定で初日は結構なシケ模様。風を避けながら大間方面へ向かうも、イナダやワラサの群ればかり。津軽海峡にスルメイカが入ってそれにクロマグロがつくことがあるようなので、水深130㍍前後のイカ場でボトム付近を狙う。アタリはあるものの、釣れてくるのはツノザメやスルメ。底潮も流れていないのだろう。翌日に期待してこの日は早上がりとした。

翌日は早めに出船して松前小島を目指した。港には夜の漁でイカを積んだ船が帰ってきており、自然と期待が高まる。

函館から出港すると松前小島までは2時間半ほど。ポイント近くからナブラを捜すが、鳥の影も薄くて魚の気配は少ない。ナブラと思って船を走らせるとクジラの群れ。残念、クジラを釣るのは無理だ。

  • ナブラかと思ったがクジラの群れだった。

その中で数隻の船が集まっているポイントがあった。菊池船長に聞くと、タラ釣りの漁場だという。そして「タラ釣りをしてると、マグロが釣れることがありますよ」とのことであった。

この日もナブラは見当たらないし、魚探にも反応がない。「タラ場で回遊を待ちますか」との提案を受け、タラ船団の帰ったポイントでジギングをしてクロマグロの回遊を待つことにした。

水深140~100㍍ほどの緩いカケアガリを流す。各々が宙層を狙ってみたり、底付近を狙ってみたりとアテのない釣りを続ける。すると、ようやく魚探のモニターにそれらしい反応が出て、水深60㍍あたりで「コツン」という小さなアタリが。大物を期待して身構えたが、上がってきたのは15㌔ほどの小型のクロマグロ。サイズはともかく、この1匹をきっかけに状況が好転するかと思えたが、その後は再びアテのない時間が過ぎた。

モニターを覗き込んでも反応はない。何気なくそれまで宙層を狙っていたスパイ250㌘を底まで沈め、10回ほどシャクり上げて再び底を取った。すると「そろそろ底かな」と思ったところで「ツッ」とラインが走った。「タラ?」と思いながら巻き合わせると、かなりの重量感が伝わってきた。

ブルーヘブンL -80のハンドルを巻くと、魚は上に向かって泳いできた。このときにクロマグロと確信。そして、ラインを80㍍ほど巻き取ったところで、今度は横に走り出した。さらに、そろそろ魚体が水面に出るかと思いきや、今度は一気に底へ向かって疾走した。

この2日間は我慢、我慢の釣りだったので絶対に釣り上げたい。ラインはオッズポート4号なので強度的に余裕がある。そこでドラグを締めて底から魚を浮かせにかかる。

ロッドはディープライナーの新しいブランドのアイテム(ガレージNAGI・クロスボーダー60-6)を使用していた。海外のスローピッチファンのために曲げて取れる設計にしたモデルだ。脇挟みにしてバット部分を十分に曲げることで大きなリフトパワーが生まれる。このパワーを利用してマグロに挑む。

  • ディープライナーの新ブランド、ガレージNAGI ・クロスボーダー60-6でのファイトシーン。

そして、厳しい攻防を制し、クロマグロが姿を現わすと「ワッ」と歓声が上がった。クロマグロのサイズはゆうに50㌔を越えており、しかも丸々と太っているので顔が小さく見える。

船べりで大塚氏がリーダーを掴み、フックリムーバーで素早くフックを外す。魚はゆっくりともといた海に泳ぎ出した。カルティバ・チェイス9/0はカンヌキを見事に貫通していた。前年の課題だったリヤフックはこのフックの使用で何とかクリアできた。

スロー系ジギング・クロマグロ7-1
スロー系ジギング・クロマグロ7-2
フックはリヤのみにセッティング。フロントフックは大きく曲げて刺さらないようにした。フロントフックの抵抗を大きくすると、ジグは素直に後ろ側へとフォールする。結果、リヤフックに掛けやすくなる。
スロー系ジギング・クロマグロ8
10月の釣行では50㌔オーバーのクロマグロを船べりで素早くリリース。フックはバーブレスにして、スタジオオーシャンマークのフックリムーバーを使えば安全にフックを外すことが可能だ。

満足度の高い釣果だが、このリリースしたクロマグロからはさらに大きな発見があった。これまでにもアカムツを狙っていて、底付近で小型のマグロがヒットすることがあった。そして、今回はナブラが出なくてもタラやイカのポイントを狙えば、結果に結びつくということが分かった。これは今後もマグロジギングを追求していくうえで大きなヒントである。マグロはイカにつくと水面に浮かないことが多くなるそうだ。そんなときこそジグの出番となるわけである。

最近はみんなで「クロマグロは来年何㌔になって海峡に帰ってくるんだろう…」とよく話す。2019年によく姿を見せていた40㌔前後のクロマグロは4歳ほどなので、2020年には5歳になって帰ってくる。5歳になれば70㌔弱にまで成長している。自分たちの技術、体力、タックルがマグロたちの成長に追いつかない。そう、マグロは適正な資源管理ができれば、人の技量やタックルの開発スピードよりも早く成長するのだ。

ゆくゆくは成長に合わせて産卵魚が増えれば、資源の回復も早まることだろう。私は十分な回復が確認されるまでリリースを続ける。もちろん、クロマグロが非常に美味な魚であることは知っている。やせ我慢かもしれないが、今はリリースです。

スロー系ジギング・クロマグロ9
フックが口の奥に入ったマグロはネットでランディングし、マットの上でフックリムーバーにてフックを外した。
スロー系ジギング・クロマグロ10
素早く記念撮影。2018年から10回ほど乗船したが、マグロを持った写真はこれ1枚だけであった。
スロー系ジギング・クロマグロ11
その後は手際よくリリース。魚への負担を少なくするために2人がかりで対応する。
スロー系ジギング・クロマグロ12
北海道庁水産林務部からの通達。都道府県各管内で漁獲量が設けられている。詳しくは都道府県の水産課のホームページなどで確認を。

使用タックル

【ロッド】
ディープライナー・ロジカルDLLG70#4
ガレージNAGI ・クロスボーダー60-6

【リール】
スタジオオーシャンマーク・ブルーヘブンL80ハイギア
スタジオオーシャンマーク・ブルーヘブンL80パワーギア

【ライン】
YGKよつあみ・ロンフォート オッズポート WXP1 8 4号
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【リーダー】
YGKよつあみ・ガリス FCアブソーバーアンフィニ スリム&ストロング20号(8㍍)
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【ジグ】
ディープライナー・スパイ250㌘など

【フック】
カルティバ・ジガーミィディアム チェイス#9/0
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【アシストライン】
ザイロン40号





【西本康生・プロフィール】

青物やキハダマグロ、中深海のアカムツやキンメダイ、淡水魚に至るまで、魅力あるターゲットとの出会いを求めてスローピッチの可能性を深く探求するアングラー。未知のターゲットにアタックするうえでパイオニアとしての苦難と喜びを味わいながらジギングの楽しさを発信し続けている。
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