ルアーマンとしてどうあるべきかを教えてくれた四万十アカメ|【釣り人生をかえた1匹④】
至高のターゲットと最高の出会い方を…
小雨混じりながら月明かりもあって周囲がうっすらと見える中、ルアーの下にアカメが迫っている様子をイメージしながら幾度となくキャストを繰り返した。何の反応もなく時間だけが過ぎていくが、ときおり何かに追われたボラが逃げ惑うような音が聞こえてくる。
そして、ついに沈黙を破る飛沫が上がった。鈍く重々しい捕食音がしたと思ったら、ロッドティップから引き込まれるような重みが伝わってきた。合わせを入れるとしっかりとフッキングが決まり、その直後に水面を割る激しいエラ洗いが見られた。その強烈な音と重量感から本命であることを確信した。
アカメは何度もエラ洗いを繰り返す。月明かりでシルエットが鮮明に見え、そのジャンプの高さにも驚いた。なんと荒々しく美しい魚だろう…。心臓の鼓動がやかましいくらいに高鳴る。すさまじいジャンプとヘッドシェイク、右へ、左への重々しいラン。張り詰めた緊張感の中で、憧れの魚との一瞬、一瞬の至福のシーンを目に焼きつけた。
そして、激しい攻防の末にアカメは観念したかのようにゆっくりと浅瀬に横たわった。全力で戦い、最後は負けを認めたかのように潔い。何か男らしさまで感じさせられる。一生忘れることができない衝撃的な出会いであり、1つの夢が叶った瞬間だった…。また、リリース後に四万十川へと帰っていく姿を見て改めて嬉しくなった。
私にとってアカメとは、マグロやヒラマサと肩を並べる至高のターゲットであると同時に、特別な思いもある。これほど素晴らしい相手なのだから、一番納得できる釣り方にこだわりたい。この1匹のアカメから、私がルアーマンとしてどうあるべきかを教えてもらった。自分が一番楽しいと思えるアカメ釣りがそこにあった。
最後に、夢を現実のものとできる四万十川に感謝するとともに、この素晴らしいフィールドで長きにわたり技を磨き、私を四万十アカメとの出合いに導いて下さった地元のよきアングラーのみなさんに感謝いたします。
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