大型魚とのファイトでタックル以上に重要なファクターとは?|【SHORE SNIPER vol.19】 | SWマガジンweb | 海のルアーマンのための総合情報メディア - Part 2

大型魚とのファイトでタックル以上に重要なファクターとは?|【SHORE SNIPER vol.19】

ファイト時の体の使い方

そして、今回取り上げたいのは体の使い方です。大型魚と対峙したときに最も差が出るのはタックルではなく、それを使うアングラーの体とその動かし方だと思います。決して筋力や体力が要求されるわけではありません。

私は比較的体格に恵まれていますが、それでも終始フルパワーでファイトするわけではありませんし、体重50㌔台の小柄な友人も20㌔を越える魚をたやすくランディングしています。要は筋力ではなく、力の使いどころや体幹の強さとバランス、あとはフットワークの軽さが重要なのです。

魚がヒットすると無理に力を使う人や、体が固まって一歩も動けない人が多いように見受けられます。ロッドを使っての魚とのファイトにはテコの原理が働きます。そのため、抵抗する相手に終始全力で対抗すると、アングラーが疲れてしまいます。

その分かりやすい例が魚が走ってラインを出されているときに、腕を曲げた状態でロッドを保持したまま必死に耐えるという体勢です。走り出した大型魚を力でねじ伏せようとしても、決して走りを止めることはできません。そのようなときはバットエンドを腰から股関節付近、またはギンバルに当てます。そして、腕を伸ばしてロッドを保持すると、握力だけで支えられるので体力の負担がかなり少なくなります。また、テコの原理を少なくするためにランの最中はロッドを立てず、弾力を生かせる範囲で寝かせます。

ランが止まれば魚の頭をこちらに向け、少しずつでも寄せて浮かせるように全力でポンピングします。つまり相手が全力で抵抗しているときはなるべくラクに耐え、相手が抵抗をやめたときに全力で寄せるということです。

大型青物 ファイト方法6
終始全力で挑むと体力や筋力が持ちません。勝負どころと、そうでないところをしっかりと見極めて対応しましょう。

魚をコントロールしたり、根ズレなどのリスクを回避する際はロッドで対応するよりも、自分が動いた方がはるかに効果的です。ロッドの長さはおよそ3㍍前後、魚が掛かっていれば曲がっているのでさらに短くなります。そのロッド操作による効果は微々たるものです。対してアングラーは足場がある限りいくらでも動けるので、魚との位置関係を容易にかえることができます。

実際、魚がヒットすると一歩も踏み出せなかったり、しゃがみ込んでしまう人を見かけます。私の印象としては磯歩きが速い人は自由に動けるし、遅い人はなかなか動けないケースが多いようです。これはメンタルの影響もあるのでしょうが、体幹を鍛えたりバランスを磨くことで改善できると思います。いずれにしても自由に動ければそのぶんリスクも減らせますし、ファイトを有利に進めることができます。

最後に、ファイトについてはタックルやテクニックについて議論されることが多いですが、体の使い方というのはあまり注目されていないように思います。私はスキーやサーフィンを通して体を動かすことを考えたり、学んだりする機会がたくさんありました。その経験もあって自然とファイト時の体の使い方についても考えるようになりましたし、そういう視点で見るようにもなりました。

今回の記事が少しでもみなさまの参考になり、メモリアルな魚を手にする際のお役に立てれば幸いです。私も体が動く限りはスキルを磨き、夢の大物を目指して磯に立ち続けたいと思います。


【大野 祐・プロフィール】

ホームの房総エリアでメーターオーバーのヒラマサを数多く仕留めているアングラー。釣況の好不調にかかわらずウェットスーツスタイルで年間を通して磯に立ち、腕を磨くとともに知識を深めている。

【ショア青物ゲーム・安全とマナーについて】

※上記のリンク先にある「ショア青物ゲーム・安全とマナーについて」を必ず読んでいただき、ルールやマナーを守り、安全対策をしっかりと講じたうえで事故やトラブルのない釣りをお楽しみ下さい。


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