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都市部のアジング常勝理論|【Shar’s=Style= vol.7】

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アジング・ポイント選択・釣り方1

盛期には難しく考えなくてもそれなりに楽しめるアジングだが、アタリが少ない時期はセオリーをベースにさらに踏み込んで考える必要がある。たとえば都市部のポイントの特徴から攻略パターンを紐解くと…

Text & Photo 辻原伸弥

アジングにおける状況分析の重要性

ホームグランドの神戸~明石・淡路島エリアでは、年が明けて少しするとアジが釣れなくなるのが例年のパターン。そこで、今回は終盤戦のアジングについて私なりの理論を紹介させていただきたい。

まず神戸~明石・淡路島エリアのシーズナルパターンについて簡単にまとめると、毎年3~4月ごろにアジが姿を見せ始める。最初は局地的に回遊してくるといった感じだが、その後は気温の上昇とともに広範囲で釣果が上がるようになり、夏以降に盛期を迎える。

そして、高水温期は宙層のスイミングに好反応を示すが、水温の低下とともにボトム付近を狙う釣りに移行し、年が明けると徐々にフェードアウトするというのが当エリアにおける大まかなアジの動きだ。

アジング・ポイント選択・釣り方2
地域性が強く、各地でそれぞれの楽しさが味わえるのもアジングの魅力だ。

とはいえ、近年はイカナゴやアオリイカの数が減少しているなど、海に変化が見られて例年通りのパターンが当てはまらないことも多い。その中で数釣りを楽しもうと思えばやはり盛期に狙えばいいわけだが、アジングの醍醐味を知るアングラーなら厳しい時期ならではの釣りも楽しみたいと思うはずだ。

そのときのアジがどのような行動パターンを取り、何を捕食しているのか?  その答えを求めてリグをキャストする。ターゲットの活性が高ければルアーへの反応もよく、ヒットするワームの種類も多いなど、答えの幅が広い。しかし、状況が厳しくなるにつれて簡単に口を使わなくなり、攻略の幅がタイトになるのがルアーゲームである。

これはあくまでも個人的な印象だが、アジは比較的捕食している餌によって食い気や行動パターンがかわりやすい魚だと感じている。たとえば、アジのいるレンジが分かっていてそこを狙っても、ジグヘッドの重さやワームの形状、カラーなどがマッチしていなければ、まったく反応が得られないというケースも珍しくない。また、2人で並んで竿を出していても、一方はアタリすらないのに、もう一方は常にロッドを曲げているなんてケースもよくある。

ある程度の経験を積めば、そのときどきの状況にマッチするリグを絞り込んでいくことができるようになる。しかし、経験が浅ければ消去法で手持ちのワームをとっかえひっかえした末に、撃沈なんてパターンも珍しくないだろう。そうならないためにも、まずは状況を分析することが大切だ。

アジング・ポイント選択・釣り方3
状況に応じたアプローチが展開できなければ、アタリすら得られないというシビアな面も…。

アジが食い渋る理由について

アジが簡単に口を使わないときは、次のようなことが予測できる。

●食い気はあるが捕食している餌が限られている(偏食している)。
●表層、宙層~ボトムへとベイトの動きに合わせてアジがレンジを移動している。
●付近に大型魚などがいて、警戒心を高めて外敵から身を守っている(隠れて行動範囲が狭くなっている)。
●急激な海水温の変化。
●月齢および潮回りの関係。

以上が主な理由と考えられるが、実際のところこれらに当てはまらないケースがあることも否定できない。

アジング・ポイント選択・釣り方4
アジが口を使わない理由について深く考察してみると…。

神戸~明石・淡路島エリアの場合、アジがよく釣れる場所はそれなりの条件が必ず揃っている。当エリアには自然が豊かで小規模な漁港、水揚げ盛んで加工所などがある大型の漁港、また、都市部では工場地帯が隣接した場所など、さまざまな釣り場がある。場所によっては特定の時期だけ釣れてあとが続かないなんてこともあるが、基本的にはプランクトンが豊富で小魚が集まりやすく、またアジが身を隠せる障害物が点在する場所が有望だ。

ただ、人間とは違って自然界で生活するすべての生き物は環境に対する順応力が高い。そうでなければ厳しい自然界で生き残れないからだ。それを前提に考えると、釣れない理由づけをする釣り人の目線は果たして正しいといえるのだろうか?

アジの学習能力

以前、友人に大きな水槽で海水魚(根魚)を飼育している様子を見せてもらったことがある。友人が決まった時間に餌をやろうと水槽に近づくと、それまで自由に泳いでいた魚が急に浮上し、水槽の隅へと移動した。まるで、金魚が餌をねだるような行動を取るのだ。ほんの数カ月飼育しただけの根魚なのに…。

アジング・ポイント選択・釣り方5
意外な行動を見せることもあるアジ。

実はこれと似たようなことを釣り場で経験したことがある。その日は良型のアジを求めて夕まづめから漁港にエントリー。ポツポツとヒットしたもののサイズが小さかった。深夜まで狙い続けたが状況は好転せず、仮眠を取って朝まづめに期待することにした。

そして、まだ薄暗い中でキャストを再開したが、アタリの数や釣れるアジのサイズは前夜とかわらない。やがて日が昇り、なかば諦めかけていたころに「ルアーでアジ釣りか?」と地元の年配の方から声をかけられた。昨夜からの状況を簡単に説明すると「あとであっちのポイントへ行ってみ」と対岸を指差した。続けて「今行ってもダメ。○時になったら狙ってみ」というのだ。さらに「その時間帯ならアマゾンのピラニアみたいにアジがたくさんおるで!!」とも…。

好意で教えていただきながら誠に失礼な話だが、正直私は「ホンマかいな…」と疑いしかなかった。昨夜からあの手この手で攻めても厳しい状況なのに、ピラニアみたいにアジがいるとは信じがたい話であった。

ひとまずお礼を述べて真相を確かめるべく、いわれたポイントにエントリー。教えてもらった時間まであと10分少々というタイミングでキャストを開始すると、直後に15㌢ほどの豆アジが1匹釣れたが、あとが続かない。「やはり厳しいか…」と思いながら狙いの時間を迎えると、そのころからたくさんのアジの魚影が確認できるようになった。そして、すぐに地元の方が竿を曲げた。キャッチしたのは良型のアジだ。私も負けじとジグヘッド&ワームを投入するといきなりヒット!!  それからは1キャスト1ヒットで、上がってくるのは25㌢オーバーばかり。連発劇は20分ほどで終了してもとの海に戻った。

その後「どや、釣れたやろ?  嘘とちゃうかったやろ!!」と先ほどの方から声をかけられた。その方がいうには海底には水産加工所の排水管があり、決まった時間に数分間だけ開門するそうだ。結果的に餌づけされているのと同じ状況である。

ともあれ、このとき環境に応じてアジが学習することを知ったのと同時に、魚の捕食行動に対する我々の認識に大きな疑問を抱くきっかけとなった。

アジング・ポイント選択・釣り方6
セオリーや固定観念にとらわれていては気づかないパターンも存在する。

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