秋のロックショア・カンパチゲーム｜【F.R.E.A.M vol.11】

ジグを引ったくった魚の正体は…

その後は魚がトップに反応しなくなったため、100㌘のメタルジグをセットして底付近を探ることに。すでに満潮時刻を過ぎ、下げ潮が効き出していました。

メタルジグをキャストし、カケアガリ付近を意識して速めのワンピッチジャークで誘っていると、底から20回ほど上げたあたりで「ガツン」とジグが引ったくられました。すかさず合わせを入れ、先ほどと同様に強引に寄せようとすると、すぐにラインが根に擦れる嫌な感触が伝わってきました。そのまま強引にやり取りしてもラインブレイクは必至なので、軽くラインテンションをかけながら魚が根から出てくるのを待ちます。

しばらくすると、ラインが根から外れた感触が伝わったので、チャンスとばかりに全力のポンピングで寄せにかかります。すると、割とすんなり浮かせることができ、キャッチしたのは70㌢オーバーのヤズ（ブリの若魚）でした。

その後、午前９時を回ったころには魚の反応も徐々にわるくなってきました。ここで早めに見切りをつけ、次のポイントへ移動することにしました。

血がたぎるファイトを満喫

続いてやってきたのは足もとから10～15㍍の水深があり、潮通しのよいポイントです。「朝の回遊を終えたカンパチが居着くストラクチャー」というイメージです。

先行者がエギングをしていたので挨拶がてらに話をうかがうと、アオリイカの反応はないものの餌木に何度もカンパチがついてきたとのこと。経験上、青物が近くにいるときアオリイカの反応が極端にわるくなります。

好情報を聞いてワクワクしながらグローカラーのジグをセットし、足もと付近から探ってみることに。すると、いきなり小～中サイズのカンパチが入り乱れて５匹ほどチェイスしてきました!!

すぐさまジグを落とし直し、しつこく誘ってようやくヒットさせたのは40㌢ほどのネイゴ（カンパチの若魚）。その後もチェイスやアタリはあるものの、なかなかフッキングに至りません。しだいに魚がジグに対してスレてきたので休憩を取ることにしました。

15分ほどポイントを休め、再び足もとにジグを落として底からゆっくりと上げてきました。すると「ガツン」と食ってきて竿先が一気に絞り込まれました。先ほどのネイゴとは明らかに違うパワフルな引きです。

魚との距離はおよそ７㍍。足もとでヒットした相手はドラグを鳴らしてフルパワーで根に突っ込もうとします。手前の根に潜られたらアウトなので、スプールを鷲掴みにしてこちらもフルパワーでリフト。まさに力対力の勝負で、ショアジギングで最も血がたぎる瞬間です。

根に走る魚を何とか止めると、あとはすんなり水面を割ってくれたので一気に抜き上げてキャッチ。手にしたのは68㌢の立派なカンパチでした。

その後もしばらくアプローチを続け、ネイゴを追加したところで納竿としました。

今回は当初計画していた南大隅エリアへの釣行をシケによって断念し、錦江湾内での釣りとなったわけですが、結果的にこれが大正解。大満足の１日となりました。釣りをしていると、このようなことがたびたびあります。自然が相手なので思うようにいかないことの方が多いですが、諦めずにフィールドへ通い続けることでよい釣りができるもの。信じることが大切だと改めて感じました。

無理な釣行は絶対に禁物

最後に安全対策に関する私の考えを紹介させていただくと、特に磯の釣りは過剰なほどの安全対策を講じるのがちょいどよいと感じています。ライフジャケットや磯靴、帽子、グローブなどの着用は必須です。そのうえで自然環境に対して常に細心の注意を払うという心構えが欠かせません。私自身、過去には転倒して磯場に足が挟まり、身動きが取れなくなったところへ次の大波がやってきて飛ばされ、落水しかけたこともあります。事故に遭わないためには、いかなるときも慎重な行動が要求されます。

天候や波高のチェックを怠って釣行するなどはもってのほか。自己責任だけでは済まされないものがあり、事故に遭って悲しむのは周囲の大切な人たちです。同行者や釣り仲間は助けられなかったことを一生後悔し、海に近づくこともできなくなります。そういったことを常に念頭に置いて判断することが大切です。

コンディションがわるいときは無理に釣行する必要などありませんし、経験上、青物は波高２㍍以上ではまともに釣れません。海に通えば通うほどそのようなことが分かるようになり、同時に怖さも実感するので安全面に重きを置くようになります。そうなると自然に危険な第一候補を諦め、安全な第二候補の釣り場に足が向くようになります。

ですから、最も危険なのは釣りの楽しさが分かってきたところのビギナーの方です。装備もままならない状態で安全面を考慮せず、前回釣れた場所にエントリーしてとりあえず釣りを開始する。そのような軽はずみな行動は絶対に控えて下さい。釣りは本当に楽しい遊びですが、海は危険と隣り合わせということを忘れてはなりません。

魚は海のコンディションがよいとき（安全に釣りができるとき）に釣ればいいのです。経験者が語る安全対策の重要性をしっかりと理解し、長い目で釣りという素晴らしい趣味を楽しんで下さい。

使用タックル

【ロッド】
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【リール】
シマノ・08ステラSW10000PG
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【ライン】
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【田村孝介・プロフィール】

【ショア青物ゲーム・安全とマナーについて】

※上記のリンク先にある「ショア青物ゲーム・安全とマナーについて」を必ず読んでいただき、ルールやマナーを守り、安全対策をしっかりと講じたうえで事故やトラブルのない釣りをお楽しみ下さい。